
誰にでも訪れる更年期。しかし、具体的に更年期の症状がどんなものかを把握しているという方は意外と少なく、どんな症状が訪れるのかと不安に感じているという方もいるのではないでしょうか? そこで今回は、産婦人科医の粒来 拓先生に更年期はいつから始まり、どんな症状が出るのかを聞いてみました。
専門家のお話を参考にして、更年期についての正しい知識を身につけていきましょう。
『この記事はこんな人におすすめ』
- 更年期についての理解を深めたい方
- 更年期の症状がどんなものか知りたい方
- 更年期がいつから始まるのか知りたい方
更年期症状ってどんなもの?
のぼせやほてりなどさまざまな体の不調

更年期症状とは、更年期の期間に表れるさまざまな症状のことをいいます。脳の視床下部は頑張って分泌させようと指令を出し続けますが、それまでのようにはエストロゲンを維持できません。エストロゲンは子宮だけでなく体のさまざまなところに作用しています。不足するとのぼせ、ほてりなどの症状や、発汗など自律神経失調症に似た症状をはじめ、さまざまな体の不調を引き起こします。これが更年期症状です。
誰もが迎える更年期ですが、症状が軽く、生活に支障なく過ごせる人も多くいます。自分で心身の変化や状態を受け止めて、医療機関への受診を含め更年期症状とうまく付き合う方法を見つけていくことが大切です。
よく表れる更年期症状とは?

更年期によく表れる症状は、以下のものがあります。
- 血管運動神経症状(のぼせ、ほてり、発汗)
- 精神神経症状(イライラする、憂うつになる、不眠、不安感が強い)
- 頭の症状(頭痛、頭が重い)
- 末梢神経系(手足のしびれ、こわばり)
- 運動器系(肩凝り、腰痛、関節痛)
- 生殖・泌尿器系(頻尿、尿漏れ、性交痛)
- 皮膚の症状(乾燥肌、かゆみ)
- 消化器系(のどの違和感、おなかが張る、便秘)
- 循環器系(動悸、息切れ)
- 全身症状やそのほか(だるい、疲れやすい、冷え、めまい、ふらつき、ドライアイ、目の疲れ、においに敏感、物忘れが多い、指が太くなる、太りやすい)
特によく表れる更年期症状は、「1.血管運動神経症状ののぼせ、ほてり、発汗」、次に多いのが「2.精神神経症状のイライラする、憂うつになる、不眠」などです。
表れる症状は人によってさまざま。症状に強弱はあるものの、いろいろ重なって表れることが多いとされます。
【主な更年期症状】
・のぼせ
・ほてり
・発汗
・イライラする
・憂うつになる
・不眠
更年期っていつから?
閉経前後の10年を「更年期」という

卵巣には寿命があり、一般的には50歳前後だといわれています。その卵巣が弱ってきて、今まで規則的に分泌されていた女性ホルモン(エストロゲン、プロゲステロン)の分泌が減少し、その結果、月経が止まることを閉経といいます。この閉経の前5年、後ろ5年の合わせて10年間を「更年期」と呼びます。
月経は突然パタッと来なくなる人はまれで、周期が短くなったり、だんだん間隔が空いたり、不順になったと思ったらまた順調に来たり……と閉経までの過程は人によってさまざまです。最終的に、最後の月経から1年間出血がなければ閉経と診断されます。日本人の閉経年齢の平均は50.5歳とされますが、実際には45歳から55歳までと幅があり、その人にとっての閉経年齢から前後5年間が更年期となります。ですので、40代に入れば誰しもが更年期である可能性があります。
次の章で、更年期症状と更年期障害の違いについてお伝えします。