
若いころから貧血に悩まされる女性は多いでしょう。慢性的になると対策も怠りがちですが、40代、50代と年を重ねると放置することで思わぬトラブルを招くそうです。貧血の原因である鉄分不足は年を重ねた女性にどんな影響を与えるのでしょうか。美容専門医の黒田愛美先生に聞きました。
教えてくれたのは…
監修/黒田愛美先生(Zetith Beauty Clinic副院長)
美容・アンチエイジング専門医。トライアスリート。1979年東京生まれ。2003年獨協医科大学医学部卒業後、東京女子医科大学内分泌乳腺外科に入局。2007年品川美容外科へ入職、2011年品川スキンクリニック新宿院の院長に就任。2013年同クリニック、表参道院院長に就任。その後、予防医学と分子栄養学を改めて学び、美容外科、美容皮膚科、アンチエイジング内科の非常勤医師として複数のクリニックの勤務を経て、現在に至る。
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そもそも貧血とは?

体内の酸素が不足してしまう状態
厚生労働省の『日本人の食事摂取基準 2020年版』によれば、体の代謝によって女性では約0.8mgの鉄を1日に損失しており、月経中は1日あたりに換算するとさらに約0.5mgの鉄を損失するとされています。1日に推奨摂取量は、月経中の女性では10.5mg、月経のない時期の女性で6.5mgですが、日本女性は必要量の6割も摂取できていないといいます。
鉄分不足となると思い浮かぶのが貧血ですが、そもそも貧血とはどんな状態のことをいうのでしょうか。
「貧血とは、赤血球に含まれるヘモグロビン濃度が低下した状態をいいます。ヘモグロビンは酸素を全身に運搬していますが、体内に含まれる鉄が減少してしまうと、ヘモグロビンも減り、酸素を全身に運搬する能力が低下してしまうのです。
その結果、体内の酸素不足から疲労感、頭痛、息切れ、めまい、立ちくらみなどの症状が出やすくなります」(黒田先生)。
鉄分不足は貧血以外にも影響がある?

コラーゲン不足の原因にも
「アンチエイジングの観点から見ても鉄分はとても大切な成分です。なぜなら、鉄分はコラーゲン生成に関わるからです。鉄分が不足すればコラーゲンも不足します。
コラーゲンはご存じの通り、肌のハリや弾力を保ったり、髪のツヤを保つなど美容のためには欠かせない成分です。紫外線対策が不十分だとシワやシミ、たるみなどの肌トラブルを悪化させる原因となります。
また、コラーゲンは美容だけでなく健康面でも重要な成分です。軟骨や関節、骨、血管をはじめあらゆる臓器の健康を保つために欠かせない成分です。
鉄分は貧血予防というだけでなく、コラーゲン不足予防のためにも意識したい成分です」(黒田先生)。