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これは、私の母が52歳のときに体験した話です。私は大学を卒業し、新卒で就職した地元の企業に務めていました。その日は遅番で仕事の支度をしているときに、腰をひどく痛がる母から「病院へ連れて行って」とお願いされました。普段は体調をめったに崩さない母を急に襲った激痛の原因とは。
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私の母は、親子には上下関係があると思っているタイプ。娘である私に対して、「しなさい」と命令することはあっても、「お願い」をすることはほとんどありません。そして、体調を崩すことが少ない母。家族が発熱したり感染症にかかったりしても、看病をしている母にはうつらないどころか、普段から寝込んでいるところも見たことがないほど。
そんな母が、ある朝私に「病院に連れて行ってくれる?」と丁寧にお願いしてきたのです。驚いて理由を尋ねると「腰がものすごく痛いの! 陣痛みたい! 痛い!」と軽くパニック状態。もちろん母が妊娠しているはずもなく、当時出産経験のなかった私は痛みの想像ができず「母は何を言ってるんだ?」の状態でした。
しかし、目の前でものすごく痛がる様子と珍しく私に丁寧にお願いをしてきた母に、「ただごとではない」と感じ始めました。すぐに支度をして、自宅から5分ほどのかかりつけ医に車を走らせます。
病院に着くまでなんとか自力で歩く母。診察を待つ間耐えきれずに、ベッドを使わせてもらいました。かかりつけの内科医の診察室から出てきた母の手には、泌尿器科の紹介状が握られています。私はそのまま再び泌尿器科まで車で送ることになったのです。
泌尿器科を受診し、検査をする母。医師から告げられた診断名は「尿管結石(にょうかんけっせき)」でした。尿管結石とは、その名の通り尿管に結石ができる病気です。結石が尿管を刺激すると、激しい痛みに襲われることがあります。母の結石は、5mmほどと大きいほうではないようです。鎮痛剤が処方され、しばらく経過観察で結石が自然に出てくるのを待つことになりました。2週間に1度のペースで通院をし、経過を観察していたのですが、なかなか結石は出てきてくれません。
通院していた泌尿器科には予約制度がなく、いつも混んでいます。毎度通院のたびに2時間前後の待ち時間で、半日予定がつぶれてしまうのに耐えかねた母は、何か方法はないかと病院側に打診しました。担当医師とも話を重ねた母は、近くの市立病院で体外衝撃波結石破砕(ESWL)の手術を受けることに。
体外衝撃波結石破砕とは、体の外から衝撃波を当てて結石を細かく粉砕することで尿と一緒に排出しやすくするというものです。外科手術をしないため、体への負担も少なく、入院は1泊で済みます。しかし、医師から「結石を確実に砕けるわけではない」と説明がありました。というのも、結石があると思われる場所に衝撃波を当てるので、確実に粉砕できるとは限らないそうです。
しかし、運よく1回で母の体内にある結石は粉砕され、手術後の経過も良好。何度か通院をしてエコーで結石の様子を観察し、無事出きったことが確認できました。
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