仕事人間だった義母が一変、孫にフィーバーに!義母の突然の決断に戸惑う家族
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私の祖母はコロナ禍の前から介護施設に入居しています。デイサービス用の階と、短期滞在用の階、長期滞在用の階、居住用の階に分かれている施設で、祖母がいるのは居住用の階です。自宅介護の時期を経てそちらの施設に移住しました。新型コロナの流行によって祖母の様子もすっかり変わってしまいました。
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新型コロナが流行する前、母は毎週、祖母の入居する施設を訪れていました。入居する際に母が身内として登録されていることもあり、訪問の際は入口で、会いたい人の名前、部屋番号、訪問者の名前、訪問時間などを記録用紙に記載し、係の人に手渡して、そのまま部屋を訪れることができました。
訪問は事前の申請なども必要なく、年齢や人数の制限もなく、持ち込みも入居者に合わせた範囲内で自由でした。祖母は食事の制限もなかったため、食べ物の持ち込みも自由。個室ではありませんでしたが、事前に申請しておけば使うことのできる多目的室があったので、誕生日のときなどは小さな誕生日ケーキを持って行って家族皆でお祝いをしたりすることなどもできました。
祖母は施設に入居することになったころにはすでに認知症が少し進んでいて、私の子ども(祖母から見ればひ孫)は誰が誰かなのかわからないようでしたが、母はもちろん、父や私、自分の身内やスタッフさんの認識はできていました。
新型コロナがいよいよ流行し始めたある日、1枚のハガキが届きました。それは、施設が全面的に面会謝絶になるという案内でした。覚悟はしていたものの、不安は尽きません。認知症は刺激がなくなることで進むという話を聞いたことがあり、今まで週に1回の面会が祖母にとって刺激になっていると思っていたからです。
それからおよそ2年間、面会謝絶は続きました。ようやく面会謝絶が解除された後も、面会には制限が付きました。訪問者は、事前に面会の予約が必要になり、県内在住のワクチン接種済みの大人2人まで、1回10分までという制限が加わりました。
久しぶりの面会の日、言われた通りにワクチン接種済みの紙を持って母が施設に行ったところ、通されたのは1階の部屋。そこにあった透明なビニールで作られたテントのようなものに入って待っていると、施設の方が祖母を車椅子で連れて来てくれて、ビニールの幕越しの対面となりました。久しぶりに対面するも、声が聞こえているのかいないのか、祖母の反応はあまり芳しくはなかったとのこと。祖母は元々あまり話す人ではなかったようですが、うなずくなどの反応も少なかったそうです。
新型コロナが5類に移行してしばらくして、直接面会できるようになったという手紙が届きました。いくつか制限は残っていましたが、それを守って面会に臨んだ母。面会は2人までOKだったので私も一緒に行ったのですが、久しぶりに会った祖母の口から出た言葉は「あなたたち、誰?」でした。
面会は1階の会議室でおこなわれるのですが、スタッフさんが連れて来てくれたときから終止うつむきがちだった祖母。元々あまりたくさん話すタイプの人ではありませんでしたが、相づちも返答もほとんどなく、何かを聞いても理解しているのかどうかすら怪しい反応が続きました。それでも、途中で母だけはかろうじて認識できたようですが、最後まで私はわからないようでした。
その後、母はまた毎週面会に行くようになりましたが、やはり認知症の症状には波があるようです。母が認識できる日もあれば認識できない日もあり、反応がある日もあればほとんどない日もある、何かを差し入れしても、それが何かわかる日もあれば大好物でさえわからない日もあったり。毎回「今日は症状がひどい日かもしれない」と覚悟して行くそうですが、やっぱり症状のひどかった日はどっと疲れが出ると母は言っています。
元々認知症が進んでいたこともあり、いつかは面会に行っても「誰?」と聞かれる日が来るだろうと、覚悟はしていたつもりでした。特に、コロナ禍で面会が満足にできなくなり、年単位で会えなかったり、ビニール越しの面会のときの話も聞いていたので、覚悟はしていたはずですが、やはり、面と向かってわからないと言われるのはとてもつらかったです。
私以上に母はショックを受けており、帰りの車の中で泣いていました。今も母は面会を続けていますが、やはり精神的な負担はとても大きいようです。面会のある日はなるべくその後母と話す時間を増やすなどして、少しでも寄り添っていきたいと思います。
※記事の内容は公開当時の情報であり、現在と異なる場合があります。記事の内容は個人の感想です。
※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。
監修/菊池大和先生(医療法人ONE きくち総合診療クリニック 理事長・院長)
地域密着の総合診療かかりつけ医として、内科から整形外科、アレルギー科や心療内科など、ほぼすべての診療科目を扱っている。日本の医療体制や課題についての書籍出版もしており、地上波メディアにも出演中。
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