【漫画】吐き気の原因・症状と対策法を解説【天神先生監修】
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更年期に現れるさまざまな症状がひどくなり、日常生活に支障を来すほどの重い症状になってしまう更年期障害。症状には、ほてりや発汗、めまい、睡眠障害などの身体的反応と、自己価値感の低下や抑うつ感、イライラなどが含まれる心理的な反応があります。突然ほてりや発汗がやってくるホットフラッシュや、イライラ、睡眠障害などで、仕事にもプライベートにも支障を来し、苦しんでいる方は多いのではないでしょうか。そこで、更年期障害の症状、原因と対処法について産婦人科医の天神尚子先生にお聞きしました。実際に更年期症状を経験した方の体験談も紹介していますので、ひどい症状についてお悩みの方はぜひ参考にしてみてください。
監修/天神尚子先生(三鷹レディースクリニック院長)
日本医科大学産婦人科入局後、派遣病院を経て、米国ローレンスリバモア国立研究所留学。その後、日本医科大学付属病院講師となり、平成7年5月から三楽病院勤務。日本医科大学付属病院客員講師、三楽病院産婦人科科長を務めた後、退職。2004年2月2日より、三鷹レディースクリニックを開業。
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ここでは、更年期によく現れる症状の具体例とその影響について10項目挙げるとともに、栄養補給、運動習慣、リラクゼーションテクニックなど、一般的な対処法を紹介します。
ほてり・のぼせ・発汗(ホットフラッシュ)など、 突然の体温上昇、顔や首のほてり、強い発汗を伴う症状「血液運動神経症状」が起こることがあります。これらの症状は、女性ホルモンのエストロゲンの減少により血管の収縮や拡張をコントロールしている自律神経が乱れることで起こります。更年期の女性の6割程度が経験するといわれ、そのうち日常生活に支障を来すほど重症になるのは1割程度といわれています。
突然2~4分間持続する熱感と発汗を自覚し、脈拍も早くなります。ほてりや発汗は顔をはじめ、頭部、首から胸に広がります。また、突然体がカッーと熱くなったり、急に顔が紅潮したり、涼しいのに汗が止まらないなどの症状なども見られます。
これらの症状が仕事中や外出中に起きると慌ててしまいますし、服装やメイクの乱れ、不快感や「また起きたらどうしよう」という不安に駆られる方も多いです。また、夜間のホットフラッシュは睡眠障害を引き起こす原因となり、日中の疲労感や集中力の低下につながります。
・生活習慣の改善
基本的な生活習慣の改善としては、適度な運動やバランスの良い食事、十分な睡眠を心がけることが重要です。カフェインやアルコール、辛い食べ物の摂取を控え、部屋を涼しく保つ、洋服は脱ぎ着しやすいコーディネートにするなど、体温調節を工夫しましょう。
・発汗対策
衣服の選択や室温・湿度の調整など、環境の管理が重要です。吸湿性の高い素材や通気性の良い服を着用し、蒸し暑い場所や過度に暖房の効いた部屋を避けることで、発汗を抑制しましょう。汗拭きシート、保冷剤の携帯もおすすめです。
・リラクゼーション
ストレスや緊張を和らげるリラクゼーション法が有効です。深呼吸や瞑想、ヨガ、マインドフルネスなどのリラックス法を実践し、心身のリフレッシュを図ります。また、アロマセラピーなどの香りを利用したリラックス法も効果的です。
イライラする、憂うつになる、不眠、不安感が強い、意欲がなくなる、物忘れが起こるなどの症状「精神神経症状」が起こることがあります。
憂うつになる、不安感、イライラなどは女性ホルモンのエストロゲンが減るのと連動して、幸福を感じさせる脳内物質セロトニンも減ってしまうのが大きな原因と考えられています。また、更年期は親の介護や子どもの自立など家庭環境の変化、仕事環境の変化が起こる時期でもあり、人生について思い悩んだり、喪失感や老いなども実感し、精神的に不安定になりやすい時期であることも症状が現れる原因の1つです。
また、不安感の高まりで夜間に目を覚ますことが多くなり、不眠になると、慢性的な疲労感や日中のパフォーマンス低下にもつながります。物事に集中できなくなり、更年期の物忘れの症状が悪化してしまうこともあります。このようなことが続くと、家庭や職場でのコミュニケーションにも悪影響を及ぼすことがあります。
