「あなたたち、誰?」コロナ禍で失われたのは、かけがえのない大切なものだった【体験談】
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完全に外の世界と切り離されたことによって、夫が仕事に行って帰ってくるまで完全に孤立したひとりきりの生活が始まりました。
最初のうちは「今週友人と会いたいんだけど外出しても大丈夫?」「明日スーパーに買い出しに行かせてもらえないかな?」と夫の様子を伺いながら、どうにか外に出る機会を作ろうと頑張っていました。
そんな私に対して夫は「お前と会いたい友人なんかいないだろ」「スーパーは仕事帰りに俺が行く。お前が家の外に出ることは許さない」と言うばかり……。
そこで、何度もしつこく「外に出たい」「友人と会いたい」などと伝えると、今度は暴言や暴力を振るわれるようになったのです。もともと社交的な性格だった私ですが、夫からの暴力に怯え、誰とも会えない、話せない環境が続いたために、性格や体形、表情も別人のように変わっていきました。
夫が休みのある日、何の連絡もなく夫の友人が家に訪ねてきました。私がいることもあり、夫は家に上げたくなかったようですが、昔からの友人で兄のように慕っていた人なのでもてなすことに。
その友人は私とも面識があり、友人が「久しぶり!」とこちらを見たとき、ハッとした顔をしたのです。「どうしたの? 雰囲気変わったね」と驚きを隠せない様子でした。
私は夫の手前、下手なことが言えないので「そうかな? 変わっていないよ……」と返しましたが、私のどこかおびえた表情や言葉に友人は「何かがおかしい」ととっさに判断したのです。
私がキッチンに行くと、友人はすぐさま夫に私の様子がおかしいことを指摘しましたが、夫は「知らない」と言いました。そこで、夫がトイレに行っている間に困っていることはないか、夫との関係は順調なのかと聞いてきたのです。
最初は夫のことを伝えるのは怖くて我慢していましたが、友人のやさしさがうれしくて夫からの行動制限や暴力を受けたことを泣きながら伝えました。すると「つらかったね。俺から止めるように伝えるから安心してね」と言ってくれたのです。
トイレから帰ってきた夫に、友人は「お前の話、聞いたぞ。警察に通報しようと思う」とはっきり伝えてくれました。
夫は「何のこと?」ととぼけましたが、暴力に心当たりがあるため、「警察」というワードにどこかビクビクしていました。ここで私は、夫に対して今までつらかった気持ちを伝え、解放してくれないのであれば離婚したいことを伝えました。
私の真剣な表情や慕っている友人の激怒に焦った夫は、「好き過ぎて行動を制限して、暴力を振るってしまった。ごめん。二度としない」と約束してくれました。その後友人立ち会いの下、誓約書まで書いてくれたのです。
友人が帰った後のことを思うと始終怖くて仕方なかったのですが、夫にとって友人の言葉は絶大だったのか二度と行動制限や暴力を振るうことはなくなりました。
当初の私は、夫からの愛情が強いだけで、何もおかしくないと疑いもしませんでした。結婚した自分に酔いしれ、愛されているという間違った認識のまま生活を続けたためです。夫からの行動制限を言い渡されたときに、おかしいと気付き周りの人に話すべきだったと今では後悔もしています。
しかし、当時の私は友人や両親、周りの人に頼りたくても、自分が置かれた状況や環境で諦めていました。もし今後、似たような状況になることがあったときには、我慢せずすぐに周りに助けを求めるようにしようと思っています。
※記事の内容は公開当時の情報であり、現在と異なる場合があります。記事の内容は個人の感想です。
取材・文/武田さやか
マンガ/きびのあやとら
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