【漫画】寝汗の症状と対処法【天神先生監修】
更年期の汗の悩みといえば「ホットフラッシュ」。何の前触れもなく、顔全体や首筋、胸など上半身に発汗が生じたり、のぼせたりするような状態になります。ホットフ …
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「会議中に突然顔がほてり、汗がだらだら出てきて集中できなくなった」「寝ている間にも体が熱くなって何度も目が覚め、熟睡できず日中もだるい」「若い子と一緒に外出したとき自分だけ額と首、脇の下から汗ダラダラで恥ずかしかった」。こんな経験はありませんか?
このような「ホットフラッシュ」の症状が起こると洋服やメイクも乱れますし、いつまた起きるかもしれないという不安感で仕事に集中できずプライベートにも悪影響を及ぼしかねません。
そこで、ホットフラッシュの原因、症状と実体験に基づくホットフラッシュの対処法、症状が重くなったときの治療法について、産婦人科医の天神尚子先生にお聞きしました。
監修/天神尚子先生(三鷹レディースクリニック院長)
日本医科大学産婦人科入局後、派遣病院を経て、米国ローレンスリバモア国立研究所留学。その後、日本医科大学付属病院講師となり、平成7年5月から三楽病院勤務。日本医科大学付属病院客員講師、三楽病院産婦人科科長を務めた後、退職。2004年2月2日より、三鷹レディースクリニックを開業。
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ホットフラッシュは更年期女性の6割程度が経験するといわれ、そのうち日常生活に支障を来すほど重症になるのは1割程度といわれています。
ではなぜ、更年期女性の多くにホットフラッシュの症状が出るのでしょうか。
ホットフラッシュは、女性ホルモンのエストロゲンの減少により血管の収縮や拡張をコントロールしている自律神経が乱れ、体温調節機能がうまく働かなくなることで起こります。
また、更年期になると血液循環が不良になることも要因です。加齢とともに女性ホルモンのエストロゲンの分泌が減ると、骨盤内の血行が悪くなります。しかし、血の量は更年期だからといって変わりませんし、血流というのはもともと上半身に向かいやすい特徴があります。そのため、上半身に血流が集中しがちになります。手足などの末梢血管が収縮して体温が低下してくるとそれを調節しようと特に顔の血管が一気に拡張して血流が増えることで、ホットフラッシュが起こります。
では、実際にホットフラッシュの症状を軽減した人の体験談を紹介します。
日常生活で簡単に取り入れられる簡単な対処法を挙げますので、参考にしてみてくださいね。
ホットフラッシュは他人から見てハッキリとわかる症状なので、最初のうちは「また起こったらどうしよう!?」と不安になり、精神的に落ち着かない日を過ごしていました。そんな私が日々工夫していること2つを紹介します。
電車やバスなど、多くの人がすぐ近くに来ることがわかっている場所に行く前には、よく冷えた飲み物のミニボトルで両方の脇の下を一気に冷やすようにしています。
「保冷剤」をポーチ型になっているミニタオルの中に忍ばせて、ちょっと顔を押さえるフリをして冷やすことができます。ビニールテープなどで細長く貼りつなげておき、ガーゼ・手ぬぐいの中に入れて首に巻いたりもしています。
焦ったり心配したりすることで大量の汗が出てくることが多いので、いつホットフラッシュが起こっても大丈夫なように準備をしておくことが安心感につながっています。
更年期障害がひどくなり始めたとき、イライラしたり情緒不安定で毎日訳もなく泣いていました。そんな私を心配した友人が、市の無料ズンバエクササイズに誘ってくれました。ズンバとは軽快な音楽に合わせて踊りながら有酸素運動がおこなえる南米発祥のエクササイズです。最初は乗り気ではなかったのですが、実際にズンバを終えた後は爽快感があり、その日はイライラも不安感もなくぐっすり朝まで寝られました。
私は心地よい程度に体を伸ばすストレッチと、20分以上のジョギングやズンバなどのエクササイズをすると、ホットフラッシュも軽く済むことに気が付き、毎日忙しいときもありますが少しでも時間を作り、実践しています。
お出かけ好きだった私ですが、汗をかきやすくなると恥ずかしさもあり、出かけることが億劫(おっくう)になり気持ちが内向きに。このままお出かけしづらい状況になってしまっては良くないと感じ、脇汗対策をしてみることにしました。
効果的だったのはドラッグストアにも売っているデオドラントスティック。成分はいわゆる焼ミョウバンです。それまで、制汗剤のスプレーやロールオンタイプを使っていましたが、それよりも、焼ミョウバンの効果があると感じました。
これを使うと、これまでと比較して汗をかきにくくなると実感できます。その安心は相当なもので、お出かけもしやすくなりました。朝塗っておけば昼くらいまでは持続できているような気がします。
汗を止めようと思えば思うほど熱く感じ、慌てて更衣室へ行き体を拭いています。しかしあまり周囲に知られたくないという思いもあり耐えています。更年期はいつ終わるのか、このまま仕事を続けられるだろうかと不安が募れば募るほど症状が悪化しているような気がしてきました。
同じ更年期世代の友人に相談したところ、「『なんとかなるさ』と1日何度も心でつぶやいてみたら?」と言われ疑いつつも続けたところ、更年期の症状が改善とまではいきませんが、毎朝の「今日会社を辞めます」からのスタートではなくなってきました。朝のあの何とも言えない重たい気持ちからは解放され、出社できるようになりました.
