- 2024.05.05
- 自宅介護,
父が亡くなり、寂しさの中にもどこか安心している自分も…家族の介護を通じて痛感したこと【体験談】
家族の介護を通じて、人それぞれで介護の仕方も違うものだと感じた出来事がありました。ここでは、私が体験した父親の介護の一部を紹介したいと思います。&nbs …
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2023年に両親が他界するまでの5年間、週末に車で片道1時間半かけて実家に通い両親の介護をしていた私。当時40代後半だった私は、自分も年齢による体力の限界を感じつつ、アルツハイマー型認知症の父と車椅子生活の母の2人を介護していたのでした。
今回は、介護サービスを利用する父の生活が軌道に乗り、ひと安心した矢先に父が転倒、救急車で病院に運ばれたときのことをお話しします。
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物忘れの多かった当時81歳の父が、要介護支援2の認定が下りたことを機にデイサービス(要介護状態にある高齢者が、入浴、排せつ、食事等の介護、機能訓練を日帰りで受けられる施設)に通い始めました。最初は週2回ずつでしたが、週3回、週4回と、通う回数を徐々に増やすことに。すると、それまで昼間ウトウトと椅子で寝て、夜は眠れなくなり睡眠薬に頼るという悪循環だった生活リズムが、昼は活動、夜は睡眠という好ましいものに変化していきました。睡眠薬が不要となり、生活リズムが整うと、父の認知症も進行が止まったかと思えるほどの良い状態に変わっていきました。
それと同時に、訪問ヘルパーの回数も週1回から2回、3回と少しずつ増やし、内容も、掃除だけでなく買い物や夕食作りもお願いするようにしました。父は「父の食事が作れたらたいしたものだ」と母に言わせるほど好き嫌いが多かったのですが、ヘルパーさんは父の苦手な食べ物を除いて、やさしく声掛けしながら夕食作りをしてくれました。また、曜日の感覚がない両親に代わり、ゴミ出しやデイサービスの送り出しもヘルパーさんにお願いするようになりました。
こうして、デイサービスのある日は9時にお迎え、16時に帰宅、17時ごろにヘルパーさんが夕食作りに来るというリズムの良い生活になりました。
父のお出掛けという名の“徘徊(はいかい)”が多くなってきたある日、夜中の1時ごろに「父が転んで救急車で運ばれた。病院で脳の検査をしたようだ。おそらく今は大丈夫」と兄から電話がありました。実家の近所のAさんから兄に電話があったようです。
どうやらAさんが病院に迎えに行ってくれたらしく、今はAさんと私の両親が車で帰宅中とのこと。わけがわからないまま時間は過ぎるばかり。頼みの綱はAさんのみ。しばらくするとAさんから「病院から帰宅し、大丈夫」と兄に連絡が。すでに時刻は深夜2時。兄と「とにかく今日は大丈夫だから寝よう」ということになり、私も明日、Aさんに電話してお礼と状況把握をすることにして寝ました。
翌朝、電話でAさんが「昨夜、お父さんが救急車で運ばれたらしく、お母さんと一緒に車で病院へ迎えに行きました。もう大丈夫です」と……。実家の母に電話をするも、うまく説明できない母に、「私が今週末に帰るね」と伝えて電話を切りました。
私はどうしても平日は実家に通えないのです。学校から帰宅して子どもがひとりになってしまうので、こんなとき近くに住んでいれば駆け付けられるのにとつくづく思いました。
週末に私は実家に帰り、ケーキを持ってAさんにお礼に行きました。どうやら父は自転車で転倒し、誰かが救急車を呼んでくれて病院に運ばれたようです。病院からの電話にすっかり動揺した母は、兄や私に連絡もせず、深夜11時ごろにAさん宅に駆け込んだようでした。ただ、これ以上の迷惑は掛けられないので、ご近所には「最後は私の近くに住まわせます」と伝えて回りました。父の強い希望でもある夫婦2人で生活を続けるということをご近所の皆さんに理解してもらえないと思ったからです。
母も緊急時に私や兄に電話をするという優先すべき行動や判断力が鈍っていたためにできなくなっていたようです。この一件があってから実家のリビングが見渡せるWebカメラを購入し、離れた私や兄のスマートフォンやタブレットで見て声掛けができるようにしました。
さらに兄と私は両親の老人ホーム入居を本格的に考え始め、ショートステイ(介護者の介護負担軽減や一時的に介護ができない場合の介護をする目的で、短期間施設に入所できるサービス)も利用登録しました。同時に市の24時間電話窓口を利用したり、ボタン1つで私や兄に電話をかけられるようにしたりと、できる限りの見守りを考えました。
デイサービスやヘルパー利用で、いったんは父の生活が劇的に改善したように思えました。しかし気が付かないうちに認知機能や身体能力は低下していたようです。父が自転車で転倒して運ばれたことで、介護は待ってくれず、一時的に良くなったように見えても楽観的にならず、状態に合わせて進めて行かなくてはならないと痛感しました。
※記事の内容は公開当時の情報であり、現在と異なる場合があります。記事の内容は個人の感想です。
※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。
監修/菊池大和先生(医療法人ONE きくち総合診療クリニック 理事長・院長)
地域密着の総合診療かかりつけ医として、内科から整形外科、アレルギー科や心療内科など、ほぼすべての診療科目を扱っている。日本の医療体制や課題についての書籍出版もしており、地上波メディアにも出演中。
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