仕事人間だった義母が一変、孫にフィーバーに!義母の突然の決断に戸惑う家族
妹の夫のお母さんの話を聞いて、人生の転機と家族の絆について深く考えさせられました。仕事一筋の義母が、突如として孫のために人生を180度転換させたのです。 …
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テレビやラジオのコメンテーターとして、コラムニストとして、小説家として幅広い分野で活躍中の室井佑月さん。歯に衣着せぬ物言いとエネルギッシュな姿が印象的な室井さんですが、実は何度も大病を患っているそうです。1回目の本日は、膵臓に見つかった腫瘍や当時の心境についてお話をうかがいました。
――室井さんはいつごろからご病気に悩まされるようになったのでしょうか。
室井さん 最初の病気は35歳のときでした。その少し前に息子を連れて離婚したのですが、前の夫に「この家から出て行って欲しい」と言われてすごく傷ついたんですね。女の意地もあって「息子と二人で住める家を買おう!」と、月に60本の締め切りを抱えてがむしゃらに働いていたんです。忙しくて疲れがたまると、みぞおちのあたりに空気が差し込むような痛みを感じるようになり、「胃潰瘍かな?」と思っていました。
――病院は受診されたのでしょうか?
室井さん 子どものころから体があまり丈夫ではなかったので、何か気になることがあるとすぐに病院で診てもらうようにしているんです。かかりつけの病院を受診したところ、「大きな病院で検査をしてもらったほうが良い」と言われ、大学病院への紹介状を書いてもらいました。大学病院でCT検査やエコー検査などを受けた結果、膵臓にうずら卵くらいの大きさの腫瘍が見つかったんです。
――その腫瘍は、良性だったのでしょうか? それとも悪性だったのでしょうか?
室井さん それが、膵臓は体の奥にある臓器なので、悪性か良性かを調べる検査をするのは手術と同じくらい大変らしいんです。先生のすすめもあり、手術で膵臓を摘出してから病理検査に出すことになりました。
――病理検査後でないと良性か悪性かがわからないということですよね。
室井さん そうなんです。だからすごく不安でした。手術前の血液検査の結果を見た先生は「悪性ではない可能性が高い」とおっしゃっていたのですが、でも、病理検査を受けないとはっきりとはわかりませんから。
――当時、お子さんはおいくつだったのでしょうか?
室井さん 息子は5歳でした。手術の際には2週間以上入院することになっていたので、息子は両親に預けることにしたんです。
――月に60本の締め切りがあるというお仕事はどうされたのでしょうか?
室井さん 前倒しで原稿を書きました。私、今まで原稿を飛ばしたことがないんです。36時間かかった出産のときも、10月にパートナー(ご主人で衆議院議員の米山隆一さん)の選挙活動に12日間張りついていたときも、原稿は落としていないんです。私はすごくうまい原稿が書けるわけでもないので、締め切りを守るのは大事なことだと思っているんです。
――前倒しでたくさんの原稿を書くのは、かなり大変だったかと思います。
室井さん 仕事をしつつ、もしものことを考えて弁護士さんに今後のお金の相談をしたりもしていました。うちの両親は何度も破産をしていたりするので財産の管理を任せられないと思い、弁護士さんに入っていただくことにしたんです。仕事とそうした手続きなどですごく忙しかったです。
――手術も病理検査も無事に終わったのでしょうか?
室井さん 8時間の大手術で、膵臓の2/3と脾臓を摘出しました。手術の次の日には病理検査の結果がわかり、良性と知ってホッとしました。
――手術後は順調に回復されたのでしょうか?
室井さん 腹部を縦に20㎝くらい切ったので、麻酔から覚めたあとは痛かったです。普通は内臓を切るとしばらく動けないらしいのですが、私はどうしてもたばこを吸いたくて必死で喫煙所まで歩いていきました。
普段の生活が忙しい分、入院は休暇のような感覚でやりたいことがいろいろとあったんですね。実は入院する前に家を購入していたんです。先生から外出許可をもらってタクシーで近くの家具屋さんへ行き、新居用のベッドやテーブルを買いに行ったりもしました。同じく外出許可をもらい、術後10日くらいでテレビのお仕事にも復帰しました。
――気力というか、根性を感じるエピソードです。
室井さん 先生にも「根性ありますね」って言われました(笑)。当時の私はひとりで息子を育てていましたし、両親に仕送りもしていたのでいろいろな重りがついていたんですね。それらを外すわけにはいかないので、相当、気を張っていたのは確かです。まぁ、動き回っていたことが術後のリハビリになったらしく、予定よりも早く退院することができました。
――退院後はお仕事をセーブしたりしたのでしょうか?
室井さん いえ、逆に仕事が増えたんです。ただ、体調が万全ではなかったせいなのか、ちょっとうつ状態になってしまったんですね。タクシーの中で突然、号泣するような姿を息子に見せたくないと思い、半年ほど両親に預けることにしたんです。
――うつ状態を改善するために何か治療を受けたのでしょうか?
室井さん 心療内科でカウンセリングを受けました。ただ、1時間から2時間で3万円近い料金だったんです。原稿料は安いですから「こんなことに3万円も払ってられない!」と思ったことが、回復のきっかけになったような気がします(笑)。
それに、息子にすごく会いたかった。私のことを純粋な愛情で抱きしめてくれる男は息子だけですから。息子の存在が私の支えだったんです。
次回は、膵臓の手術後に患った糖尿病と現在の治療についてお話をうかがいます。
<室井 佑月さんプロフィール>
1970年青森生まれ。ミス栃木、モデル、女優、レースクイーン、銀座のクラブホステスなどの職業を経た後、97年に「小説新潮」5月号の「読者による『性の小説』」に入選。以後、「小説現代」「小説すばる」などに作品を発表し、98年に『熱帯植物園』(新潮社)を上梓した。 さらに同年『血い花(あかいはな)』(集英社)を発表。99年9月には『piss』を講談社より刊行した。最近では活動の幅を広げて、若い女性の代弁者、恋愛の教祖、そしてお母さん、という立場からテレビ・ラジオでコメンテーター、シンポジウムでパネリストとして活躍中。近著に「ぷちすとハイパー!」(中央公論新社)「ママの神様」(講談社)がある。
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