
歯ぐきから出血したり、冷たい物を食べたりしたときに歯がしみたり。「もしかして歯周病?」と鏡で歯ぐきを見たら以前より歯が長くなっていた、なんてことはありませんか。このままにしておくと歯が抜けるかも……と不安になる人もいるでしょう。そこで、歯科医の川田悟司先生に歯が長く見える原因と対策を教えていただきました。
教えてくれたのは…
監修/川田悟司先生(川田歯科医院院長)
川田歯科医院院長。咬み合わせ認定医。長年に渡り、咬合診査・診断をおこなう。
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1 年あたり0.02㎜ずつ歯肉は退縮する

歯ぐきが下がり、歯が長く見える症状を歯肉退縮といいます。歯肉退縮は1年で0.02mm進む、加齢による現象です。1年で0.02mmなんて大したことないと思うかもしれませんが、25年で0.5mm、50年で1mmにもなります。しかも、ホルモンバランスが乱れがちな更年期世代は歯ぐきの組織が弱くなって過敏になり、退縮しやすくなります。
加齢による歯肉退縮は遅らせることができる!
加齢による歯肉退縮を完全に止めることは難しいですが、進行を遅くすることはできます。
40代、50代の女性は更年期症状によるイライラや日常生活のストレスなどから、気付かぬうちに歯を食いしばっていることもあります。また、過去の歯科治療で合っていない詰め物やかぶせ物があると、歯が均等にかみ合わずに歯ぐきや周囲の骨に過度な力がかかることもあります。
このように歯の食いしばりや歯ぎしり、かみ合わせの不良がある場合は、マウスピースを装着すると対策として効果的です。マウスピースは、歯科医院で作成すれば保険適用となるので費用はだいたい5000円程度となります。かみ合わせ治療をおこなっている歯科に相談してみましょう。
加齢以外なら、歯周病が歯肉退縮の主な原因

口の中が健康な人でも加齢により歯肉退縮は進みますが、不健康な状態では進行が格段に早くなります。歯肉退縮が早く進む主な原因は歯周病です。歯周病には以下のような症状があります。
- 歯ぐきが赤く腫れている
- 歯ぐきから出血する
- 歯ぐきを押すとぶよぶよする
- 歯ぐきが痛い
- 慢性的に口臭がある
このような症状があれば歯周病が疑われます。歯周病は細菌(歯周病菌)感染によって引き起こされる炎症疾患です。何も対策をしないでおくと、やがては歯を支えている骨を溶かして結果的に歯を失う原因となります。