
ある日、トイレに向かうと突然の「血便」。大変な病気なのではと心配になりますが、一方で痔と思い込む人も多いそうです。痔の場合と、そうでない場合はどこに違いがあるのでしょうか。消化器内科・内視鏡内科医師の里村仁志先生に聞きました。
答えてくれたのは…
里村クリニック院長 里村仁志先生
消化器疾患が専門。2003年獨協医科大学医学部卒業、2005年獨協医科大学第1外科、2016年さいたま赤十字病院外科を経て、現在に至る。
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そもそも血便とは? どうして出るの?

そもそも血便はどうして出るのでしょうか。
「血便は臓器からの出血が便と混じって出てくるものです。血便とひと口に言っても、出血している部分によって様子が違ってきます。大きくは3種類あります。
- 鮮血便(鮮やかな赤色の血)→肛門や直腸などおしりの出口から近い場所での出血
- 暗赤色便→どす黒い赤色。大腸の感染症やがんなどによる炎症の出血
- タール便(黒色便)→胃や十二指腸からの出血
血便が出たら、色や様子をチェックしておき、医師に伝えてください」(里村先生)。
血便から考えられる病気とは

血便が出たら、どんな病気が考えられるのでしょうか。
「多くは痔かポリープなのですが、主に以下のような病気が考えられます。
- 痔→鮮血便。肛門から少量~多量に出血。
- 直腸ポリープ、直腸がん→鮮血便。肛門から少量出血。
- 結腸がん、感染性大腸炎、虚血性腸炎→暗赤色便。大腸から少量~多量に出血
注意すべきなのは、痔の出血と直腸からの出血が同じ鮮血便で、間違えやすいということです」(里村先生)
痔と大腸がんの見分け方は?
「痔は肛門の周囲に痛みがあるのが特徴です。また、いぼ痔の場合は排便時に飛び出してきます。
大腸がんは、ステージⅠの早期までは自覚症状がほとんどありません。痛みがないのに血便が出るときは、大腸がんとは特定できませんが何らかの腸疾患の可能性があります」(里村先生)。