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この先も続く長い人生を、誰もがいつまでも元気に若々しく過ごしたいと願っています。老化に負けずに健康な体と心を保つにはどうすれば良いのでしょうか。『「一生老けない」にいいこと超大全』の著者で、テレビ番組などでもおなじみの白澤卓二先生に老化のメカニズムについてうかがいました。
教えてくれたのは…
白澤卓二先生(お茶の水健康長寿クリニック院長)
1958年神奈川県生まれ。医学博士。専門は寿命制御遺伝子の分子遺伝子学、アルツハイマー病の分子生物学、アスリートの遺伝子研究。『100歳までボケない101の方法』、『老いに克つ 百寿の生き方』など著書は200冊以上。テレビ番組にも多数出演し、わかりやすい医学解説が好評を博している。
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――白髪や薄毛といった目に見える部分のものから、関節痛や動悸といった体の内部のことまで、年齢とともにさまざまな変化が生じます。こうした老化現象はなぜ起こるのでしょうか?
白澤先生 老化現象の主な原因として考えられるのが代謝の低下です。代謝とは体内でおこなわれる化学反応のことで、例えば食事で摂取した栄養素を消化・吸収する、その栄養素をもとに体を動かすためのエネルギーを産生して消費する、血液、筋肉、ホルモンを作るといった作用が挙げられます。
代謝のうち、体温を保つ、内臓や心臓を動かす、呼吸をするなど、生命を維持するために必要な最低限のエネルギーを基礎代謝といいます。基礎代謝は、男性は約18歳、女性は約15歳がピークで年齢とともに低下するため、加齢によって老化が進行してしまうんです。
――基礎代謝量が落ちると、体の中ではどのような変化が生じて老けてしまうのでしょうか?
白澤先生 基礎代謝量が減って熱の産生や消費能力が衰えると血流が滞ってしまいます。栄養や酸素などは血液によって全身に運ばれるので、血流の流れが悪くなると体のすみずみまで届かなくなってしまいます。その結果、細胞の機能低下を招き、体の衰えとなって表れてくるんです。
――女性は40代半ばごろから更年期の症状に悩まされる人も多いのですが、これも老化の一つなのでしょうか?
白澤先生 卵巣から分泌されるエストロゲンというホルモンの量が減少すると、「もっとエストロゲンを出しなさい」という指令が脳下垂体から発せられ、FSHという卵巣刺激ホルモンが分泌されます。
更年期の症状は、この卵巣刺激ホルモンが増えることによって生じます。加齢によってエストロゲンの量が減ると脳下垂体から卵巣刺激ホルモンがたくさん分泌されるため、ホットフラッシュやイライラといった更年期症状が表れるんですね。また、うつも更年期症状の一つに挙げられます。
――更年期にうつ症状で悩んでいる女性は少なくないと聞きます。
白澤先生 実は、医学で使われる生理学の教科書には、エストロゲンや男性ホルモンのアンドロゲンは外から供給されるものだと書かれているんです。
しかし、私が携わっている共同研究では、エストロゲンもアンドロゲンも、起床後の15分以内に自らの脳内で作られていることがわかっています。
――女性の体内ではエストロゲンだけではなく、男性ホルモンのアンドロゲンも作られるのでしょうか?
白澤先生 そうです。女性の体内でもアンドロゲンが産生されます。アンドロゲンはステロイド・ホルモンで、やる気や好奇心といった精神的な部分にも深く関わっていることがわかっています。アンドロゲンの分泌量が少ないと、朝から気分が重くやる気が起きなくなります。これはうつの症状に当てはまります。うつの状態が長期間続くと前頭葉が萎縮してしまい、意欲や注意力の低下、思考力が鈍くなるといった症状が表れることもあるんです。
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