まず、スパイスや刺激物、カフェイン、アルコールなどの刺激性のある食品を避けることが重要です。代わりに、豆類や大豆製品、ナッツ、種子、魚などのオメガ3脂肪酸を含む食品を摂取することが良いでしょう。
また、ビタミンEやマグネシウムを多く含む食品(アーモンド、ほうれん草、アボカドなど)も積極的に摂取すると効果的です。
適切な水分摂取も大切で、体を冷やすことができる涼しい飲み物(水やハーブティー)を選びましょう。
ホットフラッシュを軽減するためには、涼しい環境を意識して選ぶことが基本です。エアコンの調整が難しい場合は、携帯用の扇風機を利用したり、保冷剤などのひんやりグッズを効果的に使うことで体の温度上昇を抑えることができます。
また、通気性の良い衣類を選ぶことも効果的です。綿やリネンなどの通気性の良い素材を選び、タイトな服装や合成繊維を避けることで、汗の蒸発を助けて体温調節をサポートします。
さらに、睡眠時にも同様に涼しい場所と通気性の良い寝具を選ぶことで、ホットフラッシュの頻度や強度を軽減することができます。
呼吸法は、ストレスを軽減しリラックスするために有効な方法です。まず、ゆったりとした姿勢を取り、深くゆっくりとした呼吸を意識します。
鼻から息を吸い込むときにはおなかを膨らませ、口から息を吐くときにはおなかを引き締めるようにします。吸うときに「ゆっくり、深く」、吐くときに「ゆっくり、深く」と意識しておこないます。
この呼吸法を数分間続けることで、心拍数が落ち着き、体がリラックスします。
ストレスが軽減されると、ホットフラッシュによる不快感も緩和されることが期待されます。毎日少しずつ練習して、呼吸法を身に付けていきましょう。
睡眠の質を高めるにはまず、睡眠環境を整えることが重要です。静かで暗い部屋を確保し、快適な温度を維持します。
また、睡眠前にリラックスするためのルーティンを作りましょう。入浴や読書など、ストレスを和らげる活動をおこないます。食事や運動は寝る数時間前に控え、カフェインやアルコールの摂取も避けます。
さらに、睡眠時間を一定にすることが大切です。規則正しい睡眠スケジュールを作り、寝室では寝ることだけをする習慣を身に付けます。
これらの工夫を取り入れることで、深い睡眠を得ることができ、ホットフラッシュによる睡眠の妨げを軽減することができます。
幼稚園や小学校の集まりに行って、若いママ友と更年期のつらさを共有できずモヤモヤした経験を持ったことはありませんか。家庭からの理解がなかなか得られにくいという人も多いでしょう。また、同年代だからといって同じ悩みを共有できるとは限りません。
でも「更年期で大変だね」と、誰かと話すだけで気がラクになるものです。自分だけではなく皆も同じようにホットフラッシュに悩まされてたり、イライラしていたりするんだ……。そう思うと孤独感がなくなって、精神的にもラクになります。同じ悩みを共有し合える更年期の友人・知人は心強い存在です。
また、もし周りに気軽に悩みを話せる友人知人がいなければ、同じ悩みを持つ女性のコミュニティーを探すのもおすすめします。新聞社やNPO法人が主催しているオンラインコミュニティーもあれば、地域が主催している集まりもあります。自分に合ったコミュニティを見つけて参加してみましょう。
他のメンバーとの交流を通じて、自身の経験や感情を共有し、同じ悩みを持つ女性たちとの絆を深めることが、心の支えとなります。同じ悩みを持つもの同士、それぞれの経験を共有し支え合いながら、前向きに更年期を乗り越えていきましょう。
治療法は、ホルモン補充療法(HRT)をはじめ、漢方薬や安定剤などさまざまです。どの治療を受けるか、併用するかは医師と相談の上決定し、治療を始めます。