・適度な運動
有酸素運動やウォーキングなどの身体活動はストレスホルモンのコルチゾールの分泌を抑制し、心身のリフレッシュに役立ちます。定期的な運動は睡眠を改善し、心の安定を促進します。
・リラクゼーション
ストレス解消やリラックス効果のある活動を取り入れることが重要です。深呼吸や瞑想、ヨガのほか、筋肉の緊張をほぐし、意識を自分の中に向けるようなリラクゼーション法も有効です。
・カウンセリング
精神的な不調を改善するための有効な手段として、カウンセラーや心理学者との対話で感情やストレスの管理方法を学び、心の支えを得る方法もあります。必要に応じて薬物療法や認知行動療法などが提供される場合もあります。
こめかみから目にかけて脈打つように痛みが生じる片頭痛が起こることがあります。片頭痛は、女性ホルモンのエストロゲンの変動による自律神経の乱れが原因で起こりやすくなります。
症状としては、きらきらした光・点・線が見えたり、光や音などをはじめとする特定の刺激に対する反応が過敏になることがあります。日常の動きで痛みも増し、時には悪心・嘔吐を伴う場合もあるので、仕事中の生産性低下、活動の制限を引き起こします。
また、首、肩の血流悪化が原因で頭が締め付けられているように痛む緊張型頭痛が起こることがあります。ただし、日常の動作で悪化するようなことはなく、発作中の悪心・嘔吐などもありません。
・ストレス管理
ストレスは頭痛や頭が重くなる原因となることがあります。日常生活でのストレス要因を見直し、時間管理や優先順位の設定をおこなうことが重要です。また、リラクゼーション法や深呼吸、瞑想などのストレス解消法を積極的に取り入れることもおすすめです。
・適切な休息
規則正しい睡眠リズムを作り、快適な睡眠環境を整えることで、頭痛や頭の重さを緩和する効果が期待できます。また、昼休みなどの短い休憩時間を利用して、リフレッシュすることも効果的です。
・適度な運動
適度な運動は血液循環を促進し、頭部の血流を改善します。有酸素運動やウォーキングなどの身体活動を定期的におこない、ストレスホルモンのコルチゾールの分泌を抑制し、心身のリフレッシュを図りましょう。ただし、激しい運動は頭痛を悪化させることがあるので注意が必要です。
・水分補給
定期的に水を飲むことで、体内の水分バランスを保ち、血液の循環を促進し、頭部の血流を改善しましょう。特に暑い季節や運動後など、水分補給を忘れずにおこなうことが大切です。
手指の不調(腫れ、痛み、しびれ、動かしにくさ)や、両手のこわばり(握力が出ず、コップや包丁が握れないなど)といった、末梢神経系の症状が起こることがあります。
女性ホルモンのエストロゲンには、関節や腱の周りにある「滑膜(かつまく)」という、腱などの動きを滑らかに保つ役割があるため、閉経に伴いエストロゲンが減少すると、これらの症状を感じるようになります。
また、加齢に加えてパソコンやスマホによる手指の酷使、スポーツ、楽器、編み物など、日常の習慣や趣味による手指の酷使が一因となることもあります。
朝起きたときに指の関節が曲がりにくくなる、瓶のフタを開けたり、物をつまんだりする動作で痛みが出やすくなるなど、日常の細かな作業や趣味活動に支障を来し、生活の質の低下につながります。
・定期的なストレッチ
手足のしびれやこわばりを軽減するためには、定期的なストレッチが有効です。特に問題のある部位を重点的に伸ばし、筋肉の柔軟性を保ちましょう。
・適切な姿勢
正しい姿勢を保つことで、神経や血管への圧力を軽減し、手足のしびれやこわばりを防ぎます。デスクワークや長時間の立ち仕事では、適切な椅子や机の高さを調整し、正しい姿勢を意識しましょう。
・温熱療法
温めることで血流が促進され、手足のこわばりやしびれを和らげる効果があります。温めたタオルや湯たんぽを使用する、温かいお風呂に入るなどの方法が有効です。
・マッサージ
マッサージは筋肉の緊張を緩和し、血液循環を促進します。手足のしびれやこわばりを和らげるためには、適度な圧力を加えておこなうことが重要です。
・栄養バランスの良い食事
