
まぶたが重く目が開かなくなってきた、と思うことはありませんか? 物を見ようにもまぶたが開かず、苦労している方もいるのではないでしょうか。もしかしたらそれ、「眼瞼下垂(がんけんかすい)」かもしれません。眼瞼下垂の原因や簡単にできるセルフチェック法などを眼科医の田辺直樹先生にお伺いしました。
教えてくれたのは…
監修/田辺直樹先生(田辺眼科クリニック院長)
日本眼科学会認定専門医。札幌医科大学医学部卒業。名鉄病院、名古屋大学、知多市民病院で眼科医員、公立学校共済組合 東海中央病院で眼科医長を務めたのち、2004年に地元愛知県名古屋市にて、田辺眼科クリニックを開院。子どもからお年寄りまで幅広い目の悩みに対するきめ細かいケアに定評がある。
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まぶたが下がるだけでうつになる?

原因はおでこの筋肉
眼瞼下垂とは、まぶたが垂れ下がる病気のことです。先天的にまぶたが下がっている人もいますが、多くは加齢や目の筋肉の衰えが原因なのだそう。
「眼瞼下垂は50〜60歳くらいに多い病気です。若いうちは目の筋肉がしっかりしているのですが、その筋肉が衰えてくる40代くらいから徐々にまぶたが下がってきてしまいます。
まぶたが下がってくると、まぶたが目に覆いかぶさって物が見えにくくなります。放置しているとさらにまぶたが下がってしまい、視野が狭まって日常生活に支障を来すこともあります」(田辺先生)
他にはどのような症状がありますか?
「目の筋肉の衰えでまぶたが下がると、今度は前頭筋というおでこの筋肉を使ってまぶたを上げようとします。すると、前頭筋がずっと緊張した状態になってしまいます。
前頭筋が緊張し続けると、交感神経が優位になってしまい自律神経のバランスが崩れてしまうといわれています。そうすると自律神経失調症やうつのような症状など精神的にも影響が出てきてしまいます。
また、肩凝りや頭痛といった症状も引き起こすことがあります」(田辺先生)
ふとした行動が原因!?

目をこするのはNG!
眼瞼下垂の原因は、まぶたを持ち上げる眼瞼挙筋(がんけんきょきん)と瞼板(けんばん)に大きく関係しています。
眼瞼挙筋の筋力が衰えたり、眼瞼挙筋と瞼板の付着が弱まることでまぶたが垂れ下がってしまいます。中には眼瞼挙筋に穴が空いたりすることもあるそうです。
「普段からハードコンタクトレンズを使用している方は要注意ですね。ハードコンタクトレンズは硬いので、眼瞼挙筋と瞼板を物理的に刺激してしまいます。それに、外すときにまぶたを引っ張ってしまうこともあるのでそれも良くありません。
ソフトコンタクトレンズは柔らかいのでハードコンタクトレンズよりも眼瞼下垂のリスクは下がります。
他にも目をこすってしまうことも、眼瞼挙筋などの劣化を早めてしまうことにつながりますのであまり良くないです。
女性はメイクをしている方がほとんどだと思います。目の周りのメイクを落とすときはこすらないよう気をつけたほうがいいですね」(田辺先生)
眼瞼下垂の原因は筋肉だけなのでしょうか?
「筋肉以外にも動眼神経という神経が影響していることもあります。眼瞼挙筋は動眼神経とつながっているので、糖尿病や動脈瘤などで動眼神経が悪くなってしまうと眼瞼下垂になってしまうことがります」(田辺先生)