母親の老いた言動で「自分はまだ若い」と感じるも、娘と話すと現実に引き戻される件 #五十路日和 31
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夫は普段も10年前の服を着ています。そこには、高校生からほとんど肉付きが変わらず、若いころの体形を維持している夫の努力があるのは言わずもがなではありますが、それにしては物持ちが良すぎます。
夫は私の美的センスを信用していないため、夫の服がいくらダサくてもこちらの指摘は聞き入れてくれません。自分の美的センスに根拠のない自信を持つ夫は、「それ、あなたにはちょっと若すぎない?」というやんわりとした私の言葉も否定し、さらには指摘されるたびに「君がそう言うならまだイケる」と自信に変えている節がありました。
そんな夫が自分のファッションに疑問を持ったのは、今年の春から夏への衣替えの時期です。ある朝、パジャマから着替えて6歳の息子の隣に座ったとき、夫は自分が息子とおそろいのような格好をしていることに気付きました。18歳のころに購入したという水玉模様のポップなポロシャツに、裾に水玉模様の入った七分丈チノパン姿の夫と、ズボンの丈が夫より少し短いだけでほぼ同じような服を着ている息子。見方によっては親子コーデともとれますが、それにしては36歳男性が着るには少し苦しい若々しさです。
服を見比べて少し考えた夫は「もしかして、これって若すぎる?」と聞いてきます。少々ダサくも見える服装でしたが、そこは表現を柔らかくし、私は「そうね、中学生男子って感じ」と伝えました。夫はやっと自分の服装が年齢に合っていないことを自覚したようです。
今までは私に服を指摘されるたび、それをなぜか自信に変えていた夫でしたが、さすがに6歳の息子と同じテイストの服は年齢に見合わないことに気付いたのか、慌てて他の夏服も確認し始めました。
夫は「これも……これもだ……」と服を自分にあてがい、鏡に映る自分と隣に立つ息子の姿を交互に確認していきます。タンスから出てきたのは、子どもが好きそうな大きめ水玉のポロシャツや配色が派手なTシャツ、ド派手な水色のチノパンなど、高校生のときからあまり体形に変化のない夫が大切に着てきた服ばかりです。
夫と息子の共同作業で取捨選択していった結果、ついにほとんどの服がなくなり、残るは七分丈パンツ2本とTシャツ3枚のみ。残った服は、今年購入したばかりの物でした。
「ちゃんと君の意見を聞いていればよかった……」と恥ずかしそうに縮こまる夫に、息子が「ドンマイ」と肩をたたきながら一丁前に声をかけている光景が、とてつもなく笑えます。この出来事から、夫は自分が着ている服に対して、私が指摘すると聞き入れるようになったのでした。
物持ちの良い夫は物を大切に使うため、保存状態も良い物ばかり。そんなところが私にはまねできず、尊敬しているところなのですが、さすがに服には限界があったようです。今回いらないと判断された服は、状態がまだ良いことから義実家のタンスで待機することになりました。息子が着れるサイズまで成長したときに、息子本人に必要か判断してもらう予定です。息子が夫の身長まで成長したときには、きっと出番が回ってくることでしょう。
今回は夏服のみのチェックでしたが、冬服への衣替えのときにも若すぎる夫の服の取捨選択ができるのかと、私は今から楽しみにしています。
※記事の内容は公開当時の情報であり、現在と異なる場合があります。記事の内容は個人の感想です。
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