「もう時短はいいかな」50歳目前に起こった驚きの変化。時短から丁寧志向に目覚めるまで
今まで何をするのも手早さが自慢だった私。例えば料理はいかに早くおいしく仕上げるか、掃除はいかに早く終わらせるか、常に時短を意識することがとても楽しみでし …
新婚当時はどんなに疲れていてもお互いの肌に触れることが自然で、愛情を感じる瞬間が多くあったのに、時がたつにつれ、特に40代に差し掛かるころから夫婦生活に対する気持ちが変わってきて……。仕事や子育ての忙しさに追われる日々の中で、夫婦の時間が次第に減り、夜もそのまま眠りに就いてしまうことも。
夫婦で話し合う時間が少なくなると、自然とコミュニケーションも減少し、お互いの気持ちや体の変化に対する理解が薄れていくのを感じている方もいるのではないでしょうか。40代に入ると、特に女性は更年期によるホルモンバランスの変化があり、これが夫婦生活に大きな影響を及ぼすことがあります。さまざまな年代の行為の悩み相談を受ける産婦人科医の駒形依子先生にお聞きしました。
監修／駒形依子先生（こまがた医院院長）
2007年東京女子医科大学卒業後、米沢市立病院、東京女子医科大学病院産婦人科、同院東洋医学研究所を経て、2018年1月こまがた医院開業。2021年9月より介護付有料老人ホームの嘱託医兼代表取締役専務に就任し現在に至る。著書に『子宮内膜症は自分で治せる(マキノ出版)』『子宮筋腫は自分で治せる(マキノ出版)』『膣の女子力(KADOKAWA)』『自律神経を逆手にとって子宮を元気にする本(PHP研究所)』がある。
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40代レスの原因と解消法
40代になると、夫婦共に仕事や子育てで忙殺されることが多くなり、2人の時間を作るのが難しくなりがちにです。特に、日々の疲労が蓄積されると、夜には早く寝たいという気持ちが強くなり、夫婦生活にまでエネルギーを割く余裕がなくなることも。また、更年期によるホルモンバランスの変化が、特に女性にとっては大きな影響を及ぼします。仕事や家事育児からくる疲れなどによる性欲の低下や体調不良が原因で、レスになりやすいのです。
原因1：日常生活の疲労
40代は多くの人にとって、仕事においてキャリアのピークを迎える時期です。この時期、仕事の責任や業務量が増加することが一般的であり、これに伴い精神的および肉体的な疲労が蓄積します。加えて長年一緒にいる夫婦でしたら、話し合いをしなくても「きっとわかってくれているはず」という信頼感もあり、「疲れているからしなくてもきっと大丈夫」と思っているのではないでしょうか。この疲労は「行為をする豊かな関係」ということとは関係なく、単純に性欲を抑制する大きな要因となり、結果としてレスを引き起こしやすくなります。
まず、仕事の責任が増えることで精神的なストレスが増大します。重要なプロジェクトの遂行や部下の管理、上司との関係調整など、多岐にわたる業務に追われる中で、ストレスが慢性的に蓄積されます。このような精神的な負担は、性的欲求を減少させる一因に。ストレスが高まると、リラックスする時間が減り、パートナーとの親密な関係を築くことが難しくなります。
さらに、長時間の労働や通勤、会議や出張など、身体的な活動が増えることで、疲労感が募ります。特に、デスクワークが多い場合でも、姿勢の悪さや運動不足によって体は疲弊します。加えて、共働きが多くなり、家事は夫婦で分担するカップルが増えたとはいえ、特に育児に関してはどうしても女性は負担が大きくなりがちです。これらの要因から来る肉体的な疲労が蓄積すると、夜には早く休みたいという気持ちが強くなり、性生活に対する意欲が低下しやすくなります。
また、仕事のストレスや疲労は睡眠の質にも悪影響を及ぼします。慢性的なストレスは、睡眠障害を引き起こしやすく、夜中に目が覚めたり、深い眠りに入れなかったりすることがあります。十分な休息が取れないと、体と心が回復せず、翌日の活動にも支障を来します。睡眠不足は性欲の減退を招くとともに、パートナーとのコミュニケーションを減少させ、結果としてレスの状態が続くことになります。
原因2：更年期によるホルモンバランスの変化
