「喉に何か詰まっている?」40歳で突如襲った喉の違和感。基礎体温の記録で見えてきた意外な事実とは
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動悸や息切れは日常生活の中で突然、襲い掛かってくることがあります。例えば、買い物中や会議中など、何の前触れもなく急に心臓が激しく打ち始めたり、息苦しさを感じてしまったり。初めて経験したときには、このまま心臓が止まってしまうのでは、と感じた人もいるのではないでしょうか。ましてや、ただ座っているときや、ゆっくり歩いているにもかかわらず、動悸や息切れがあったら、なおのこと不安は増すばかりです。
これらの症状も更年期症状の1つとされるものです。どうしても外部からは見えにくいため、なかなか他人には理解されず、孤独感や不安にさいなまれてしまう人もいることでしょう。
ここでは、更年期に起こりやすい動悸や息切れの原因や症状、対処法、そして実際にこれらの症状を経験した人の体験談を紹介します。
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呼吸のスピードや深さなどはある程度自分で調整できますが、「止めてしまう」ことはできません。心拍数についても激しい運動をすると増えますが、自分の意志で「早く動かす」ことは無理です。
このように、私たちの体が自動的に機能するための重要な神経系を「自律神経」といい、交感神経と副交感神経の2つの部分から成り立っています。
交感神経が優位になると体は活動モードに入り、心拍数が上がり呼吸が早くなるなどの反応を示します。これに対して、副交感神経が優位になると体は休息状態に落ち着き、リラックスします。この2つの神経のバランスが健康的に保たれることが理想的です。
しかし、誰もがいつも万全な状態であるわけではありません。熱はなくても少しの疲れがあったり、元気なのに心配事があるなど、ほんのちょっとしたことから交感神経と副交感神経のバランスが崩れることがあるのです。
そうなると動悸や息切れといった不快な症状が現れることがあります。きっかけはほんのちょっとのこと。だから自覚がないことも多いのです。自覚がないと症状の出現がさらなる不安要素になってしまうことも。このように、自律神経の安定は心身の健康維持にとって非常に重要なのです。
女性ホルモンの1つであるエストロゲンは自律神経の調整に重要な役割を担っています。更年期に入ると、このエストロゲンの分泌が急激に減少してしまうのです。この変化が自律神経の機能に深刻な影響を及ぼし、神経系のバランスを崩してしまうのです。その結果、突発的な動悸や息切れが引き起こされやすくなります。
このような症状は更年期の女性に多く見られますが、男性でも加齢に伴うホルモンバランスの変化が自律神経に影響を与えるため、似たような症状が現れることがあります。したがって、更年期や加齢による自律神経の不調を理解し、適切な対処をすることが重要です。
ストレスが多い現代社会において、多くの人々が不規則な睡眠や慢性的な疲労といった問題を抱えています。これらの心身の状態は、自律神経のバランスに深刻な影響を及ぼしかねません。
自律神経は呼吸や血液循環、消化など、人が生きていく上で欠かせない生命活動を維持するために、休むことなく働き続けています。自律神経の働きが弱くなったりうまくいかなくなると、心拍数の異常増加や呼吸の困難といった症状が引き起こされることがあります。
特に、ストレスは交感神経を過剰に刺激してしまい、常に活動状態、興奮状態になってしまい、正しい睡眠が取れなくなるリスクもあります。また不規則な睡眠は副交感神経の活動を妨げるため、これらが組み合わさることで自律神経の不調が顕著になるのです。
動悸や息切れといった症状は、更年期はもちろんですが、更年期とじょうずに付き合っていたとしても、生活習慣による自律神経の乱れで起こることも多く、日々の生活の中でストレスを管理し、規則正しい生活を心がけることが重要です。