ビタミンB群やマグネシウム、カルシウムなどの栄養素をバランスよくとることで、神経の機能をサポートし、手足のしびれやこわばりを軽減します。果物や野菜、魚などを取り入れた健康的な食事を心がけましょう。
肩凝り、腰痛、関節痛も、更年期症状の1つといわれています。女性ホルモンのエストロゲンの減少によって自律神経が乱れ、血液循環が悪くなると、筋肉に酸素や栄養が行き届かず、老廃物や疲労物質の回収などもスムーズにいかなくなることが原因と考えられています。
また、加齢による筋肉の衰えも原因の1つです。首や肩の凝りを放っておくと、悪化して頭痛などにつながることもあります。これらの体の痛みが日常生活の活動や運動を制限し、仕事にも支障を来す恐れがあります。
・ストレッチと運動
柔軟性を高めるストレッチや、筋力を強化する運動を取り入れることで、筋肉や関節の柔軟性を保ち、痛みを軽減します。適度な運動は血流を促進し、栄養素の供給や老廃物の排出を助けるため、関節や筋肉の健康をサポートします。
・温熱療法
温めることで血流が増加し、筋肉や関節の緊張を緩和する効果があります。痛みのある部位に温かい湿布を貼ったり、温めたタオルを当てるなどの温熱療法をおこなうことで、肩凝りや腰痛、関節痛を和らげることができます。
女性ホルモンの変動によって骨盤底筋が緩み、これによって頻尿や尿漏れが起こりやすくなります。40代からの頻尿や尿漏れは、出産によるダメージも大きな要因。体重の増加や慢性の便秘も骨盤底に大きな負担がかかります。
また、腟内部の粘膜が薄くなり、乾燥しやすく、かゆみやひりひり感を感じやすくなるため、性交痛を感じやすくなります。
社会生活や性生活への影響が大きく、自尊心の低下やパートナーとの関係に悪影響を及ぼします。
・骨盤底筋トレーニング
腹筋に力を入れず、呼吸しながらリラックスし、肛門と腟をキュッと締める骨盤底筋体操がおすすめです。尿道や膀胱を支え、尿漏れを改善しますし、膀胱の粘膜の血流を良くして頻尿にも効果が出ることがあります。日常生活の中ででもできるエクササイズで、症状の軽減が期待できます。
・潤滑剤の使用
水溶性の潤滑剤を使うことで性器の摩擦を軽減し、性行為中の痛みや不快感を軽減して、パートナーとの快適な性生活を保ちます。
女性ホルモンのエストロゲンは、皮膚のコラーゲンやヒアルロン酸の生成を促進し、皮膚を若々しく保つ役割も担っていますが、更年期に入ってその分泌量が減少すると、肌の弾力性やハリが低下します。また、加齢によるターンオーバーの乱れも発生するので、皮膚の再生サイクルが遅くなり、肌の乾燥、かゆみ、シワの増加などが見られます。
このような症状により、日常の快適さや自己イメージに影響を与え、社会的な自信の低下を引き起こすことがあります。
・保湿
乾燥肌やかゆみには、積極的な保湿が重要です。保湿剤やクリームを使用して肌を保護し、水分を閉じ込めます。入浴後5分以内に保湿剤を塗ると効果的です。また、加湿器を使用して室内の湿度を保つことも肌の乾燥を防ぐのに役立ちます。
・肌にやさしいスキンケア製品の使用
刺激の少ない、低刺激性の洗顔料や化粧水を使用し、肌をやさしく洗浄しましょう。また、合成香料やアルコール、防腐剤などの刺激物を含まない製品を選ぶと良いでしょう。
女性ホルモンのエストロゲンは、消化管の運動や蠕動(ぜんどう)を調節し、消化器官の粘膜を健康に保つ役割があります。しかし、エストロゲンの減少に伴い、消化器系の機能が低下しやすくなると、喉の違和感や喉の詰まり感、おなかの張り感、便秘などの症状が現れることがあります。
これらの症状により、食事や社会活動時の不快感を引き起こし、日常生活の質を下げます。
・食生活の見直し
食物繊維や水分を多く含む野菜や果物を積極的にとり、消化を促進しましょう。加えて、過剰な脂肪や糖分、刺激物を避けることで、消化器官の負担を軽減します。
・規則正しい食事
食事を決まった時間にとることで胃腸の働きを整え、消化吸収をスムーズにします。また、ゆっくりと十分にかむことや、小分けにして食事量を適度に抑えることも消化を助け、消化器官への負担が軽減して症状の改善につながります。
