「母の愛情は弟だけ…」長年の確執から抜け出した兄弟。母親の支配から離れて気付いたこと
私は幼いころから、弟のA男と比較されることが多く、母との関係に長い間悩んできました。大人になってからも、母は弟を「家族の誇り」として持ち上げ、フリーラン …
ウーマンカレンダー woman calendar

私の実家は三世代同居が当たり前の田舎で、介護の必要な家族がいたら家族(特に嫁や娘)が担当するのが当たり前で、「福祉サービスなどを使うのはもってのほか」という考え方が当たり前とされていました。それは想像以上の大変さでした。
★関連記事:「あたり一面が汚物まみれに…」骨折を機に認知症を発症した父の壮絶な介護体験【体験談】
私の実家の祖父母は仲が良く、祖父が病死した後、祖母は家の中に引きこもるようになりました。歩かずに寝てばかりいるようになったある日、亡くなった祖父を探したり、子どものころに仲良しだった人の名前を大声で呼んだりするようになりました。
病院に連れて行った結果、アルツハイマー型認知症(認知症の一種で、脳の一部が縮んでいくことにより物忘れなどが生じる病気)と診断されました。私は仕事があったため、母が中心になって介護を引き受けていましたが、昼間寝てしまうと夜ウロウロ歩き回ったり、食事をさせてもそれ以上に食べたがり、部屋中に失禁したりと、そのたびに祖母を探したりなだめたり掃除をしたりと、母も私も疲れ果てていきました。
そのころは、「介護は嫁か娘の仕事」という考え方が根付いていた地域に住んでいたため、限界まで我慢してしまったのだと今では思います。
ある日、祖母が高熱を出したため病院に行くと、肺炎と診断され、そのまま入院となりました。祖母がいるときとはまったく別の家のように静かになったわが家で、母も私も久しぶりにぐっすりと眠りました。
母は親戚に何を言われてもいいという覚悟で、退院後の祖母を施設に入所させました。そして毎日、祖母のところへ通っていました。その数年後、祖母は施設で亡くなりました。
認知症になった祖母の介護は、いつ終わるのか出口が見えないこともあって、家族だけが担うには肉体的にも精神的にも負担の大きなものでした。症状にもよりますが、家族に介護の必要な人が1人いたら、世話をするのはひとりというわけにはいきません。
介護施設に入所させてからは、私の母は毎日祖母のもとへ通っていました。少なくとも夜は何の心配もなく眠れるようになったことで、介護施設で働く方々のおかげで私たち家族は救われたのだと今でも思っています。
福祉サービスを使うのは恥ずかしいという考えがあった土地柄、施設に家族を預けるという母の決意は思い切ったものだったと思います。でも、もし祖母が認知症でなかったら、家族に迷惑をかけるのは嫌だと考えたに違いないと私は思っています。家族全員が自分の心身の健康を守るためにも、自分たちだけで何とかしようと思わず、「施設や福祉サービスを使うのは恥ずかしいことではない」ということを、身をもって学びました。
※記事の内容は公開当時の情報であり、現在と異なる場合があります。
※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。
監修/菊池大和先生(医療法人ONE きくち総合診療クリニック 理事長・院長)
地域密着の総合診療かかりつけ医として、内科から整形外科、アレルギー科や心療内科など、ほぼすべての診療科目を扱っている。日本の医療体制や課題についての書籍出版もしており、地上波メディアにも出演中。
文/吉田三子
ウーマンカレンダー/シニアカレンダー編集室
あなたの体験談も教えて! 抽選でギフト券進呈
縁あって親族関係になったとはいえ、考え方の違いや意見の相違はあるもの。とはいえ、血縁関係だからこそささいなことも非常にデリケートな問題になり、悩みは尽きないものですよね。今回は3人...
続きを読む実家で暮らす40代マンガ家・大日野カルコさんが、高齢の父を亡くした日のことを描いたマンガ。突然の別れを迎えた家族は、そのとき何を感じ、どのように父を見送ったのでしょうか? お葬式で...
続きを読む学生時代の部活中、人差し指の関節に現れた謎のしこり。日に日に大きくなり、ある日突然、想像もしなかった形で中身があふれ出しました。 ★関連記事:放置していた夫の「後頭部のしこり」同僚...
続きを読む40代の友人は、義母と同居し介護をしています。2人の関係は良好なのですが、気がかりは義姉のこと。介護を手伝うことはないのに、義母の財産目当てに家に押しかけてきて、ことあるごとにお金...
続きを読む子どもの入学式を目前に控え、緊張と期待が入り混じる中で初めての美容院に足を運んだときのことです。そこで私が体験した、ちょっとした“事件”についてお伝えします。 ★関連記事:「え?こ...
続きを読む私は幼いころから、弟のA男と比較されることが多く、母との関係に長い間悩んできました。大人になってからも、母は弟を「家族の誇り」として持ち上げ、フリーラン …
保育園で胃腸炎がはやり出したと聞き、気を付けていたときでした。夜中に末っ子に症状が出てしまいました。幸いにも翌日には回復し、夫は出張へ。ところがその日の …
人気マンガ家・イラストレーターの和田フミ江さんが、ステキなおばあちゃんを目指す連載「ときめけBBA塾(ばばあじゅく)」。 長年の必需品だった「あるアイテ …
友人の結婚式に招かれたときのことです。久しぶりのフォーマルな場に少し浮かれた私は、「フォーマルすぎず上品に見えるかも」と思い、淡い白みのワンピースを新調 …
美容院での仕上がりが思い通りにならなかったら、とても残念でがっかりしますよね。その反対に、自分の想像を超える仕上がりになれば、気持ちもモチベーションも上 …
不妊治療を始めてからも、夫は相変わらずパチスロ通いをやめませんでした。治療費の負担、入院、そして孤独な妊娠生活。心も体も限界を迎えたとき、私はある決断を …
寝ている間や量が少ないと思ったときなど、ふとした瞬間に起こる「漏れ」。多くの女性が経験しているこの悩みには、それぞれの失敗と、失敗を生かした工夫が詰まっ …
めいの結婚式を楽しみにしていた母は、新しいスーツを用意し、前日から準備に余念がありませんでした。ところが当日の朝、思わぬハプニングが続き、慌ただしく式場 …