
42歳の夏、突然右手にこわばりを感じました。その後、毎朝、小指だけが折り畳まれているという状態が続きました。原因がわからず、不安な気持ちでいっぱいに。受診すると更年期以降の女性に多いという病気であることが判明。私が体験した小指の症状の経過と治療の様子をお伝えします。
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突然、右手がこわばり、痛みを感じるように
ある夏の朝、目が覚めたときに右手がこわばってギシギシする感覚に見舞われました。指が動かしにくいし、手がこわばり、痛みもありました。その日だけかなと思ったら、以後、毎朝目が覚めると手がこわばるように。
あまりにも続くのでネットで調べたら、更年期障害の一種と、リウマチの可能性が出てきて焦りました。病気かもしれないと思うと怖くなって、それ以上調べることはせずに放置していました。
毎朝、小指が折り畳まれた状態に

時は流れて、翌年5月。朝起きると、今度は右手の小指だけが折り畳まれた状態に。しかも、意識して戻そうとしても戻らず、左手を使って力いっぱいに小指を伸ばしてようやく戻りました。指のカチコチ具合に驚きました。
その日1日、小指が自分の物とは思えないほどぎこちなく、痛みがありました。それからしばらく、毎朝、目が覚めると小指が折り畳まれていることに恐怖を感じ、脳に障害があるのでは、とまたまた不安に。
手の症状をもとにネット検索し、該当する病気が「ばね指」だとわかりました。腱と腱鞘(腱の浮き上がりを抑えるトンネルの役目をするもの)の間で炎症が起きて、指の曲げ伸ばしに引っかかりを感じるなどするもので、更年期以降の女性に多く見られるとの記載もありました。
朝以降も手のぎしぎし感は続き、小指は突っ張り感とともに痛みを伴いました。食事で箸や茶碗を持つ、文字を長時間書くなどすると、小指がその形で硬直して戻らなくなってきたので、ついに受診を決意しました。
いろいろ調べて手の外科専門医を受診

専門家を探しましたが大学病院以外にあまりなく、いろいろ調べて迷った挙げ句、原因がリウマチや更年期障害、その他の病気だったときのことも考えて、手の外科専門医のいる地元の総合病院を受診しました。
ネットで調べたとき、リウマチや更年期障害の可能性が出てきたので不安に思っていたのですが、医師には
「まだ更年期障害ではないと思います。リウマチの可能性は血液検査でわかるので、血液検査とエックス線検査をして今後の治療方法を考えましょう。ただ、ばね指の場合、普通は親指や中指、薬指がなる可能性が多いのですが、どうして小指なんだろう? 仕事でよく使うとかある?」
と言われました。保育園で働いているので子どもに小指を引っ張られることがよくあると伝えましたが、それにしても珍しいと言われました。
2週間後の再受診で「ばね指」と確定
その後、エックス線検査の結果が出たので画像を見ながら、「小指はやっぱりばね指なんじゃないか」と診断されました。3カ月に一度ステロイド注射を打つことで症状が良くなることはあるが、注射を打ち過ぎると良くないらしく、打っても3カ月以上間隔を空けて3回までだそう。
しかも注射はかなり痛いとのこと。それでも良くならないときは腱鞘を切離する手術があると聞きました。その日はひとまず痛みや炎症を抑える塗り薬が処方されて帰りました。
2週間後に再受診。血液検査の数値を確認して、リウマチではないことがわかりました。リウマチの可能性がなくなったので、改めてばね指としての治療方法を検討することになりました。
塗り薬の効果なくステロイド注射に変更
痛み止めの塗り薬はあまり効果が見られず、小指が日中も曲がったまま元に戻らなくなるようになってきたので、ステロイド注射を打つことに。小指の付け根あたりに打つのですが、3段階にわたって激痛がありました。打った直後は小指の腱が縮むように引っ張られて指が折り畳まれ、その日1日右手全体がしびれて感覚がなく、こわばるような感じもあり、とにかく不安でたまりませんでした。
でも、翌朝には右手にしびれやこわばりなどの症状もなく、数日後には小指の違和感もなくなり、注射後3カ月以上、問題なく過ごすことができました。
4カ月後に再発するも痛みは気にならないように
ところが、4カ月が経過する直前に子どもに小指と薬指を引っ張られ、ねじられた瞬間、激痛とともに痛みが再発してしまいました。5カ月が経過すると痛みにも慣れて、指の引っかかりや長時間同じ動きをしていると元に戻らなくなることなどもあまり気にならないように。
その後、再度ステロイド注射を打つつもりで受診すると、そこまで痛みがあるわけじゃないなら、まだ注射は打たずに様子を見るように提案されました。注射は打てても3回まで。もっと痛みが強くなってから打ったほうが良いし、もしかしたらこのまま良くなる可能性もあるそう。悩んだ末、少し様子を見ることにして痛みと炎症を抑える湿布を処方してもらいました。
まとめ
突然、小指が折り畳まれた状態が続いて痛みもあり、脳の障害や更年期障害、リウマチを心配し、受診するまではとても不安でした。結果、ばね指という聞き慣れない病気であることがわかりましたが、今は痛みにも慣れて落ち着いて過ごせています。ばね指は更年期以降に多いとのことで改めて自分の年齢を実感。これからは少しでも不調を感じたら、早めに受診するようにしたいと思います。
※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。
監修/天神尚子先生(三鷹レディースクリニック院長)
日本医科大学産婦人科入局後、派遣病院を経て、米国ローレンスリバモア国立研究所留学。その後、日本医科大学付属病院講師となり、平成7年5月から三楽病院勤務。日本医科大学付属病院客員講師、三楽病院産婦人科科長を務めた後、退職。2004年2月2日より、三鷹レディースクリニックを開業。