
40代を過ぎてから、「そんなに食べていないのになぜ体重が増えるの?」と感じる人は多いのではないでしょうか。1990年の国際肥満学会で、肥満の人の7割が「モナリザ症候群」という発表がありました。それによると肥満は自律神経と深い関係があるといいます。「モナリザ症候群」とはどんな症状で、どんな人がなりやすいのでしょうか。美容・アンチエイジング専門医の黒田愛美先生に聞きました。
教えてくれたのは…
監修/黒田愛美先生(Zetith Beauty Clinic副院長)
美容・アンチエイジング専門医。トライアスリート。1979年東京生まれ。2003年獨協医科大学医学部卒業後、東京女子医科大学内分泌乳腺外科に入局。2007年品川美容外科へ入職、2011年品川スキンクリニック新宿院の院長に就任。2013年同クリニック、表参道院院長に就任。その後、予防医学と分子栄養学を改めて学び、美容外科、美容皮膚科、アンチエイジング内科の非常勤医師として複数のクリニックの勤務を経て、現在に至る。
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そもそもモナリザ症候群とは?

自律神経の切り替え不良が引き起こす肥満
モナリザと聞くとレオナルド・ダ・ヴィンチの絵画が思い浮かびますが……。
「絵画のモナリザとは無関係です。モナリザ症候群は「Most Obesity Known Are Low In Sympathetic Activity.」の頭文字からとった造語で、ほとんどの肥満は交感神経の働きの低下による、といった意味です」(黒田先生)。
交感神経の働きの低下、とはどういう意味なのでしょうか。
「私たちの体は、活動モードの交感神経とリラックスモードの副交感神経という、2つの自律神経がスムーズに切り替わることで健康は維持されています。
交感神経が優位に働くと、心身が活発になって消費カロリーが増加しますが、副交感神経が優位になると心身にブレーキをかけ、代謝が下がるようになっているのです。
モナリザ症候群は、この交感神経と副交感神経のスイッチの切り替えがうまくできないことで消費カロリーや代謝が落ち、それほど食べなくても太りやすくなる状態を指しています」(黒田先生)。
モナリザ症候群の原因となるNG習慣とは?

メリハリのない、だらだら習慣が原因
なぜ、交感神経と副交感神経のスイッチの切り替えがうまくできなくなるのでしょうか。
「緊張モードとリラックスモードのメリハリがついていれば、問題なくスイッチの切り替えはできるはずです。
しかし、例えば
- 朝、決まった時間に起きない
- 人と会って話さない日がある
- 1日中部屋着で過ごす
- 運動よりだらだらするのが好き
- お風呂はシャワーで済ませる
- 夜、ついスマホを見ながら夜更かししてしまう
といった、緊張感のない生活、またはリラックスがない生活を続けていると、自律神経のバランスが乱れてしまうのです。コロナ禍でリモートワークが増え、家で1日中過ごすことが増えたことも要因でしょう」(黒田先生)
更年期のホルモンバランスも一因
「また、女性ホルモンのバランスの乱れが自律神経にも影響しています。女性ホルモンが低下する更年期は特に自律神経が乱れやすいので、注意が必要です」(黒田先生)。