動悸や息切れに対処するための効果的な方法として、腹式呼吸が推奨されています。この呼吸法は、ストレス反応を抑え、自律神経のバランスを整えるのに役立つのです。自律神経のバランスが崩れた場合は、何より副交感神経を意識して優位にすることでリラックスができ、結果として自律神経のバランスを取り戻しやすくなります。
・腹式呼吸の方法
①まずリラックスできる静かな場所で座姿勢を取ります。
②片手をおなかに置き、ゆっくりと鼻から息を吸いながらおなかを意識的に膨らませます。
③次に、息を口からゆっくりと吐き出しながらおなかをへこませます。
これをゆっくりと意識しておこなうと、じんわりと汗ばんでくることでしょう。特に吐くことを意識すると、さらにリラックス効果が増すともいわれています。
・腹式呼吸のメリット
このプロセスを繰り返すことで、心拍数が自然と落ち着き、呼吸も整います。腹式呼吸を数分間おこなうだけで、動悸が軽減し、息切れも和らぎます。日常的にこの呼吸法を取り入れることで、緊張状態の解消にもつながり、ストレス耐性が向上します。
しかも副交感神経が優位になると、リンパ球が増えるといわれます。血液中に存在するリンパ球はウイルスや細胞などが体内に入ってきたときに、防御してくれる働きを持っています。正しい腹式呼吸を続けることで、免疫力アップも期待できるのです。
・規則正しい生活リズムを整える
規則正しい生活リズムを保つことは、自律神経の安定にとって非常に重要です。特に、毎日同じ時間に起床し就寝する習慣は、体内時計を整え、1日のリズムを正常に保つのに役立ちます。昼食後に短時間の休息を取ることも、午後の活動に向けてエネルギーを再充電するのに効果的です。
・就寝前のスマホを控える
また、寝る前にスマホを見る時間を減らすことで、目に刺激を与えるブルーライトの影響を避け、より深い睡眠を促進できます。朝の日光浴も同様に有効で、自然光を浴びることによって体内時計がリセットされ、日中の活動性が向上し、夜はより快適に眠りに就けるようになります。これらの習慣を日々の生活に取り入れることで、自律神経のバランスが保たれ、心身の健康が維持されるのです。
仕事などでパソコン画面を見続けたり、満員電車に乗り続けるなどストレス要因が複数あるような生活環境や日々の習慣は、自律神経に大きな影響を与えます。自律神経の健康を維持する上でこれらはとても重要です。どんなに順調な生活をしているとしても、これらを一度見直してみましょう。
・カフェイン摂取は1日400mgまでに
例えば、自律神経にあまりいい影響を与えないといわれているものにカフェインがあります。カフェインは交感神経を刺激し、動悸や不安を引き起こす可能性があるからです。今は何の症状も出ていないかもしれませんが、日ごろ、カフェインを過剰摂取していませんか? 健康な成人で1日のカフェインの摂取量は最大400mg程度といわれています。マグカップ3杯弱に該当します。
毎日コーヒーだけでもそれ以上飲んでいたら、もしかしたら自覚ないままに自律神経のバランスが崩れ始めている可能性があります。予防的な意味でも、生活の見直しは大切です。
・定期的な運動をおこなう
また定期的な運動も重要です。運動を習慣化することで体内のストレスホルモンが減少し、自律神経のバランスが改善されます。仕事とプライベートの時間をしっかりと分け、適切な休息を取ることも、精神的なストレスを減らし自律神経を安定させることに役立ちます。アルコールの摂取も同様に見直すべき点であり、適度な量を守ることで睡眠の質を保つことができます。
・リラクゼーションの時間をつくる
リラクゼーションの時間を意識的につくることも大切。心身ともにリフレッシュし、自律神経の健康を促進することができます。これらの生活習慣の改善は、日常生活において自律神経の調和を保つための基盤となるのです。
生活習慣を見直すだけでは症状が治まらないこともあります。更年期の場合は特にその傾向が強くあります。そんなときには医学的な治療法を試すことも対応策といえます。主な治療法はホルモン補充療法、漢方薬、エクオールの摂取になります。しっかりと医師の指導を受けて治療しましょう。
