手の甲の血管が浮き出る「ハンドベイン」これって病気? 受診はどうする?【医師解説】

手の甲の血管が浮き出る「ハンドベイン」これって病気? 受診はどうする?【医師解説】

手の甲に青く浮き出た血管が目立つ「ハンドベイン」。特に痛みや不快感はありませんが、自分の手は常に目に入る部分だけに、一度ハンドベインが気になり出すと悩みはなかなか薄れないものです。ハンドベインとはいったいどのようなものなのか、ハンドベイン治療の第一人者である大阪静脈瘤クリニック院長の佟暁寧先生にお聞きしました。

手の血管が目立つハンドベインは病気ではない

――ハンドベインとはどのようなものなのでしょうか?

佟先生 手の目立った血管はすべて静脈(英語:vein/ベイン)と言います。「ハンドベイン」の「ハンド」は手、「ベイン」は静脈で、一般的に手の浮き出た血管を「ハンドベイン」と呼んでいます。

――ハンドベインは病気の一種なのでしょうか?

佟先生 実は、世間ではよく勘違いをされているのですが、ハンドベインは病気ではないんですね。ですから、僕の場合、病気で来院される方は「患者さん」と呼びますが、ハンドベインでいらっしゃる方のことは「お客さん」と呼んでいます。

――ハンドベインは病気ではないということは、特に治さなくても大丈夫なのでしょうか。

佟先生 はい、ハンドベインを放置していても手に病的な影響を与えることはありません。ただ、手は日常的に目に触れる部分ですから。ハンドベインがあることで自分自身が憂うつな気分になったり、人前で手を出すことをためらわれる方もいらっしゃいます。

――どうしてハンドベインができるのでしょうか?

佟先生 一番大きな要素は遺伝です。例えば、「下肢静脈瘤」という足の血管が目立つ病気がありますが、親御さんに下肢静脈瘤があるとほとんどの場合、お子さんにも遺伝します。ハンドメインは病気ではありませんが、血管の素材は親御さんからいただいたものなので、親御さんにハンドベインがあればお子さんにも遺伝する可能性が高いんです。

 また、仕事や運動で手や腕の筋肉をよく使うと筋肉量が増え、血管内を流れる血流が多くなるので、手の血管が拡張し目立ちやすくなります。さらに、加齢によって肌の弾力が衰えて皮膚が薄くなることで、手の血管が浮き出て見えるようにもなります。

――遺伝、手や腕の筋肉量の増加、加齢の3つが大きな要因ということですね。

佟先生 そうです。ただし、これらの要因の基盤となるのは遺伝です。たくさん運動をしても年齢を重ねても、手の血管が浮き出てこない方もいらっしゃいます。こうした方は、そもそも遺伝という基盤がないということなんですね。

ハンドメインで悩むのは更年期後の女性が多い

――ハンドベインで悩み、佟先生のクリニックに足を運ぶ方はおいくつくらいの方が多いのでしょうか。

佟先生 僕がこれまで治療したお客さんは22歳から89歳までと、幅広い年齢層の方がいらっしゃいます。その大半は40代、50代以上の方です。なぜかというと、更年期を迎えると女性ホルモンが減って肌の潤いや弾力性が衰えるために皮膚が薄くなり、手の血管が目立つようになる方が多いからです。

――ハンドベインで来院される方は、どのようなお悩みを抱えているものなのでしょうか。

佟先生 お悩みはお客さんによってさまざまですが、「血管が浮き出た自分の手を目にするたびに気が滅入ってしまう」といった内容のことは、頻繁に耳にしています。人の目が気になるというよりも、悩みの一番コアな部分はご自分の中にある方が多いと感じています。

――同じような手の状態でも、特に気になさる方が先生のクリニックを訪れるということでしょうか。

佟先生 そうです。ちなみに89歳のお客さんは、「20歳年下の彼氏と手をつなぐときに手の血管が気になるから、きれいにしたい」とおっしゃっていました。僕はこういうお話を聞くたびに、お客さんを心の底から応援したくなるんです(笑)。

最適な治療法を判断してくれるクリニックを選ぶのが大切

――「手の血管が気になる……」というときは、どういった診療科目の病院を受診すればいいのでしょうか?

佟先生 この質問には、ひと言ではなかなかお答えしにくいんです。というのも、ハンドベインの治療は欧米では広く普及しているのですが、日本ではまだあまり知られていないんですね。ハンドベインを治療するクリニック自体もあまりないのが現状です。

――ハンドベインを治療できる病院を探すためのコツを教えてください。

佟先生 インターネットで「ハンドベイン」と検索をするとたくさんのクリニックがヒットします。詳しい治療方法については次回お伝えしますが、ハンドベインには注射による「硬化療法」と「レーザー治療」の2つの治療法があります。ハンドベイン治療をうたっているクリニックのなかには硬化治療のみをおこなっているところもありますが、両方の治療が可能で、かつ、手の状態を診て最適な治療法を判断してくれるところを受診してもらいたいですね。

取材・文/熊谷あづさ(50歳)
ライター。1971年宮城県生まれ。埼玉大学教育学部卒業後、会社員を経てライターに転身。週刊誌や月刊誌、健康誌を中心に医療・健康、食、本、人物インタビューなどの取材・執筆を手がける。著書に『ニャン生訓』(集英社インターナショナル)。

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