更年期になると、卵巣の機能が衰え女性ホルモンのエストロゲンの分泌がうまくできなくなりますが、視床下部は“ エストロゲンが減った ”という情報をもとに性腺刺激ホルモンを出し続けるため、視床下部がパニックに陥ってしまいます。それにより自律神経のバランスも崩れてしまい、 「運動していないのに息切れがする」「息が苦しくなる」などの症状が現れます。
これらの症状が起こると身体活動や運動時の不安、ストレスを増加させ、活動量の減少につながることがあります。
・カフェインの摂取制限
カフェインは興奮作用があり心拍数や呼吸を促進するため、過剰な摂取は動悸や息切れを引き起こす可能性があります。コーヒーや紅茶、エナジードリンクなどのカフェインを含む飲み物の摂取量を抑え、代わりにカフェインの少ない飲み物や水を選んでみましょう。
・リラクゼーション
ストレスが原因の場合は、深呼吸や瞑想、ヨガなどのリラックス法を実践することで、心身の緊張を解きほぐし、自律神経のバランスを整えます。また、心理的なリフレッシュも図れるため、おすすめです。
疲れやすさは自律神経の乱れが主な原因。一時的な疲れであれば休息で回復しますが、更年期の疲れはなかなか回復が難しいのが特徴です。また、やる気のなくなってしまった自分を責めてしまい、そのストレスによって疲労感がなかなか軽減できないという悪循環にも陥ります。
冷えは、自律神経の乱れによる血流の悪化が原因とされています。特に、末端への血流が悪化すると足先が冷え、筋肉が緊張して足がつりやすくなることもあります。
めまいは、自分や周囲が回転したり、上下または左右に移動する感覚になる回転性めまい、体が不安定でふわふわと浮いているような感覚になる動揺性(不動性)めまい、いわゆる「立ちくらみ」と言われる失神型めまいの3種類があります。更年期に起こる女性ホルモンや血圧の変動、自律神経の乱れが原因といわれています。
ドライアイや目の疲れは、 涙の分泌減少や、ホルモン変動による視力の変化が原因とされています。女性ホルモンのエストロゲンの分泌が低下すると目の粘膜細胞が萎縮し潤い不足が起こるためといわれています。
エストロゲンは抗酸化作用を持ち、汗・皮脂の過剰分泌を抑える役割を持っていますが、エストロゲンの分泌が減少すると抗酸化作用が低下して皮脂が酸化しやすくなるとともに、においが発生しやすくなります。閉経によって腟内の自浄作用が弱まり雑菌が繁殖しやすくなり、においやすくなることや、加齢によって“若い女性の香り”と言われるラクトンが減少して加齢臭が気になる、口腔内の粘膜の代謝が悪くなり、唾液も減少して歯周病を起こしやすく、口臭の元がたまりやすくなる、ということもあります。
指が太くなるのは、骨や関節などを健康に保つ役割を持つ女性ホルモンのエストロゲンの減少によって、腱が腫れやすくなり、関節が曲げにくい、指がむくんで太く見えるなどの症状が起こるためです。
太りやすくなってしまうのは、加齢に伴う筋肉量の減少と、エストロゲンの分泌減少によって起こる身体の調節機能の低下、代謝の低下といわれています。閉経により悪玉コレステロールも上昇しやすくなり、食生活や年齢因子とは別に内臓型肥満になりやすいといわれています。
これらの症状により、活動的なライフスタイルの維持が難しくなり、さらなる運動不足に陥ります。
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・十分な休息
疲れやだるさなどの症状には、十分な休息が重要です。睡眠時間を確保し、ストレスをためないように心がけましょう。定期的な休息は体のリセットにつながり、全身症状の改善に効果的です。
・バランスの良い食事
栄養バランスの取れた食事をとることが全体的な健康維持の基本となります。野菜や果物、たんぱく質、良質な脂肪をバランスよくとり、ビタミンやミネラルの不足を防ぎましょう。
・適度な運動
適度な運動は血液循環を促進し、代謝を活性化させます。ウォーキングやストレッチなどの軽い運動を日常的に取り入れることで、疲労感や冷えなどの症状を軽減できます。
・ストレス管理
ストレスは身体的な不調の原因となることがあります。ストレスを軽減するためには、リラクゼーション法や趣味に没頭するなどの方法を活用し、心身のリフレッシュを図りましょう。
以上、更年期によく表れる10項目の症状と対処法を挙げました。
