「実家に帰ろう」私の不機嫌を見抜いて夫が使う切り札。その言葉に隠された計算とやさしさの正体は
目次 1. 「実家に帰ろう」と言う夫の作戦 2. 夫のやさしさ?それとも計算? 3. まとめ まとめ 夫のやさしさも、実家へ帰れるうれしさも、どちらも本 …
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わが家はお小遣い制にしており、毎月3万円を夫に渡していましたが、子どもが3人いて私も専業主婦だったので、金銭的にもそんなに余裕はありませんでした。食費や光熱費をなるべく節約して、そこから3万円のお小遣いを捻出するのがギリギリ。飲み会が多く買い物好きな夫には少ないかな、と心配していました。
しかし、夫は飲み会や買い物をよくしている割に、お金が足りていない様子はありません。会社の先輩におごってもらったり、安く買い物をしたりして、夫はうまくやりくりをしているんだなと思っていました。私は夫に「ちゃんと管理していて偉いな」と思っていたくらいです。
ある日、子どもたちとスーパーへ行った帰りに家のポストを見ると、夫宛てに金融機関から封筒が届いていました。テレビのCMなどで聞いたことのある名前の金融機関でしたが、私にはまったく身に覚えがなく、夫からも何も聞かされていません。封筒を見た瞬間、頭が真っ白になったのを覚えています。
家へ入り家事をしていても、この封筒のことが頭から離れませんでした。私は夫が帰ってくるまで我慢できず、勝手に開封することに。すると手紙には、夫が150万円ほど借入れをしていることが書いてありました。手紙が届いて初めて夫に借金があることが発覚したのです。手紙を見た瞬間から私は動悸と冷や汗が止まりませんでした。仕事中の夫に「こんなものが届いていた。詳しく聞きたいから、今日は仕事が終わったらすぐに帰ってきて」と、すぐにメールを送りました。
夫は定時で仕事を切り上げ、いつもよりも早く帰ってきました。帰ってきた夫に、何のために借金をしたのか問い詰めると、半年くらい前に会社の先輩に投資を進められ、私に隠れて投資をしていたことを、ポツリポツリと気まずそうに話し始めたのです。
夫の話によると、初めはもうけになっていたが、投資を続けるうちにマイナスになってきたとのこと。もうけになっていたときのうれしさと、使えるお金が増えたときの喜びが忘れられず、意地になって投資を続けてしまったそうです。また、借金が増えるほどに「せめてマイナス分を取り返さなければ」という焦りも出てきてやめられなかったようです。マイナスになってからはお小遣いだけでは足りず、投資をするためにお金を借りていたと言ってきました。
こんな話をいきなりされて、私は大激怒。「なんで相談しなかったの?」「バレなければこのまま続けていたの?」「私は自分が欲しいものを我慢して節約もしていたのに、今まで何のために頑張ってきたのかわからないじゃない!」と、夫をたくさん責めました。今までの自分の努力がこんな形で夫に裏切られるなんて思ってもみませんでした。
そのときの私は、怒りと悲しみで涙が止まりません。夫も涙を浮かべながら「すべて俺が悪い、本当にごめんなさい」と必死に謝っていました。謝られたところで私の夫に対する怒りが収まるわけもなく、「こんな夫ならいないほうがマシだ」と何度も思ったのです。
しかし、冷静に考えると、5歳・4歳・2歳の子どもがいた私は、これから自分がひとりで3人を育てながら働いて、子どもに不自由な思いをさせずに生活していく自信がありませんでした。私は離婚の決断ができなかったのです。離婚をしないとなれば、私たちは借金を早急に返済しなければいけません。
私は子どもたちの学費や何かあったときのためにと思い、家の貯金とは別に子ども名義の口座にコツコツ貯金をしていました。150万円もの大金を返済するには、家の貯金だけではまかなえません。そこで、泣く泣く子どものための貯金から全額返済することに。
今まで引き出したことのない口座から、夫の借金返済のために初めてお金を下ろすなんて、その瞬間の胸が苦しくなるような情けなく悲しい気持ちは今でもはっきりと覚えています。「こんなことは二度としたくない」心からそう思いました。そして、夫は私と「二度と借金をしない」「またこんなことが起こったら即離婚する」という約束をしました。
それから私は、毎日夫と一緒に夫の財布と領収書を確認しながらお小遣い帳をつけるように。新しい持ち物が増えていないかと、夫の持ち物も細かくチェック。夫も面倒くさいと思っているでしょうが、文句を言わずきちんとやっています。きっと自分は最低なことをしたという自覚があるのでしょう。ちなみに夫のお小遣いは2万円に減らし、減らした1万円は子どもの貯金に回しています。
子どものお金に手を出した罪悪感と夫への不信感はまったく拭えていませんが、これも夫婦で乗り越えなければいけない壁だと思っています。いつか振り返ったときに、笑い話とまではいかなくても今ほど怒りを覚えず思い出話にできる日がくればいいなと思っています。
※記事の内容は公開当時の情報であり、現在と異なる場合があります。記事の内容は個人の感想です。
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