更年期におけるレスの具体的な要因として、ホルモンバランスの変化が大きな役割を果たします。女性は更年期を迎えると、女性ホルモンのエストロゲンとプロゲステロンの分泌が減少します。このホルモンバランスの変化により、性欲の低下や体調不良が引き起こされるのです。
男性も更年期に差し掛かると、男性ホルモンのテストステロンの分泌が減少します。テストステロンは男性の性欲に大きく関与しており、その減少により性欲が低下することがあります。さらに、テストステロンの低下はED（勃起不全）を引き起こし、これが男性の性的活動に対する自信を喪失させ、レスにつながることがあります。
具体的には、エストロゲンの減少が腟の乾燥を引き起こし、性交痛（ディスペアウニア）が生じることがあります。腟の乾燥は性的活動を不快にし、結果としてレスを引き起こす一因となります。また、エストロゲンの低下は気分の変動や睡眠障害をもたらし、これがさらに性欲の低下につながります。
以上のように、更年期におけるホルモンバランスの変化は、男女双方にとってレスを引き起こす重要な要因となります。これを克服するためには、適切な医療的介入やカウンセリング、コミュニケーションの改善が不可欠です。
原因3：コミュニケーション不足
コミュニケーション不足は、夫婦関係において多大な影響を及ぼし、特にレスの一因となることが多いです。忙しい日常の中で夫婦間のコミュニケーションがおろそかになると、お互いの気持ちや体調を理解し合う機会が減少します。この結果、相手への関心が薄れ、夫婦生活にも悪影響を及ぼします。
まず、コミュニケーションが不足すると、夫婦はお互いのニーズや悩みを十分に理解できなくなります。例えば、仕事や育児の疲れ、ストレスがたまっていることや、更年期による体調の変化など、パートナーがどのような状況にあるのかを把握することができなくなります。このような状態では、夫婦生活に対する期待や希望がすれ違い、結果としてレスが生じる可能性が高まります。
また、コミュニケーション不足は心理的な距離を生み出します。夫婦が互いの感情や考えを共有しないと、次第に信頼関係が薄れ、親密さが失われます。これにより、夫婦生活に対する意欲が低下し、レスが進行することになります。相手の気持ちを理解しようとしない態度は、パートナーにとって無関心や拒絶として受け取られ、感情的な疎遠を引き起こします。
さらに、性に関する話題がタブー視される場合、問題が深刻化します。夫婦生活について率直に話し合うことができないと、双方の不満や誤解が蓄積し、ますますレスの状態が固定化されます。例えば、一方が性的欲求を感じているのに、もう一方が疲労やストレスから応じられない場合、その気持ちを共有しないことで不満が募り、関係がぎくしゃくすることになります。
夫婦は話し合わなくてもわかり合える、といった意識が語られることもあります。自分の心も体もままならない時期ともいえる40代、自分以外の人の気持などくみ取るのが難しいこともあるかもしれません。一緒にいるから大丈夫、私たちは通じ合っている、と思っていても、時にはあえて時間を取って話し合いをしてみましょう。その話をする時間が自然とレスを取り払うきっかけになるかもしれません。
レス夫婦が取り組むべき5つのステップ
レス問題を解消するためには、まずはコミュニケーションを取り戻すことが重要です。夫婦で率直に話し合い、お互いの気持ちや体調を理解し合うことが必要です。また、専門家のアドバイスを受けることで、具体的な解消法を見つけることができます。例えば、日常生活の中でお互いを「女性として、男性として」再認識する時間を持つことや、スキンシップを大切にすることが効果的です。
ステップ1：コミュニケーションの再構築
レスの原因を理解し合うために、まずはオープンな対話が必要です。お互いの気持ちや不安を共有することで、問題解決の第一歩を踏み出せます。
まずは、夫婦で率直に話し合うことが必要です。お互いの気持ちや体調を共有し、現状を理解することで、解決策を見つけやすくなります。週に1度でもいいので、定期的に話し合いの時間を設けることが大切です。ここでは、互いの不安や希望を自由に話せる雰囲気を作ることが重要です。
また、日常生活の中で相手を異性として意識することが大切です。ちょっとした褒め言葉やスキンシップが、2人の関係を深める手助けになるでしょう。
ステップ2：日常のスキンシップを意識的に増やす