特によく現れる更年期症状は、「1.血管運動神経症状ののぼせ、ほてり、発汗」、次に多いのが「2.精神神経症状のイライラする、憂うつになる、不眠」などですが、現れる症状は人によってさまざま。症状に強弱はあるものの、いろいろ重なって現れることが多いです。
また、これらはあくまでも一般的なガイドラインです。症状が重い場合や改善が見られない場合は、専門医に相談し、適切な治療を受けましょう。
では実際に、更年期障害の経験者からの体験談を紹介します。
46歳になって生理不順が続くようになり、ある日突然、体がカーッと熱くなるのを感じるようになりました。それから数年、ホットフラッシュはほぼ1時間ごとに1回の頻繁さ、夜中でも2時間ごとに1回は体の熱さで目が覚めるという状態で、さらに動悸や息苦しさもひどくなり、婦人科を受診すると更年期障害であることがわかりました。
私のようなホットフラッシュ・動悸・息苦しさは女性ホルモンのエストロゲンの低下による自律神経の乱れだそうで、ホルモン補充療法(HRT)を始めることになりました。ホルモン剤の服用を始めてからは、毎月の生理を順調にコントロールできるようになり、つらい症状も半減。ホルモン剤の服用に伴う不正出血や胸が張るなどの副作用は幸い私にはなく、それから5年間ほどホルモン剤を服用して、症状が和らいできたところで服用をやめました。
ホルモン剤をやめて3年ほどたった現在では、多少の不調を感じながらも、無理せず楽しく暮らすように心がけ、十分な睡眠と適度な運動といった生活の基本を大切にしています。
部屋の中が暑くてしょうがないので服を脱ぐと、薄着は私だけ。口の中がひっきりなしに乾いてしょうがない。なぜかボーッとしてしまう頭の中。家事をしている最中に子どもから話しかけられても集中できず、言っていることがわからない。イライラしてくる感情も抑えられず、物にあたってしまうこともありました。
更年期外来に行くと、更年期障害と診断されました。職場からは「外回りの業務は危険」と判断され、思いがけず療養休暇に入ることに。医師からは漢方を処方され「リラックス・軽い運動・睡眠・規則正しい生活」を意識して心がけるように指示されました。
せっかく症状がよくなったのに職場復帰を焦って不安になりめまいやイライラが再発するなど、症状は一進一退を繰り返していましたが、4カ月ぶりに職場に復帰できました。私は「社会に置いていかれる不安」で余計にしんどかったようです。今は適度に働き、疲れたら休み、体調がよくないときは「仕方がない」と妥協するようにしています。
43歳の夏ごろから、寝ても疲れが取れない状態になりました。自宅から最寄り駅まで約15分間歩くことすらつらく、へとへとです。特に困ったことが、帰宅時にスーパーに寄るのがおっくうになったこと。食生活も乱れがちになり「このままだと仕事が続けられない」と不安が募るようになりました。
同僚との話をきっかけに婦人科を受診すると、更年期障害でした。先生からのアドバイスは「まずはお薬の力を借りて自分の元気な状態を知る、同時に生活習慣も整えて元気な状態を続けていけるようにする」。漢方を処方してもらい、食物繊維を意識して食べるように言われました。
漢方の「加味帰脾湯(かみきひとう)」が処方されましたが、食生活ではフルーツをたくさん食べるようにいわれました。甘すぎるからダイエットにも良くないとなんとなく避けていましたが、ケーキやクッキーと比べるとフルーツのほうがカロリーも低く、食物繊維やビタミンが豊富なのです。
先生から丁寧にアドバイスしてもらえたことで、自分の捉え方が変わり、生活習慣を整えることに前向きな気持ちを持てるようになりました。
更年期障害の主な原因は、女性ホルモン、特にエストロゲンの急激な減少にあります。女性が年齢を重ねると、卵巣の機能が低下し、エストロゲンとプロゲステロンの生産が減少します。このホルモンの変動が更年期障害のさまざまな身体的および心理的症状を引き起こす主な理由です。以下に、更年期症状の原因について詳細に説明します。
①生殖器系の変化
エストロゲンは腟壁の厚さや潤滑を維持する役割を果たしています。その減少により、腟乾燥や性交痛などの症状が現れます。
②骨密度の低下
