お客さまに褒められた唇
あれは春のプロモーションのときでした。春なので明るくてさわやかな色がベースとなります。フレッシャーズも多いのできつい色や濃い目の色はあまりラインナップになく、春らしいピンクや使いやすいピンクベージュなどです。
私の厚い唇がまた強調されてしまい、暗い気持ちになっていたある日、「あなたの付けている色、良い色ね。どの色?」とお客さまに聞かれました。その日は新色の紫ががったピンクで、グロスもうっすら重ねていて決して自分では似合ってるとは思っていなかったので少し驚きました。
お客さまの唇にお付けしたところ「すてきな色だけど、あなたみたいにボリュームのあるセクシーな唇だともっと良いのよね」と、自然に褒めてくださったのです。見方を変えればぽってり厚い唇が口紅をきれいに見せてくれたのかもしれません。
それからは、薄い色も濃い色もチャレンジするようになり、褒めていただくことも増え、自分の唇を受け入れることができるようになりました。
まとめ
今は女優さんでも厚い唇がセクシーですてきと言われることも増えました。あれだけ嫌だった唇ですが、今は気になりません。
子どもも私に似て厚めの唇ですが、「ふっくらしていてかわいいよ」といつも褒めてあげて、私みたいにコンプレックスの塊にならないように心がけています。お客さまにとっては何げないひと言だったのかもしれませんが、私にとっては、長い間の悩みを吹き飛ばしてくれた涙が出るほどうれしいひと言でした。
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イラスト/サトウユカ