スキンシップを日常生活に取り入れることも重要です。軽いハグやキス、手をつなぐなどの簡単なスキンシップは、互いの存在を再確認する手助けとなり、心の距離を縮めます。これにより、セクシャルな関係への移行もスムーズになります。
子どもが寝た後や週末の夜など、2人きりの時間を計画的に作りましょう。この時間を使って、デートをするのも良い方法です。
ステップ3：生活習慣の見直し
規則正しい生活習慣を心がけることは、レスの解消に重要です。適度な運動、バランスの取れた食事、十分な睡眠を確保することで体調が整い、性欲の回復につながります。運動は体力を維持し、食事はホルモンバランスを整え、良質な睡眠は心身の回復を促進します。
さらに、ストレスをため込まないようリラクゼーション法や趣味の時間を持つことも効果的です。趣味やリラクゼーションは精神的な安定をもたらし、パートナーとの関係改善にも寄与します。これにより、レスの解消に向けたポジティブな環境が整います。
ステップ4：専門家にアドバイスを受ける
性に関する問題は、専門家のアドバイスを受けることで効果的に解決できます。例えば、カウンセリングやセラピーを通じて、夫婦間のコミュニケーションスキルを向上させることができます。
また、ホルモン療法や医療的なアプローチも検討する価値があります。女性の場合、ホルモン補充療法（HRT）が更年期症状の緩和に効果的であり、性生活の質を向上させる助けになります。男性の場合、テストステロン補充療法が有効な場合があります。
ステップ5：医療サポートの活用
必要に応じて医療サポートを受けることは、レスの解消に大きな影響をもたらします。行為に対する不安や痛みがある場合、婦人科や泌尿器科で相談することで、適切な治療を受けることができます。
例えば、腟の乾燥や性交痛に対する治療、ED（勃起不全）への対策などが挙げられます。専門医の診断と治療を受けることで、身体的な問題が改善され、安心して夫婦生活を楽しむことができるようになります。これにより、夫婦の親密さが回復し、レスの問題解決につながります。
レス当事者の実体験
では実際に、レスの経験者からの体験談を紹介します。
夫なりの悩みを知って解消～Sさんの場合～
私は夫と9歳、7歳、2歳の3人の子どもと暮らす主婦です。20代後半で男の子を出産しました。初めての子育てに夫婦で四苦八苦し、日中は話し相手もおらず、夫も仕事と子育てに疲れ切って会話もありませんでした。夫婦生活がなくなり、孤独を感じていましたが、半年後に夫に行為を提案すると、彼も迷っていたことがわかり、レスは解消されました。
2年後、女の子を出産。心に余裕はありましたが、2歳児と赤ちゃんの世話で毎日疲れていました。夫は産後すぐに夜の営みを再開したがりましたが、私は疲れて断り続け、第2次レスが始まりました。しかし、夜泣きが落ち着いたころに誘いに応じ、解消されました。
長女誕生の5年後、3人目を出産。育児は楽しく、赤ちゃんに癒やされる日々でしたが、夫からの誘いに対して「とにかくしたくない」と感じました。正直に話すことができず、はぐらかしていましたが、数カ月後に夫が真剣に悩んでいることを告白し、かわいく感じてレスは解消されました。
忙しさやストレスでレスに～Mさんの場合～
私たち夫婦はレスという深刻な問題に直面していましたが、その背景には、日常生活の忙しさや仕事のストレスが複雑に絡み合っていました。これらの要因が重なり、パートナー同士の関係に影響を及ぼし、夫婦生活への余裕を奪ってしまいました。
私たちは、このままではいけないと考えるようになり、まずコミュニケーションの改善を図りました。お互いの気持ちをオープンにし、共感し合うことで心の壁を取り払いました。休みの日には2人きりで過ごし、散歩やディナー、共通の趣味を楽しむことで、新しい経験を共有しました。
これにより、レスの解決だけでなく、新たな関係の構築に向けた重要な一歩を踏み出しました。お互いの理解が深まり、感情的なつながりも強くなり、より深い愛情を抱くようになりました。この過程での努力が最終的に報われ、私たちのパートナーシップはさらに強固なものとなりました。夫婦の行為はお互いの関係にとって、とても大切です。でも、その行為が2人の生活にとってすてきなものになるのは、日常の中で育まれる信頼感やそのためのお互いの行動なんだと感じています。
急に誘っても無駄な日が続き…～Kさんの場合～