エストロゲンは骨密度を維持するのに重要な役割を果たしています。エストロゲンの減少は、骨粗しょう症のリスクを高めます。
③心血管系への影響
エストロゲンには血管を保護する効果があり、その減少は心臓病のリスクを高める可能性があります。
④皮膚と髪の変化
皮膚の弾力性や水分を保持する能力が低下し、髪の薄毛や乾燥が起こりやすくなります。
エストロゲンの分泌減少が自律神経系に影響を与え、交感神経と副交感神経のバランスが乱れて体温調節、睡眠、心拍数などの調節機能に影響が出ます。
交感神経は、体が活発に動くときに働き、血管を収縮させて血圧を上昇させる働きをします。また副交感神経は、リラックスや眠気を感じさせる状態を促し、血管を拡張させて血圧を下げる作用があります。しかし、自律神経の調整がうまくいかなくなると交感神経が優位になって血管が収縮した反動で副交感神経が働き、血管が一気に開いてホットフラッシュが起こると考えられています。
リラクゼーションやストレス管理、適度な運動などの対処法が重要で、バランスの取れた生活習慣が自律神経の乱れを緩和します。
エストロゲンの減少が情緒不安定やイライラ、うつ症状を引き起こすことがあります。また、更年期には子育ての終了や職場での役割の変化など、人生の段階的な変化も重なり、ストレスや不安を引き起こすことがあります。
周囲の理解や支援が大切で、カウンセリングやサポートグループへの参加が役立ちます。また、自己ケアやリラックス法を取り入れることで、心理的な安定を促進します。
不規則な睡眠時間はホットフラッシュやイライラなどの症状を増加させる傾向があります。また、過度なストレスは自律神経の乱れを引き起こし、更年期症状を悪化させる要因となります。さらに、過食や偏った食事、アルコールやカフェインの摂取過多も症状を悪化させる可能性があります。
これらの生活習慣を見直し、健康的な生活スタイルを心がけることが、更年期症状の管理に役立ちます。
更年期障害の原因は、ホルモンの変化だけでなく、心理的、社会的、生活習慣の要因にも及ぶため、総合的なアプローチが必要です。適切な治療、心理的なサポート、生活習慣の改善が重要となります。
更年期における栄養の改善は、健康的な生活を支える重要な要素です。まずはバランスの取れた食事を心がけましょう。果物、野菜、全粒穀物、良質のたんぱく質をバランスよくとることで、栄養バランスを整え、体の健康をサポートします。
また、大豆に含まれるイソフラボンは、自然なエストロゲン様作用を持ち、ホットフラッシュを緩和する可能性があります。さらに、十分な水分を摂取し、体内の水分バランスを保つことで、症状の軽減や体の調子を整えることができます。
これらの栄養の改善を意識して取り入れることが、症状の緩和と健康維持に役立ちます。
定期的な有酸素運動は心臓や血管の健康を促進し、ウォーキングやサイクリング、水泳などが適しています。
また、ストレッチや筋力トレーニングも重要です。ヨガやピラティスなどのストレッチ運動は柔軟性を向上させ、筋力トレーニングは筋力を維持し、骨密度の低下を防ぎます。適度な運動を取り入れることで、身体機能の維持や症状の軽減、リフレッシュにつながります。
ヨガや瞑想、深呼吸などのリラクゼーション方法を取り入れることで、心身の緊張を解きほぐし、ストレスを軽減することができます。
また、趣味や社交活動に参加することも効果的です。趣味に没頭することで気分転換が図れ、社交活動によって人間関係の充実感を得られるため、精神的なストレスを軽減することができます。
これらのストレス管理方法を積極的に取り入れることで、症状の緩和や心の安定を促進します。
良質な睡眠は更年期の健康維持に不可欠です。睡眠環境を改善するために、快適な寝具を選び、寝室を涼しく暗く保つことで、安眠を促します。また、定時に就寝することも重要です。毎日同じ時間に寝ることで、体内時計を整え、自然な睡眠リズムを確立します。
これらの睡眠の習慣を整えることで、症状の緩和や心身の健康をサポートします。
頻尿や尿漏れには骨盤底筋トレーニングが有効です。性交痛には水溶性の潤滑剤を使用することで、性行為の不快感を緩和させることができます。
