- 2024.04.04
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彼女とは30年以上もの長い付き合い。お互いの長所も短所も認め合い、困ったときには助け合えるとても良好な関係でした。お互い子どもは1人でパート勤務、夫は出張がちなどの境遇が似ており、同じような悩みを持っていました。そのためか、2週間に1度の電話では話がはずみ、通話時間が2時間を超えることもしばしば。住まいが遠いので、会えるのは年に1回ほどでしたが、その時間はとても充実していました。しかし、そんな2人に1年ほど前から加齢によるお互いの価値観の変化がもたらす心のすれ違いが生じ始めたのです。
当時、世間ではコロナ禍の影響による失職という話題も取りざたされていました。失職が心配な私は、在宅ワークを始めることに。運よく仕事も受注でき、パートと在宅ワーク、定年退職後の夫の世話で大忙しの毎日。一方、彼女の夫は現役で帰宅も遅い上、子どもも結婚で独立をされ、寂しかったようです。そんな心の隙間を埋めるべく頻繁に連絡を取りたがる彼女に、忙しさであまり連絡を取れない私。それでも関係を保ちたいと、短時間でも連絡をしましたが彼女には不満だったようです。そのうち、なんとなく2人の間に隙間風が吹くようになっていきました。
彼女との関係に悩んでいたある日、1通のメールが。私は、2人の間に流れる空気がおかしいと感じつつも、時間を見つけてはなるべく連絡を取るようにしていました。「コロナ、お互いに気を付けようね」などの会話を交わしながら関係を維持していたのです。しかし、維持できていると思っていたのは、残念ながら私だけでした。
メールの文面には、加齢によるお互いの価値観の変化で、子どもの独立により寂しがり屋になり、友人とは頻繁に連絡を取り合いたいと思う彼女が、年齢を重ねるごとにやりたいことがたくさんで自分の生活を優先させあまり積極的に連絡を取らなくなった私に、付き合いが悪くなったという不満がつづられていたのです。親友なのにこんなに連絡を取り合えないのはおかしい。これが親友と呼べるのか、といった内容でした。
私自身も大切な友人である彼女と満足にコミュニケーションを取れないことを悔やんでいる一方で、在宅ワークで始めたライティングが楽しくなり、もっと仕事の幅を広げたいし、いろいろな人たちと知り合いたい。習い事などもして自分の世界を広げたいという思いを捨てることができませんでした。
彼女のメールを見て、私は直接話し合いたいと思い、すぐに電話しました。そして、彼女の気持ちを尊重しつつ、自分の置かれている現状、彼女のことを大切に思っているけれどなかなか時間が取れないこと。頻繁な連絡はできないけれど、何かあるときにはすぐに駆け付ける気持ちでいることなどを伝えました。
彼女は私の状況や気持ちを理解してくれたものの、寂しい気持ちを抑えることが難しかったようです。彼女は社交的な性格で、多くの友人がいる魅力的な人です。でも、本当につらいときに本心を話すことができるのは、私だけなのだと言ってくれました。私は彼女のその言葉にとても感動すると同時に、こんなに思ってくれる友人より自分の気持ちばかりを優先していたと反省。こんな友人関係は、年を取れば取るほど得がたくなる貴重なものだと思います。
私たちはよく話し合った結果、今は少し離れてみようという結論にたどり着きました。離れていてもお互いを思う気持ちは変わらないけれど、このまま一緒にいても喧嘩やすれ違いを生むだけ。だったらしばらく冷却期間を設けてみようというものでした。
私のように、一方はもっと密に連絡を取りたい、もう一方はやりたいことに時間を使いたいなど、加齢による価値観の変化で昔からの友人とすれ違ってしまうことはよくあるようです。私の周りの人からも、同様の理由で友人と疎遠になってしまったという話をよく聞きます。
月日がたてば置かれている境遇も変わり、若いころと同じ価値観や付き合い方は難しくなります。だからといって、やはり縁あって仲良くなった大切な友人ですから関係を絶つのではなく、大切にしたいものです。そうなるとベストな解決策は、少し冷却期間を設けることだと思いました。もともと親しい間柄。少し時間を置くことで、また笑顔で会える日が来ると私は信じています。
※記事の内容は公開当時の情報であり、現在と異なる場合があります。記事の内容は個人の感想です。
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