
更年期に表れる全身症状として体が冷えることもあります。もともと女性に多い冷えですが、更年期になるとさらに症状がひどくなることがあるようです。さらに心配なのは、冷えにはさまざまな病気が隠れていることも。そこで産婦人科医の粒来 拓先生に受診の目安や治療、セルフケア法を聞いてみました。
「この記事はこんな人におすすめ」
・更年期の体の「冷え」について悩んでいる方
・更年期の体の「冷え」の仕組みについて知りたい方
・更年期の体の「冷え」の改善方法について知りたい方
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更年期での体の「冷え」の原因は?
エストロゲンの分泌低下によるものや生活習慣病も

更年期による体の冷えの原因は、卵巣ホルモン(エストロゲン)の急激な分泌低下によって自律神経が乱れ血行不良を招くことです。そのほかにも血液がドロドロ、動脈硬化、糖尿病などによるもの、摂取カロリー不足、運動不足、ストレス、心臓が弱っていることが原因として挙げられます。
症状としては、夏でも手足は冷たいまま、カーッとのぼせてもエアコンはつらい、お風呂で湯船につかっても体がなかなか温まらない、厚手の靴下をはいても足が冷たくてなかなか眠れないなどがあります。
体の「冷え」がつらいとき、受診は必要?
日常生活に支障が出るなら婦人科への受診を

以前よりも体が冷えてなかなか眠れない、体が冷えて体を動かすのもしんどい、家事ができないなど日常生活に支障が出るようなら婦人科への受診を考えましょう。
更年期の時期はさまざまな症状が表れるので、どれも更年期が原因と考えがちですが、ほかの病気だったというケースもあります。更年期の症状から来るものかを確認することも大切です。
婦人科での治療法は?
まずは生活改善の指導と漢方治療を

婦人科では、生活改善の指導に加え、エストロゲンを体に補充するホルモン補充療法(HRT)も検討されますが、まずは生活改善の指導と漢方治療を試みることが多いです。
東洋医学的に冷えとは、
瘀血(おけつ/血の流れが悪い・ドロドロ)
血虚(けっきょ/貧血・血の質と量が足りない)
水毒(水分の巡りが悪い)
陽気不足(エネルギー不足で元気がない、ストレス過多)
などが原因で、気逆(頭はのぼせ、手足が冷える状態)になるといわれます。
漢方症例としては、「温経湯(うんけいとう)」「当帰四逆加呉茱萸生姜湯(とうきしぎゃくかごしゅゆしょうきょうとう)」「桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)」などが処方されます。