また、肌が乾燥しやすくターンオーバーも乱れがちになります。皮膚の乾燥が気になる場合は、保湿剤を定期的に使用しましょう。外側からのケアだけでなく、内側から肌を整えるためには、ビタミンや抗酸化物質を含む食品をとることをおすすめします。特に、ビタミンEやC、オメガ3脂肪酸を豊富に含む食品を積極的にとりましょう。
信頼できる医療機関や医師が監修しているウェブサイトの記事などから情報を得ることで、適切な対処法を見つけましょう。また、家族や友人との情報共有も効果的です。お互いの経験や知識をシェアすることで、支え合いながら問題に対処していくことが大切です。
また、更年期を経験している他の女性との交流は、精神的な支えになります。支援グループやオンラインコミュニティー、SNSなどで経験を共有し合うことで、相互の理解と励ましを得ることができます。加えて、友人や家族とのオープンな会話や情報交換も大切です。共感や助言を得ながら、更年期を乗り越える力にしていきましょう。
これらのセルフケアは、更年期障害の症状を緩和し、日常生活の質を向上させるために役立ちます。しかし、症状が重度である場合や自己管理だけでは改善が見られない場合は、医師に相談することが重要です。
では、更年期の症状が出た場合の受診の目安や治療を受けるまでの流れ、そして実際にどのような治療があるのかを詳しく紹介します。
更年期症状は誰にでも起こるもので、症状の程度はさまざま。軽く済む人もいれば、日常生活もままならない状態に陥る人もいます。症状がつらく日常生活に支障を来すのなら、それは更年期障害です。そのようなときはまず、婦人科で相談しましょう。
婦人科では、気になる症状や月経周期、既往歴、家族の病歴、現在飲んでいる薬など詳しい問診がありますので、正しく答えられるように準備しましょう。
子宮がんや子宮筋腫、卵巣嚢腫(らんそうのうしゅ)など婦人科の病気の有無を確認し、月経の状態やホルモン値の結果などから更年期障害なのかを判断してもらいます。更年期障害による症状とわかれば、婦人科での治療が始まります。
ホルモン補充療法は女性ホルモンのエストロゲンを体に補充する治療法で、内服薬・貼り薬・ジェル状の塗り薬、経腟薬の4種類があり、ライフスタイルや目的に応じて続けやすいタイプを選びます。更年期症状の中でも、ホットフラッシュ(のぼせ、ほてり)、発汗といった症状には特に有効で、開始してから1~2カ月ほどで効果が出始めます。そのため、2~3カ月くらいで薬の効果判定をおこないます。なお、座薬(腟錠)は主に萎縮性腟炎の腟内治療に使われ、1週間~10日くらいで効果が出ます。
5年以上使用する場合は乳がんのリスクが上がるといわれていた(※)ため、通常2~5年くらい使用しますが、5年で必ずやめなければならないということではありません。そのリスクと治療効果を考慮しながら検討します。いきなりやめるとまた症状が出てしまうこともあるので、生活環境を整えたり、セルフケアなども取り入れながら、だんだんと減量し、ゆっくりやめる方向へ持っていきます。
※2004~2005年に厚生労働省研究班が調査をおこない、ホルモン補充療法経験者が乳がんになる危険性は、ホルモン補充療法未経験者の半分以下だったという結果を公表しています。その後の研究でも、ホルモン補充療法が乳がんの発症に与える影響は、肥満やアルコール摂取、夜勤の仕事などが与える影響と同程度の小さいものであることがわかっています。
また、最近では張り薬や塗り薬は使っていてもいなくても、乳がんや血栓症を発症する確率は変わらず、逆にホルモン補充療法をしている人のほうが全体のがん発生率が下がるといわれています。
症状によっては漢方療法も有効です。代表的な漢方は、桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)、当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)、加味逍遥散(かみしょうようさん)などがあります。それぞれ、体質や症状に合うものを選びましょう。
桂枝茯苓丸・・・ホットフラッシュ(のぼせ、ほてり)、頭痛に効き目があります。比較的体力がある人におすすめです。
当帰芍薬散・・・めまい、たちくらみ、肩凝り、足腰の冷えなどに効き目があります。冷え性で疲れやすい人におすすめです。
