
「最近、家族やパートナーの前でよくおならをしてしまう」と感じたことはありませんか。在宅時間が増えて気も心も緩みがちではありますが、若いころはもう少しおならをコントロールできていたような……。原因はどこにあり、また、改善できるものなのでしょうか。女性の体に詳しい、産婦人科医の駒形依子先生に聞きました。
原因は肛門括約筋の衰え

おならをコントロールできなくなる原因は大きく2つあると駒形先生は言います。まずひとつは肛門括約筋の衰えだそうです。
「 肛門括約筋は肛門の開閉をコントロールしている筋肉で、内肛門括約筋と外肛門括約筋があります。これらが衰えることでガスのコントロールができなくなってくるのですが、衰える原因としては大きく4つ考えられます。
- 加齢
- 痔
- 排便時のいきみ
- 出産時の損傷
まず加齢ですが、これは女性ホルモンの分泌低下というよりも筋力不足が原因になります。使わない年月を重ねた結果ということです。次に痔、排便時のいきみ、出産ですが、これらにより筋肉や組織が損傷し、ダメージを受けます。ダメージを受けると血行が悪くなり、筋肉の再生も遅くなります。痔の症状をそのままにしていたり、便秘を解消せずにいきみ続けていると筋肉がどんどん衰えていくのです。
ですから、痔や便秘はできるだけ早く解消しておいたほうが良いですね」(駒形先生)。
骨盤底筋群の緩みも関係する

また、肛門括約筋だけではなく骨盤底筋群の緩みも関係するそうです。
「骨盤内の臓器を支えている骨盤底筋群は、年齢とともに衰えていきます。加齢に伴い骨盤内の臓器(膀胱や直腸、子宮など)を支えられなくなるため、臓器が下がりやすくなってしまい、直腸にガスをためておく力が低下してしまうのです。もともと筋肉量の少ない女性には、特にその傾向があります。
直腸でガスをためる力が弱くなったとき、ガスが漏れるのを防ぐ最後の砦は肛門です。そこで肛門括約筋が弱っていると、肛門が緩んでしまうためガスもれ、つまりおならが出やすくなるのです」(駒形先生)。