
特に症状はないのに、健診で子宮筋腫と指摘された経験はありませんか? 筋腫というと悪性腫瘍=がんとの関連が気になったり、診断書には経過観察とあるものの、婦人科を受診するべきかどうか不安になったりする方は多いのではないでしょうか。そこで、 産婦人科医の駒形依子先生に子宮筋腫がどんな病気であり、どのように対処すると良いのかを聞きました。
子宮筋腫とはどんな病気?

40代では2人に1人があるという良性の腫瘍
まず、子宮筋腫とはどのような病気なのでしょうか。
「子宮を構成する平滑筋という筋肉が増殖してできる良性の腫瘍です。小さなものを含めればほとんどの女性にあると言って良く、40代では2人に1人にはあるとされています。40代で多いのは、小さいために健診で指摘されることもなく、症状もないことで治療をしてこなかったからです。子宮筋腫はできる箇所によって3種類あります」(駒形先生)。
- 筋層内筋腫(最も多く、多発しやすいが症状が出にくい)
- 粘膜下筋腫(小さくても症状が強い)
- 漿膜下筋腫(大きくなるまで無症状が多い)
【主な症状】
- 経血にレバーのような血の塊が混じる
- 経血の量が多くなる
- 月経期間が長引く
- 月経期間中に下腹部が張る
- 不正出血がある
- 下腹部に硬いしこりを感じる
- 貧血の症状がある
- 頻尿や便秘がある
- 腰痛や下腹部痛がある
上記にあるような症状がつらい場合は婦人科を受診すると良いでしょう。特にない場合は経過観察で大丈夫です。治療には薬物療法と手術療法があります。出産を希望しない場合は子宮全摘出手術を選ぶ人もいます」(駒形先生)。
子宮筋腫はどうしてできる?

女性ホルモンにより筋腫が成長する
それでは、症状が強くない限り、子宮筋腫と指摘されてもあまり気にしなくて良いということでしょうか。
「子宮筋腫は卵巣から分泌される女性ホルモンのエストロゲンにより成長することがわかっているので、閉経すれば治まってきますし、悪性腫瘍に移行することはゼロではありませんがまれです。 とはいえ筋腫があるということは、体がSOSを出しているということですから、症状がなくても原因は探ったほうが良いと思います」(駒形先生)。
子宮筋腫ができる原因にはどんなことが考えられるのでしょうか。
「子宮筋腫に限りませんが、漢方医学の観点から見れば、やはり毎日の生活習慣に原因があると思います」(駒形先生)。
次の章では、子宮筋腫を防ぐ生活習慣について紹介します。