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「ミネラル」は健康や美容には欠かせない、と耳にするもののどんな成分で、どんな働きをしているのかイマイチよくわからないもの。特に体に必要な成分は「必須ミネラル」と呼ばれ、その数は16種類あります。そしてその中でも、美容界で重視されているミネラルがあるといいます。40代、50代女性にとって必要なミネラルなのでしょうか。美容専門医の黒田あい美先生に聞きました。
監修/黒田あいみ先生(Zetith Beauty Clinic 医師/東京美容外科沖縄院院長)
美容外科、美容皮膚科、予防医学(栄養療法)、アンチエイジング専門医。Zetith Beauty Clinic 、東京美容外科沖縄院にて勤務。トライアスロン日本代表の経歴を持ち、⾃分がアスリートであることも⽣かしつつ、美と健康のスペシャリストとして「中からと外からの美と健康」を信念に、外から(美容医療)だけでなく、中から(分子栄養学、予防医学)の美と健康の権威として多くの文化人、芸能人、アスリートからの信頼も厚い。著書に、「中田敦彦のYouTube大学」でも紹介された「アスリート医師が教える最強のアンチエイジング」(文藝春秋社)がある。
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必須ミネラル16種類にはカルシウムや鉄などおなじみの成分もありますが、その中に「マグネシウム」があります。黒田先生によれば、この「マグネシウム」が健康や美容に影響を与える「代謝」をつかさどっていると言います。
「マグネシウムは体内の300以上の酵素の補因子または活性化因子として働き、さまざまな物質代謝に関わっています。
特に糖代謝によるエネルギー産生において、重要な役割を担っています。
食事からとった炭水化物は消化管でブドウ糖になり、全身の細胞に送られます。エネルギー産生はブドウ糖を細胞内で代謝して生じるATPという物質がもとになりますが、このATPが作られる過程で必要な10種類以上の酵素反応にマグネシウムが欠かせないのです。
また、脂質の運搬や分解に関与する酵素反応にもマグネシウムが必要です。
つまり、糖代謝や脂質代謝でマグネシウムは大量に消費されるため、糖質やアルコール、脂っこい食べ物が好きな人は不足しがちになります」(黒田先生)。
マグネシウムが不足すると、美容面ではどんな影響が出るのでしょうか。
「マグネシウムは肌のバリアー機能に欠かせない、アシルセラミドという成分の合成に関わっています。マグネシウムが足りていないとバリアー機能が低下して、保湿機能が落ちて外部からの刺激を受けやすくなります。肌荒れ、炎症、乾燥が起こりやすくなりますね。
ダイエット面でも影響が出ます。肥満は、脂肪細胞の中に余分なエネルギーが中性脂肪の形で過剰に蓄えられた状態ですが、マグネシウムが脂肪分と反応すると体内に吸収されにくくなることがわかっています。
また、マグネシウムは脂肪細胞からのアディポネクチン(痩せホルモンと呼ばれ、脂肪燃焼作用がある)の分泌を高める作用があるといわれています」(黒田先生)。
肌や体形だけでなく、健康への影響も大きいと黒田先生は言います。
「マグネシウムは骨や歯を強くする作用があります。
歯や骨はカルシウムだけでできていると考える人は多いと思いますが、歯や骨はマグネシウムからもできています。実に体内のマグネシウムの50~60%が骨に存在します。カルシウムは骨の強度(硬さ)を高め、マグネシウムは骨の柔軟性や弾力性を高める役割を担うとされています。
マグネシウムは便秘解消にも効果があります。
マグネシウムには水分を引き込む作用があり、これが便秘に有効に作用します。マグネシウムをとると、腸内で水分を引き寄せ腸の内容物を軟化、膨潤することで、大腸への物理的刺激が生じ排便が促進されます」(黒田先生)。
マグネシウムを効果的にとるためにはどのようなことを気をつければ良いでしょうか。
「まずはバランスの良い食事を心がけることが大切です。糖質やアルコール、脂っこいものをなるべく控えることも必要ですね。
一般的に、マグネシウムが多く含まれる食品は、そば、バナナ、ひじき、豆、五穀、豆腐、抹茶、ごま、わかめ、野菜(緑色)、魚、しいたけ、いちじく、昆布、牡蠣(かき)、いも類、納豆、とうもろこしなどがあります。
私は食事以外にサプリメントでマグネシウムをとっていますが、注意してほしいのは、便秘の処方薬としてもらった酸化マグネシウムをサプリメントの代用品にしないこと。
酸化マグネシウムは体内に吸収されにくいため、サプリメントとしての効果はありません」(黒田先生)。
マグネシウムは便秘解消の効果がある分、とり過ぎると下痢の原因にもなるといいます。そのため欧米ではマグネシウムを経皮吸収で体内に取り入れる方法が主流だそうです。
「クリームやスプレー、入浴剤などがあり、日本でも手に入れられます。
私も入浴剤と外用剤(クリーム)を愛用しています。マグネシウムは血流を良くし、代謝を良くする効果もあるので体が温まります。肌だけでなく髪にも美容効果があり、髪質改善や増毛も期待できます。私は入浴時、マグネシウムが入ったお湯を髪につけています」(黒田先生)。
マグネシウムというと化学の授業で少し勉強した程度で、まさか美容に欠かせない成分であるとは思いもよりませんでした。なお、黒田先生によれば、ストレスが多い場合もマグネシウムが不足しがちになるということ。ストレスは健康と美容の大敵ですね。
※記事の内容は公開当時の情報であり、現在と異なる場合があります。
※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。
取材・文/mido(50歳)
ライター歴25年。35歳で第1子、38歳で第2子出産。最近、たるみが加速して二重顎が悪化。身長153㎝なのにLサイズの服が少しきつくなってきて……人生最後のダイエットを計画中。
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