
近ごろ、天気や気圧の変化によって頭痛やめまいなどを訴える人が増えています。謎の不調は「天気痛(てんきつう)」もしくは「気象痛」と呼ばれ、女性の患者が多いのも特徴。なぜこんな症状が起こるのでしょうか? メカニズムや対策を耳鼻咽喉科医の高島雅之先生に教えてもらいました。
教えてくれたのは……
監修/高島雅之先生(たかしま耳鼻咽喉科院長)
日本耳鼻咽喉科学会専門医、日本睡眠学会専門医。金沢医科大学医学部卒業。金沢医科大学耳鼻咽喉科で講師を務めたのち、2006年に開院。「病気の状態や経過について可能な範囲でわかりやすく説明する」ことをモットーに地域医療に従事。『宇都宮睡眠呼吸センター』を併設し睡眠医療にも携わる。
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「天気痛」はどうして起こる? 症状は?
気圧の変化を内耳がキャッチ。脳が過剰に反応し血流悪化

実は天気痛のきっかけとなるのは「耳」。
低気圧になると、耳の一番奥にある「内耳」のセンサーが刺激を受けます。すると脳が過剰反応して自律神経のバランスを乱してしまいます。
自律神経には、活動的になると優位になる「交感神経」と休息時に優位になる「副交感神経」があります。両者のバランスが崩れ、交感神経が過剰に高まると体は過緊張状態に。血管が収縮して血流が悪くなり、頭痛などの不調を引き起こします。
頭痛の他、耳のトラブルや心の不調を引き起こす

頭痛がメインですが、天気痛の症状はさまざまです。内耳が刺激を受けるため、低音が聞き取りにくくなる急性低音難聴や耳鳴りなど耳のトラブルも見られます。
また副交感神経が過剰になった結果、気分の落ち込みや倦怠感などが表れることも。思春期の場合、天気痛による倦怠感と「起立性調節障害」との見分けがつきにくいため、判断には注意が必要です。
〔天気痛の主な症状〕
頭痛 めまい 急性低音難聴 気管支喘息 首痛 肩凝り 関節痛 心の不調(気分の落ち込み、倦怠感など)
「雨が降ると古傷が痛む」のも天気痛の特徴
昔から「雨が降ると古傷が痛む」と言われていますが、これも天気痛の1つ。気圧が低くなると神経伝達物質のヒスタミンの分泌が促されます。ヒスタミンは炎症に作用するため、痛みや腫れが生じてしまうのです。