ホルモン補充療法はエストロゲンを体に補充する治療法で、内服薬・貼り薬・ジェル状の塗り薬・経腟薬があります。更年期症状の中でも、のぼせ、ほてり、発汗といった症状には特に有効です。開始してから1~2カ月ほどで効果が出始めます。
5年以上使用する場合は乳がんのリスクが上がるといわれていた(※)ため、通常2~5年くらい使用しますが、5年で必ずやめなければならないということではありません。そのリスクと治療効果を考慮しながら検討します。
続け方については、経過観察と検査の結果をもとに判断します。これ以上必要ないと判断したらやめてもいいですし、いつでも再開することはできます。
※2004~2005年に厚生労働省研究班が調査をおこない、ホルモン補充療法経験者が乳がんになる危険性は、ホルモン補充療法未経験者の半分以下だったという結果を公表しています。その後の研究でも、ホルモン補充療法が乳がんの発症に与える影響は、肥満やアルコール摂取、夜勤の仕事などが与える影響と同程度の小さいものであることがわかっています。
症状によっては漢方療法も有効です。代表的な漢方は、桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)、当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)、加味逍遥散(かみしょうようさん)などがあります。それぞれ、体質や症状に合うものを選びましょう。
桂枝茯苓丸:ホットフラッシュ(のぼせ、ほてり)、頭痛に効き目があります。比較的体力がある人におすすめです。
当帰芍薬散:めまい、たちくらみ、肩凝り、足腰の冷えなどに効き目があります。冷え性で疲れやすい人におすすめです。
加味逍遥散:イライラ、落ち込み、不安といったメンタルの不調、めまい、冷え性に効き目があります。虚弱体質で精神不安がある人におすすめです。
漢方は2~3カ月使用して効果を確認し、ラクになった感じがなければ処方内容を変更して、本人に合った漢方薬を見つけていきます。
エクオールは、大豆イソフラボンがエストロゲンと似た動きをすると言われていますが、その中でも、「ダイゼイン」という成分がエクオール産生菌という腸内細菌によって「エクオール」という成分に変換されます。
ただし、エクオールを腸内でつくることができる人は日本人では約2人に1人といわれています。そのため、自分がエクオールを作ることができるかどうかを尿で調べる「ソイチェック」をおこなうという方法もあります。
できれば毎日、大豆製品などの良質なたんぱく質やビタミン、ミネラルなどをバランスよくとるようにしましょう。また、エクオール産生菌がしっかりと働けるように腸内環境を整えておく必要がありますので、食物繊維や発酵食品も意識してとるようにしましょう。
エクオールをつくることができない人はサプリメントで補うことが有効ですが、サプリメントのみに頼らず、普段の食生活でしっかりとるようにしましょう。
多くの更年期女性が悩むホットフラッシュですが、「今起こったらどうしよう」「恥ずかしい」などと不安になることでますます症状を強くしてしまうこともあります。突然の発汗やほてりにも対応できるよう、普段からちょっとした準備をしておくと、安心して不思議と症状も軽くなることもあります。
まずは身近な対策グッズを試してみたり、日常生活の改善から始めてみましょう。
しかし、症状がつらい場合は我慢せず婦人科の受診をおすすめします。専門医とよく相談し、自分に合った治療法を見つけてみてください。
※記事の内容は公開当時の情報であり、現在と異なる場合があります。
※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。
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