更年期における動悸や息切れは、日常生活に大きな影響を与えることがあります。これらの症状を緩和するためには、ホルモン補充療法(HRT)、漢方薬、エクオールを含むサプリメントなど、さまざまな治療・ケア方法が存在します。
まず、ホルモン補充療法は更年期症状を和らげるための最も一般的な治療法の1つです。この治療では、エストロゲンの補充でその低下に伴う症状を改善させ、同時に子宮体がんの予防としてプロゲステロンの併用が必要です。従って子宮を摘出している女性にはプロゲステロンは不要です。HRTは特に、自律神経の乱れによって引き起こされる動悸や息切れ、ホットフラッシュに効果的であることが知られています。開始する前には医師との詳細な相談が必要です。
※ホルモン補充療法を5年以上使用する場合は乳がんのリスクが上がるといわれていたため、通常2~5年くらい使用しますが、5年で必ずやめなければならないということではありません。そのリスクと治療効果を考慮しながら検討します。いきなりやめるとまた症状が出てしまうこともあるので、生活環境を整えたり、セルフケアなども取り入れながら、だんだんと減量し、ゆっくりやめる方向へ持っていきます。
※2004~2005年に厚生労働省研究班が調査をおこない、ホルモン補充療法経験者が乳がんになる危険性は、ホルモン補充療法未経験者の半分以下だったという結果を公表しています。その後の研究でも、ホルモン補充療法が乳がんの発症に与える影響は、肥満やアルコール摂取、夜勤の仕事などが与える影響と同程度の小さいものであることがわかっています。
また、最近では張り薬や塗り薬は使っていてもいなくても、乳がんや血栓症を発症する確率は変わらず、逆にホルモン補充療法をしている人のほうが全体のがん発生率が下がるといわれています。
漢方薬も更年期の症状緩和に用いられることがあります。漢方では、体質や症状に合わせて複数の生薬を組み合わせた処方が特徴です。例えば、「加味逍遥散」や「当帰芍薬散」は、ホルモンバランスの乱れによる心身の不調を整えるのに役立つとされ、動悸や息切れ、その他の更年期障害に対して推奨されることが多いです。これらの漢方薬は副作用が少ないという利点もあり、自然な治療法を求める人に適しています。
エクオールは大豆イソフラボンを代謝して生じる物質で、特に日本人女性の間でその効果が注目されています。エクオールはエストロゲン様の作用を持ち、体内のエストロゲンが不足しがちな更年期において、ホルモンをサポートすることで心身の症状を和らげます。エクオールを含むサプリメントは、ホルモン補充療法の代替として、または補助的な手段として用いることができ、動悸や息切れに対する治療として利用されています。
これらの治療法はいずれも、更年期に伴う動悸や息切れを管理する上で有効ですが、使用する前には専門の医師と相談し、自分の健康状態や体質に最適な方法を選ぶことが重要です。それぞれの治療法のメリットとリスクを理解し、適切なケアをおこなうことで、更年期の質を向上させることが可能になります。
突然の動悸や息切れは、更年期の典型的な症状の1つです。ただ、動悸や息切れがすべて更年期に原因があるわけではありません。実際には高血圧や心不全、甲状腺機能亢進症(バセドウ病)といった他の深刻な健康問題が背景にある場合があります。
これらの状態は、未治療のまま放置すると健康に重大なリスクをもたらすだけではなく、命にも大きな影響を与える可能性もあります。そのため、動悸や息切れを経験した際には「更年期の症状の1つ」と自己診断することなく、他に要因があるかもしれないと認識することが重要です。
特に症状が急激に現れる場合や、他の症状が伴う場合は、速やかに循環器内科の診察を受け、適切な検査をおこなうことをおすすめします。正確な診断を受けることで、適切な治療が可能となり、健康状態を正しく管理するための第一歩となります。
