「もう時短はいいかな」50歳目前に起こった驚きの変化。時短から丁寧志向に目覚めるまで
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若いころに比べて疲れやすくなった、なかなかやる気が出ない、肌の衰えが気になる……。『50歳の分岐点 差がつく「思秋期」の過ごし方』が話題の精神科医の和田秀樹先生は、心身ともに揺らぎがちな更年期の時期を「思秋期」と呼んでいます。今回は、思秋期の人間関係とお金に関することについて解説をしていただきました。
教えていただいたのは…
和田秀樹先生(精神科医)
1960年大阪市生まれ。東京大学医学部卒業。東京大学医学部附属病院精神神経科助手、米国カール・メニンガー精神医学校国際フェローを経て、現在は精神科医、ルネクリニック東京院院長、立命館大学生命科学特任教授、川崎幸病院精神科顧問、一橋大学経済学部・東京医科歯科大学非常勤講師、和田秀樹心と体のクリニック院長などを務める。著書にベストセラーの『80歳の壁』(幻冬舎)など多数。高齢者専門の精神科医として30年以上にわたって現場に携わっている。
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――『50歳の分岐点 差がつく「思秋期」の過ごし方』では、思秋期の人間関係に関するアドバイスもなさっています。
和田先生 思秋期は人間関係が大きく変わる時期です。例えば、子どもが小さいうちはママ友、会社員の方は上司や部下、取引先など、どうしても義務的な付き合いの人間関係が生じます。しかし、思秋期になって子どもの手が離れたり仕事を辞めたりすると、それまでの義務的な人間関係から解放され、人間関係を楽しめるようになります。
――人間関係を楽しむとは、具体的にはどのようなことなのでしょうか?
和田先生 嫌な人や苦手な人とは付き合わず、好きな人や気の合う人とだけ付き合うということです。年齢を重ねれば重ねるほど、ストレスというのは心身に悪影響を及ぼしますから、ストレスの少ない人間関係を楽しむことは大切です。
――思秋期から新しい人間関係を築くのは大変なようにも思えるのですが……。
和田先生 女性は思秋期の時期から男性ホルモンの分泌量が増えるので、やる気や元気が出るようになり、人付き合いが億劫(おっくう)ではなくなっていくんですね。
実際、私が診てきた患者さんの中には、思秋期以降にスポーツクラブに通って友だちができたり、趣味を通して仲良くなった人と一緒にバス旅行に出かけたりなど、新しい人間関係を楽しんでいる方がたくさんいらっしゃいます。
――思秋期のころになると、老後のお金のことが気になってきます。
和田先生 子どもの教育にお金を使ったり、将来のことを考えてお金を貯めたりなど、自分のためにお金を使ってこなかった人は少なくないように思います。ただ、自分にかけられるお金があるのなら、思秋期の今こそがかけるべき時期です。
――それはなぜなのでしょうか?
和田先生 例えば、「老後に旅行をしたりして人生を楽しもう」と思ってはいても、思秋期に我慢を重ねて脳も体も早く老いてしまったら、いざ高齢になったとき、お金はあるが体力も気力もない、となってしまうこともあります。
また、若いころは健康や見た目に無頓着で、60代を過ぎてから高価なサプリメントや化粧品を使うようになる高齢者はたくさんいますが、正直なところ、高齢になって美容にお金をつぎ込んでも効果はそれほど期待できないものです。
それよりも、思秋期のころから少しずつお金を使って小出しにメンテナンスをしていくほうが若さを長く保てますし、病気や老化も防げるんです。
――老後のためのお金を今の自分に使ってしまってもいいのでしょうか?
和田先生 老後のお金の心配はしなくてもいいというのが、私自身の考えです。というのも、日本という国は老後にはほとんどお金がかからない仕組みになっているんです。
例えば、介護保険を使って特別養護老人ホームに入居した場合、三食の費用込みで年金の範囲内で収まります。ですから、使えるお金があるのなら、意欲も元気もある間に自分のために使うことをおすすめしたいですね。
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