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日本人の8人に1人が罹患しているという「慢性腎臓病(CKD)」。罹患率に対し認知度は低く、30〜40代の半数近くがこの病気について知らないのだそう。閉経後は腎機能が低下しやすく、「慢性腎臓病」リスクも高まるのだとか。生活習慣とも大きく関係しているという「慢性腎臓病」について、内科医の窪田徹矢先生にお伺いしました。
教えてくれたのは…
監修/窪田徹矢先生(くぼたクリニック松戸五香院長)
獨協医科大学医学部卒業。千葉医療センター、成田赤十字病院で研修を積み、国保松戸市立病院泌尿器科に勤務。その後千葉西総合病院泌尿器科にて医長、部長を歴任。2017年、くぼたクリニック松戸五香を開業。日本泌尿器科学会専門医・指導医。
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閉経すると、女性ホルモンであるエストロゲンの生成量が激減します。これまで体の中にあったホルモンがなくなることによって、腎臓にどんな影響があるのでしょうか?
「エストロゲンは、腎臓に集まった尿酸の排出を促進する役割を担っています。そのため閉経すると、尿酸がうまく排出できなくなり尿酸値が上昇しやすくなるのです。
尿酸値が上昇すると、痛風や尿管結石といった体に激痛をもたらす病気のリスクが高まります。
結石ができることで尿管や膀胱がふさがれてしまうと、尿がしっかりと排出できず、体に悪影響を及ぼすこともあります。
それから、腎臓にはカルシウムの吸収を促進する活性型ビタミンDを作る役割があります。しかし、腎機能が低下すればその役割が果たせなくなり、骨粗しょう症を招くことがあります。
骨粗しょう症の患者さんの中には、エストロゲンが減少しているだけではなく、腎機能が低下してしまっているという人もいます」(窪田先生)
ホルモン補充療法などでエストロゲンを補えば、腎機能の低下を予防できますか?
「エストロゲンを補充したからといって、腎機能が回復するというわけではありません。ですが、腎臓が悪くなりにくくはなると思います。
骨粗しょう症や動脈硬化には効果的ですが、腎臓のためにホルモン補充療法を受けるということは現実的ではありません。
閉経してエストロゲンの生成量が大幅に減少することで、骨密度の低下や心血管疾患のリスク増加、更年期障害などの健康リスクにさらされるようになります。
他の症状のために治療を受けていたら腎臓にもいいことがある、くらいの認識にしておくのがいいでしょう」(窪田先生)
「慢性腎臓病」は、新たな国民病として近年話題になっている病気です。糖尿病や心臓病などと同じく、発症すれば生活の質を大幅に下げてしまう病気なのだとか。
「慢性腎臓病とは、さまざまな腎臓病の総称のことです。
例えば、糖尿病という病気は有名ですよね。ひと口に糖尿病といっても、妊娠糖尿病や1型糖尿病など病名はいろいろあります。
慢性腎臓病も細かく見ていけば、慢性糸球体腎炎や腎硬化症などさまざまな病名があります。そうした慢性的に腎臓の機能が低下していく病気のことを、慢性腎臓病と呼んでいます。
慢性腎臓病は腎臓の機能がかなり悪い状態にならなければ自覚症状が出てくることはありません。そのため、なかなか病気に気付きにくいということがあります」(窪田先生)
なぜ自覚症状が出るのが遅いのでしょうか?
「腎臓は体内に2つあるため、どちらか片方が悪くなってももう一方が働きを補ってくれます。働きを補えているうちは体もいつも通りですから、気付くのが遅れてしまうのです。
症状としては、だるさやむくみ、高血圧や貧血など。どれも腎臓の機能が悪くなることで血液の循環や水分量の調節がうまくいかなくなって現れるものです」(窪田先生)
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