
疲れやすい、やる気が出ない、太ってきた、髪が抜ける……。40代、50代になると誰もが一度は感じたことがある症状ではないでしょうか。今回紹介する「橋本病」は、更年期症状や自律神経失調症と症状が似ている、甲状腺機能低下症の疾患です。40代、50代女性にも多いという「橋本病」について、産婦人科医の駒形依子先生に聞きました。
教えてくれたのは…
監修/駒形依子先生(こまがた医院院長)
2007年東京女子医科大学卒業後、米沢市立病院、東京女子医科大学病院産婦人科、同院東洋医学研究所を経て、2018年1月こまがた医院開業。2021年9月より介護付有料老人ホームの嘱託医兼代表取締役専務に就任し現在に至る。著書に『子宮内膜症は自分で治せる(マキノ出版)』『子宮筋腫は自分で治せる(マキノ出版)』『膣の女子力(KADOKAWA)』『自律神経を逆手にとって子宮を元気にする本(PHP研究所)』がある。
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「橋本病」の症状は?

更年期症状や自律神経失調症と似た症状
「橋本病」になると、どんな症状が現れるのでしょうか。
「代表的な症状としては
- むくみ(体重増加)
- 気力低下、眠気、だるさ
- 血中悪玉コレステロール値の増加
- 便秘
- 皮膚の乾燥、脱毛
- 月経不順や月経過多
などがあります。婦人科に月経不順で受診をして、検査をしたら甲状腺に問題があったというケースが多いです。
症状が一般的なために、寝てないから? 疲れている? 太った?など軽視され、見過ごされることが多いのが特徴です」(駒形先生)。
甲状腺疾患はなぜ更年期女性に多い?

甲状腺と卵巣は影響し合いやすいため
「甲状腺は頸の前側、喉仏(甲状軟骨)のすぐ下のところにあります。ちょうど蝶が羽を広げたような形をしており、ホルモンを分泌することで新陳代謝の調節に重要な役割を果たしています。
何らかのきっかけで甲状腺を異物と見なして免疫異常作用が起き、甲状腺で炎症が起きます。橋本病の場合はホルモンの分泌が不足して、さまざまな症状を引き起こします」(駒形先生)。
甲状腺疾患は女性が更年期女性に多いそうですが、なぜなのでしょうか。
「脳の中で、甲状腺を司る場所と卵巣に司令を出している場所は隣り合っています。お互い隣同士で、どちらかがトラブルを起こすと影響を与えやすい関係なのです。
更年期になると卵巣の機能は低下していくため、甲状腺の機能にも影響する場合があります。婦人科では卵巣と甲状腺はセットの関係と考えているため、月経不順などの場合は甲状腺疾患の検査もすることが一般的です」(駒形先生)。