「あなたたち、誰?」コロナ禍で失われたのは、かけがえのない大切なものだった【体験談】
私の祖母はコロナ禍の前から介護施設に入居しています。デイサービス用の階と、短期滞在用の階、長期滞在用の階、居住用の階に分かれている施設で、祖母がいるのは …
ウーマンカレンダー woman calendar
50歳の声を聞くころから集中力がなくなり、順序立てて複数の用事をこなすことができなくなりました。やらなくてはならないことが一気に浮かび、どこから手を付けようと迷っているうちに時間だけが過ぎ、結局何も手に付かないまま1日が終わってしまう。余計に無気力になり、疲れだけがたまっていく……という悪循環に陥っていました。さらに夫が倒れたことで、病院のことや家のローン、年金、健康保険など、まさに頭がパンクしそうだったのです。そんなとき音楽療法のことを知りました。
音楽療法と出合ったのは、夫の症状を少しでも回復させたいという思いで、必死でネット検索をしていたときでした。そのころ夫は心肺停止で脳に障害を負い、体がまったく動かず意思疎通もままならない状態でした。なんとか動けるように、なんとか意思伝達できるようにと病院で相談しても方法が見つからず、私は自ら調べて音楽療法にたどり着きました。
音楽療法とは、音楽を聴いたり演奏したりすることによって心身の健康回復や脳の活性化などをはかる療法のことで、楽器を演奏したり歌を歌ったりする能動的音楽療法と、音楽を静かに聴く受動的音楽療法があるということでした。本来、音楽療法は音楽療法士が症状に合わせ、能動的音楽療法と受動的音楽療法を組み合わせながらおこなうらしいのですが、残念ながら周りに音楽療法士はいません。夫の場合は入院中で楽器の演奏は難しいですし、せめて音楽を聴かそうと、どんな音楽がより効果的なのかをさらに調べました。ネット上では「本人が好きな曲が良い」「世代的に流行った曲が良い」などいろいろ挙げられており、迷いましたが、最終的に脳に良いとうたっているモーツアルトの楽曲を集めたCDを選びました。
私が選んだのは、「ザ・モーツァルト・セラピー ~和合教授の音楽療法~Vol.5 脳神経系疾患・認知症でお悩みの方へ」というCDです。CDに入っていた冊子によると、モーツアルトの楽曲は脳神経を刺激する高周波数が豊富な上、冷え性や不眠、高血圧や動脈硬化などの原因の1つである交感神経にブレーキをかけ、自律神経のバランスを回復する効果があるとのことでした。本当かどうかはわかりませんでしたが、「ものは試し」と購入を決定。年齢から来る不調や夫の病気のせいで精神的にいっぱいいっぱいになっていた自分のためにも、夫の分とは別にCDをもう1枚購入しました。
家に帰って早速CDをかけると、ピアノや弦楽器の美しい複層性のあるハーモニーが流れてきます。そのまま1時間弱静かに聴いていたところ、なんだか頭がすっきりしたのを感じました。CDに入っている曲はいかにも医療向けという感じの曲ではなく、一般向けの楽曲が多かったように思います。高校時代に吹奏楽部に入っていたのですが、そのころ演奏した曲も入っており懐かしい気持ちに満たされました。
夫の病気の回復のために見つけだした音楽療法をきっかけに、生活に音楽を取り入れてみると、夫はさておき私にとっては効果てきめんでした。毎朝起床後にCDを聴くことにしたところ、美しい音楽に耳を傾けながら頭を空っぽにする時間を設けたことで頭の中がリセットされ、家事や仕事を順序立てておこなうことができるようになったのです。山積みになったやるべきことに追い詰められ、家は片付かず、仕事をしようにも集中力が続かず、しまいには無気力になっていたのがうそのように片付いていきました。
今では頭が混乱してくると、頭の後ろのほうからスーッとモーツァルトの曲が流れてくるような気がします。もちろん、本当に曲がかかるというわけではなく、頭の中で流れ出すだけです。でも、すっかり覚えてしまったその美しい音楽を思い浮かべるだけで、心も頭も落ち着いてくるのです。
朝のひととき、無心で音楽を聴くことにより頭がすっきりし、頭の中の整理がつくようになりました。その効果を科学的に立証することは難しいかもしれませんが、間違いなく言えることは私の生活の質が変わったということです。いつも物であふれていた部屋が片付き、人生で最も整理された状態になったのですから。現在は夫の在宅介護をすることを目標に準備中です。無気力な私はもういません。ポジティブになれたことが一番の収穫です。
※記事の内容は公開当時の情報であり、現在と異なる場合があります。記事の内容は個人の感想です。
あなたの体験談も教えて! 抽選でギフト券進呈
私は10年前に再婚し、連れ子を自分の娘として養ってきました。思春期真っただ中での再婚とあり、荒れていた継娘もついに結婚することに。思えば彼女が進学せず高卒で就職する際など、私はいつ...
続きを読む私は20代前半で株を始めた投資家です。努力のかいもあり、投資からの収入は潤沢ですが、常に倹約を意識しています。このたび、2年付き合った交際相手と無事婚約にいたり、彼女の両親にあいさ...
続きを読む59歳アラカンのミキ子さんが職場で出会った、気になる25歳年下の男性と過ごす日々を描いたマンガ。 清掃パートをしている介護施設で出会った25歳年下のイケメン佐藤くんに、家を借りるま...
続きを読む私は、夫に先立たれてから女手一つでひとり息子を育ててきた会社員。大学を出て数年後、立派な社会人になった息子に婚約者を紹介され、心からホッとしています。お相手は、大会社の社長令嬢。と...
続きを読む私は35歳の兼業主婦。幼い娘と夫、足の不自由な義母と4人で暮らしています。育児・家事・介護に加えて新しく始めた事務所のパート勤務で多忙を極めつつ、大切な家族のため頑張っていたのです...
続きを読む私の祖母はコロナ禍の前から介護施設に入居しています。デイサービス用の階と、短期滞在用の階、長期滞在用の階、居住用の階に分かれている施設で、祖母がいるのは …
50代になった私が悩まされるようになったのは、口の中の渇き。喉が渇くのではなく、口が渇くのです。口の中のトラブルというと、これまでイメージするのは口内炎 …
59歳アラカンのミキ子さんが職場で出会った、気になる25歳年下の男性と過ごす日々を描いたマンガ。 清掃パートをしている介護施設で出会った25歳年下のイケ …
友だちと会うときやデートのときなど、私は人と会うためにメイクをするタイプでした。でも子どもを産んでからというもの、友だちと会う機会は減り、出かける先とい …
ある日、テレビの健康番組を何げなく見ていた私。とある病気について紹介されており、「この症状、私が感じている症状とまったく同じだ!」と自分に当てはまるもの …
国立がん研究センターの近年の統計では「2人に1人はがん」と診断されることもあるようです。しかし、私は「自分はがんになるはずはない」と思っていました。体に …
私は女子校時代からの親友と、女2人で小さな会社を共同経営しています。それは海洋深層水を使った高糖度のトマトを扱う農園。うまみが詰まったフルーツみたいなト …
59歳アラカンのミキ子さんが職場で出会った、気になる25歳年下の男性と過ごす日々を描いたマンガ。 清掃パートをしている介護施設で出会った25歳年下のイケ …