「何か仕事がしたい…」41歳で出産を機に退職した私がまさかの開業

「何か仕事がしたい…」41歳で出産を機に退職した私がまさかの開業

41歳で第1子を高齢出産し、40代半ばまで夢中で子育てをしていました。待望の赤ちゃんを授かり幸せでしたが、出産のために辞めた仕事を再開する当てはなくなりました。子どもが育つのを待っていたら50歳になってしまう。何かできることはないだろうかと悩む日々でしたが、何も思いつかずに時間だけは飛ぶように過ぎていきました。

そんなときにママ友のちょっとした頼みを聞いたことで道が開け、ある教室を開業するに至りました。その体験談をご紹介します。

ママ友の頼みで、ピアノを教え始める

娘が2歳になったとき、野外で子育てをする会に入会しました。母親が交代で子どもを見守り、相互に助け合って子育てをする地元のコミュニティーです。 幼稚園や保育園のように子どもを通わせる、第3の選択肢としてある場なのですが、母親たちで自主運営しているため忙しく、フルコミットメントを求められる団体でした。 入会したその日から、子どもたちの安全管理や遠足の手配、行政に支援を求める働きかけ、出産を控えた会員のフォローなど、次から次へとやって来る仕事に忙殺される日々が始まりました。

娘が思い切り遊べるようにと飛び込んだ活動でしたが、出産まで勤めていた英語講師はやめてしまい、忙し過ぎて再開の目途も立たず「このままでいいのかしら? 」と迷うこともしばしば。一時は退会も考えたものの、楽しそうにしている娘を見るとやめられないのです。もやもやは次第に大きくなっていきました。

ある日、1人のママに私が音大卒であることを話したところ「私にピアノを教えてくれない? 」と頼まれました。聞けば男子3人の子育てに疲れ、気持ちがすさんでいるとのこと。二つ返事で快諾し、教える約束をしました。

赤子を背負ってショパンの難曲を弾いたママ友

当日、彼女は3人の子どもたちを連れてわが家にやって来ました。6カ月の赤ちゃんは背中におんぶしたまま、2人のお兄ちゃんたちはすぐに追いかけっこを始める始末。ピアノのレッスンなどできる状況とは思えません。内心無理かなと思いつつ、レッスンは始まりました。

彼女は赤ちゃんをおんぶしたまま、ショパンの「バラード第1番」という10分間の長い曲を弾き始めました。弾きながら体を揺らすにつれ、赤ちゃんが泣き始めます。それでも演奏は続きます。そのうちお兄ちゃんたちが喧嘩を始めました。それでも演奏は止まりません。ついに1曲弾き切ったときには、部屋中が散らかってカオス状態に……。

彼女の演奏を聴きながら、私は自分の中の常識が崩れていくのを感じました。静かでなくても音楽はできる。子どもが騒いでも、走り回っていてもレッスンすればいいのだと。

その日から、私たちは定期的にレッスンを始めました。私が無料でピアノを教えている話はあっという間に広まり、自分も教わりたいというママたちが集まりました。しばらくすると、わが家は大勢の母子でにぎわい始めました。

ママ友の協力でピアノ教室を開業

集まったママたちは皆「何かしたいけれど、子連れでは身動きが取れない」と言いました。昔はピアノを習っていたけれど、先生が厳しくてやめてしまったとも。「子連れで習える、絶対に怒られない教室を開こうか」。子どもが騒いでも、練習しなくてもOKなピアノ教室を……。

早速、ホームページを作れるママにお願いして、教室のサイトを作ってもらいました。ボランティアではない本物の教室の開業です。 とはいえ、うまくいくかどうかは半信半疑でした。というのも、私が住んでいる住宅地はすでにピアノ教室が5、6軒あり、新規参入の余地はないように見えたからです。

しかも、小学校が1学年1クラスの学年もあるほど子どもの少ない地域。私が開くのは「練習しなくていい教室」などと言い切ってしまう珍しいスタイルですし、完全にダメ元という気持ちでした。 ところが、生徒は集まってきたのです。電車で2時間かけて、あるいは車で30分かけて、遠くから。

赤ちゃんを連れたママや、自由保育系の幼稚園に通っている子、「小さいころにピアノの先生が怖くて自分はやめてしまったが、子どもにはのびのび習わせたい」と言って子どもを連れてきた人もいます。ネットでわざわざ探して来てくれた人たちです。 気が付いたら、教室はすっかり軌道に乗っていました。

まとめ

私のピアノ教室は、もともと持っていたピアノ演奏の技術にママ友たちの視点が加わり、自分では思い付かなかった方向性で生まれたものです。ある意味ママ友たちとの合作ともいえる教室ですが、そのおかげで少子高齢化の進む地域での開業という壁を破ることができました。

最初は自分には何もできないと思っていました。けれども人の輪に入っていき、ささいなことでもコミュニティーの役に立ってみると、人の目を通して新たな自分を発見することがあります。そうした積み重ねが思わぬ道をひらくこともある。そんな学びを得た経験でした。

※記事の内容は公開当時の情報であり、現在と異なる場合があります。

監修/駒形依子先生(こまがた医院院長)
イラスト/村澤綾香

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