残りの人生を見つめ直し。時間を金で買う私が青春18きっぷにハマったわけ【体験談】

残りの人生を見つめ直し。時間を金で買う私が青春18きっぷにハマったわけ【体験談】

大学を卒業してから約30年間、私は仕事漬けの毎日を過ごしてきました。53歳、結婚もせず、子どもも産まず、本当にこのままで私の人生いいのだろうか? 残りの人生について見つめ直したいと、少し前から思っていました。そして、ついにこの春、長年勤めていた会社を退職したのです。「自由な旅をしたい!」。しかし、収入がなくなった私は以前から気になっていた「青春18きっぷ」の旅に出てみました。

今までの旅行は効率重視でスケジュールびっしり!

今の私は、お金はないけれどたっぷり時間があります。私のこれまでの旅と言えば、せいぜい一泊か二泊という短い日程の中に有名どころの観光地を可能な限り効率良く回るものばかりでした。私は京都が好きで年に一度は訪れていましたが、当たり前のように新幹線を使い、現地での観光を満喫できるようにとあらかじめ計画を練ってスケジュールをびっしり盛り込んだ旅行をしていました。「時間を金で買う!」。よく後輩に私が言っていた言葉です。

また、海外に行ったら、必ず免税店に出かけてショッピング。友だちや職場の仲間へのお土産が気にかかり、そこにエネルギーを費やすという状況……。本来、それが目的ではないはずなのに、結構そこでパワーを持っていかれます。それが従来の私の旅のスタンダードでありました。

でも、鈍行の列車旅は、車窓から見える景色が新幹線のそれとはまったく違います。東海道新幹線と似たようなルートで西へ西へと走っていても、ゆったり流れる時間の中で、時に海岸線、時に小さな駅周辺の街並みまで、じっくり見えてきます。青春18きっぷの旅は、私にそういう発見をさせてくれる時間というか、すき間、猶予をくれる感じがするのです。

ぜいたくであったかい時間の流れに浸る旅へ

それから、在来線はその土地の生活感に出会えます。学生さん同士の部活の会話、杖を突いたおばあさんの姿、営業マン風会社員、なかには私と同じ青春18きっぷ仲間(見ると同じにおいがするので勝手に仲間と認定)などなど、こういうメンバーが一堂に会すことは、飛行機や新幹線にはありません。

その車両の中で、漏れ聞こえてくる土地の方言や夕飯のおかずの話、友だちや家族の愚痴までもが、そのほんわかした空気に流れてくるのです。

列車に揺られながら、空や雲の美しさ、太陽の光が反射し輝く水平線、線路まで迫って来る山々、震災や台風被害の爪痕などを車窓から見ながら、そのときそのとき心が動かされるのです。今までこんな経験を旅先でしたことがありません。世界遺産に登録されるような寺院や景色を観て、私はそれを「旅」と呼んでいました。しかし、そういうことばかりが旅ではないのだと改めて気付かされます。目的地に行く途中もまた旅の楽しみだということ、ここにぜいたくな時間があるのだと感じました。

人生もまた旅と同じ、次なる一歩へ

保育園での仕事は充実感や達成感はありましたが、イレギュラーやアクシデントに対応できるようにと、雑事や作業については効率重視。あっという間に毎日が過ぎました。さまざまな経験の中にはカッコいいことばかりでなく、失敗や恥ずかしい思い、つらい思いや他の人の弱さを否定したり批判したりと……反省も多い。そんな多くの経験の上で、この旅の面白さにようやく気付けたような気もします。

一つひとつの出来事や事象を私なりのアンテナで感じ取り、小さな発見をおもしろがって好奇心のおもむくままに楽しめる自分。そして、この経験は私の次なる目標へのヒントをくれました。

各駅停車の旅のようにじっくり自身と向き合い考えた末に、私は長く住んだ都会を離れ、農業に挑戦したいという昔からひそかに抱いていた夢に踏み出すことにしました。農業の師匠は「農業では食っていけない」と幼いころから私に言ってきた両親。小規模でも消費者のニーズにこたえる安全安心な野菜を届けたいと考えています。結果ばかりを欲しがらず、一歩一歩、地に足を着けて残りの人生を日々丁寧に暮らしていくことも大切にしたいと思っています。

まとめ

若い人たちを見ていると、たしかにうらやましい気持ちはあります。時間だけは戻らないですからね。でも、この年齢にならないとわからなかったこの感覚を青春18きっぷの旅は私に教えてくれました。オトナ女子にぴったりの青春18きっぷだと私は思うのですが、今後、この旅の大敵はきっと「頻尿」と「腰痛」ではないかなと思っています。いつまでもこの旅を楽しめるように、私は大腰筋のストレッチと骨盤底筋トレーニングに励みます! 肛門を締めつつ、呼吸に注意を払はらいながら体幹を鍛える……。テレビの健康番組をヒントに、これまたのんびりゆったりと楽しもうと思います。そしてまた次の旅を計画したいと思います。

※記事の内容は公開当時の情報であり、現在と異なる場合があります。記事の内容は個人の感想です。

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