子どもが手を離れたら優雅にヨガに通おうと思っていたのに、気付けば40代半ば。腰痛も出てきて、腰痛にはヨガが良いと聞いていたのもあり、とにもかくにもヨガ教室に駆け込みました。
1時間半のレッスンはあっという間に終わり、つらかった体は高揚感と心地良さで、幸せな気分に。もちろんヨガ教室に通うのは続けることにしました。そして、ヨガを続けているうちに腰痛以外にも変化が現れたのです。
目を閉じて自分自身と向き合うことで自律神経が整えられたのか、少し気になり始めていた息切れや動悸も治まってきているのです。無理なくゆっくり体を動かすことがいいのでしょうか。それとも、ゆっくりと深い呼吸法が功を奏したのでしょうか。激しい運動をしていないのに、体が整えられて動けるようになってきているので、すごくうれしいですね。
45歳のとき、仕事中に頻脈と息苦しさを感じて最初はストレス?と思っていました。が、動悸を感じる頻度も増えてきました。循環器に問題があるのかと心配になり循環器内科を受診すると、年齢的なものではないかと医師から話があったのです。
年齢的なものというのは、更年期ということでした。しかし同年代の友人たちから聞く更年期の話はホットフラッシュなどの症状ばかりで、動悸なんていう症状は聞いたことがありません。動悸は本当に更年期なのだろうか?と思いながらも、婦人科の更年期外来を受診してみるとやはり更年期という診断でした。
婦人科では更年期に急激に減少する女性ホルモンを薬で補うホルモン補充療法について説明してもらいました。ホルモン補充療法は効果に個人差があること、副作用があることを聞いた上で、現状の動悸のつらさと比較して考え、試してみることにしました。
1週間後に検査をしてホルモン補充療法をおこなうにあたって私自身には大きな問題はないことがわかったので、そのまま続けることになりました。1カ月服用したところで動悸を感じなくなりました。現在も定期的に婦人科で診察を受けながら、半年ほどホルモン補充療法を継続しています。その後、更年期らしい症状を自覚することはほぼありません。
趣味はランニング。最近いつもより遅いなぁ……とは感じていました。そのうち、声がかれ始め、発汗やほてりも感じるようになってきて、「これが更年期障害の症状なのかな?」と思っていたんです。更年期は時期が来たら治ると思っていましたし、「ストレスが敵」とばかりに趣味のランニングに励んでいました。
あるとき友人に「ハスキーボイスがすてきだよね」と言われたのですが、私はもともとはハスキーな声ではないんです。そのころ、趣味のランニングもすぐに息が切れるようになり、ランニング後の動悸も尋常ではありませんでした。そこで近所のクリニックを受診すると専門病院を紹介されて。「甲状腺機能亢進症(こうじょうせんきのうこうしんしょう:バセドウ病)」と診断されました。
バセドウ病とは甲状腺ホルモンが過剰に分泌されてしまうもので、私自身、その症状は思い当たるものばかりでした。多汗、動悸・息切れなど本当に更年期障害の症状とよく似たものばかりです。この病気は心臓をはじめ、さまざまな臓器に負担が掛かり、時には不整脈から心不全を起こすこともあるとのこと。早めに受診できて命拾いしました。
更年期によく見られる動悸や息切れは、ホルモン変動に伴う自律神経の不調が原因ですが、これらの症状は高血圧や心不全、甲状腺機能亢進症など他の病気の兆候である可能性もあります。症状の出現には個々の生活習慣やストレスも影響し、適切な生活リズムの維持が自律神経を安定させる鍵です。
治療法としては、ホルモン補充療法、漢方薬、エクオールのサプリメントが効果的です。ただし、症状が急に現れる場合、動悸・息切れの症状以外を伴うときなどは循環器内科を受診しましょう。
※記事の内容は公開当時の情報であり、現在と異なる場合があります。
※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。
イラスト/マメ美
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