加味逍遥散・・・イライラ、落ち込み、不安といったメンタルの不調、めまい、冷え性に効き目があります。虚弱体質で精神不安がある人におすすめです。
漢方は早い人では2週間から効果が出ますが、一般的には1カ月目くらいから効果が出始めるので2~3カ月使用して、ラクになった感じがなければ処方内容を変更して、本人に合った漢方薬を見つけていきます。
大豆イソフラボンがエストロゲンと似た動きをすると言われていますが、その中でも、「ダイゼイン」という成分がエクオール産生菌という腸内細菌によって「エクオール」という成分に変換されます。
ただし、エクオールを腸内でつくることができる人は日本人では約2人に1人といわれています。そのため、自分がエクオールを作ることができるかどうかを調べる「ソイチェック」をおこなうという方法もあります。
エクオールをつくることができない人はサプリメントで補うことが有効ですが、サプリメントのみに頼らず、良質なたんぱく質である大豆製品をしっかりとるようにしましょう。
抗うつ薬や抗不安薬が一部の症状の管理に使用されることがあります。これらの薬物は、セロトニンやノルエピネフリンなどの神経伝達物質のレベルを調整することで、心理的な症状の軽減を促す場合があります。
ただし、薬物療法は副作用やリスクも注意が必要です。医師との相談を通じて、適切な治療法を選択しましょう。
更年期障害で複数の科を受診するようになったとしても、とりあえずなんでも相談しやすいかかりつけ医を持っておくことはとても大切です。自分の判断で症状ごとにそれぞれの専門の医療機関を受診すると、同じ検査を何度も受けることになり、その分受診料も増えてしまいます。
また、決まったかかりつけ医に日ごろから診てもらえば、病歴、体質、生活環境などを医師が知っているので、時間をかけずに的確な治療法を提案してくれます。つらい本音を話しやすく、何科で診てもらうべきか相談できるような医師を見つけられると良いですね。
※記事の内容は公開当時の情報であり、現在と異なる場合があります。
※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。
イラスト/村澤綾香
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続きを読む40歳のとき、生理の経血がびっくりするほど大量になり始めました。その治療のために病院を受診。医師からは、経血量が日常の生活に支障を来すような状態なので更年期症状の一つだと言われまし...
続きを読む当時51歳の私は、既に半年間生理が来ていませんでした。日本人の平均閉経年齢は50.5歳で、生理が1年間止まると「閉経」というのだそうです。私はこれまで独身で、子どもを産んでいません...
続きを読む急に気持ち悪くなる、つわりのような吐き気がする、吐き気があって食欲が湧かない。そんな経験はありませんか? 中には、吐き気とともに頭痛やめまいを伴う方もい …
今まで順調だった生理周期が、45歳のときに乱れる経験をしました。日本女性の平均閉経年齢が50.5歳であるという知識はあったため、このまま終わるのかと焦り …
私は学生のころからハードコンタクトレンズを使用していましたが、1年ほど前から使用中の違和感やトラブルが度々起こるようになりました。その原因には、更年期や …
私が閉経したのは50歳のとき、その数年前から睡眠がちゃんと取れていないと思う日が増えてきました。寝付きは良いのですが、早朝に目が覚めてしまうのです。私は …
45歳ごろから強い眠気が襲ってきたり、気持ちが落ち込んだりと体調が優れないように。更年期治療で通院している産婦人科医に相談することにしました。ホルモンバ …
50代半ばに差し掛かり、今まで頑張り過ぎていた自分を見つめ直すことが増えました。仕事のこと、健康のこと、老後の生活設計のことなど。「老後資金に2000万 …
40代後半からイライラすることが増えた私。最初は、疲れがたまった精神疲労だと深くは考えずにいましたが、だんだんささいなことでいら立つ日々が増えるばかり。 …
子どものころから毎月の生理は比較的順調でした。しかし、45歳の半ばごろ長期の旅行から戻ったときにふと気付いて驚きました。「今月、生理が来ていない……」。 …