わが家は「結婚は早いけれど子どもは遅い」夫婦です。最初は「出産を機にレスになったのか？」と思いましたが、実際は子どもが生まれた後もスキンシップを取っていました。しかし、ある日突然夫が夜の生活に応じなくなり、誘っても無駄な日が増えました。不満と同時に浮気の不安も募り、私もむなしさや寂しさから夫との時間を避けるようになりました。
レスになってからも「家族」としては機能していましたが、「夫婦」としてはぎこちなくなりました。子どもを寝かしつけた後、夫と話し合いをした結果、夫には「2人目を育てる自信がない」という気持ちがあることがわかりました。浮気の心配がないとわかり、私もひと安心しました。
夫と数日間かけて話し合い、経済状況や子育て環境を見直しました。避妊が100％ではないため、「無理にしなくてもいいがスキンシップは取りたい」と伝えました。現在、わが家はまだ「レス」ですが、夫婦の話し合いは功を奏し、行為以外のスキンシップを少しずつ取り戻しています。経済状況や子育ての大変さはすぐには変わりませんが、自分たちらしい解決方法を見つけたことで、レスの解消に近付けたと思います。
40代からの性の悩み～専門家アドバイス～
40代になると、女性は性交痛や腟の乾燥など、体の変化に対する不安を抱えることが多くなります。これは主に更年期に伴うエストロゲンの減少が原因で、腟の粘膜が薄くなり、乾燥や痛みが生じることがあります。男性も同様に、加齢とともにED（勃起不全）などの性機能障害が増えることが一般的です。
これらの悩みを解消するためには、専門医のアドバイスを受けることが重要です。性交痛に対しては、潤滑剤の使用が効果的です。潤滑剤は性交時の摩擦を減少させ、痛みを和らげることができます。また、ホルモン補充療法も選択肢の1つです。エストロゲンの補充により、腟の健康を改善し、乾燥や痛みを軽減することができます。エストロゲンの補充にはエストロゲンクリームを使用するといいでしょう。局所的にホルモン補充ができるもので、外陰部に少量ずつ塗って使用します。すると周辺組織の健康を保ち、乾燥を防ぐのに役立つとともに、定期的に使用することによって性交痛の軽減が期待できます。
また、腟の乾燥については、日常的なケアとして保湿クリームの使用も推奨されます。専用の保湿クリームは、腟の乾燥を防ぎ、粘膜の健康を保つのに役立ちます。これにより、性交時の不快感を軽減し、より快適な夫婦生活を送ることができます。
一方、男性のEDに対しては、生活習慣の改善がまず考えられます。規則正しい生活習慣を心がけることで、全身の血流が良くなり、性機能の改善につながることがあります。具体的には、バランスの取れた食事、適度な運動、十分な睡眠が重要です。また、必要に応じて、適切な薬の使用も検討されます。ED治療薬は、医師の指導の下で使用することで、安全かつ効果的に症状を改善することができます。
これらの問題に対して最も重要なのは、恥ずかしがらずに医師に相談することです。性に関する問題は、誰にでも起こり得ることであり、専門医の助けを借りることで効果的に対処することができます。医師に相談することで、自分に合った治療法を見つけ、より良い夫婦生活を送るための第一歩を踏み出すことができます。恥ずかしさを感じずに、積極的に医療的サポートを活用することが、健康で満足のいく夫婦生活を維持するために非常に重要です。
まとめ
多くの夫婦が直面するであろうレスの悩み。しかし、お互いの気持ちを理解し合い、専門家のアドバイスを取り入れることで、再び親密な関係を築くことができます。
レスを解消するためには、まずコミュニケーションが鍵となります。お互いの体調や気持ちを尊重し、無理のない範囲で関係を深める努力を続けることが重要です。さらに、日常生活の見直しを図り、必要に応じて医療サポートを受けることで、パートナーとの新たな関係性を築くきっかけになるでしょう。
このように、コミュニケーションと自己ケアの重要性を理解し実践することで、レスの問題を乗り越え、より強固な夫婦関係を築くことが可能です。
※記事の内容は公開当時の情報であり、現在と異なる場合があります。
※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。
イラスト／マメ美
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