
義父母と同居して2年目のある日、仕事をしていると携帯電話に義妹から「義母が救急車で運ばれる!」と連絡がありました。急いで夫に連絡を取り、それぞれで直接病院へ向かうことに。まさかの大動脈解離(だいどうみゃくかいり)で、緊急手術となりました。手術は無事成功したものの、麻酔から目覚めた後、別人のようになってしまった義母。そんな義母を支えたのは……。
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義母の救急搬送
夫が長男のため、私たち夫婦は家を購入すると同時に、義父母と同居を始めました。私も夫も仕事に行き、義母はひとりで車で出かけたある日、仕事中携帯電話に義妹から連絡がありました。めったに仕事中にはかかってこないのですぐ折り返しかけると「義母が救急車で手術可能な病院へ運ばれるから、自分が救急車に一緒に乗っていく」と。
なぜそうなったか訳もわからず、急いで病院へ向かうことにしました。義妹は実兄である夫にも連絡をしていてくれたので、まずは病院で状況を説明してもらうことになりました。
病名は大動脈解離
義母が車を運転しているとき、背中が痛くなってきたので近くにあった病院に自分で行き、その病院では対応できないということで、そこから救急車を呼ばれたとのこと。国立病院へすぐ搬送され緊急手術になりました。
ちょうど私が病院へ着いて、義妹から話を聞いていると、手術室に義母が運ばれていきました。家で子どもたちを待たせていたので、夫と義父が病院へ到着し、一旦私が家に帰りました。手術は無事成功し、あとは入院して経過観察と回復のみと思っていたところ、まさかの記憶障害のような症状に見舞われたのです。
記憶を戻す力は
先生いわく、血圧を維持するため少し麻酔で眠らせることが必要で、麻酔から覚めたときに記憶障害が起きることがあるそう。それは家族が顔を見せて話しかけることが効果的ということでした。それはまさしく、その通りで夫と義妹、義父が交代で病院に顔を出しに行っていました。
私や子どもたちは夫と一緒にたまに行っていましたが、私は洗濯や入院に必要なものの準備と自分にできることをやることにしていました。孫に「誕生日プレゼント買ってあげるから好きなものお父さんたちと買っておいで」と話した内容は、次に会ったとき、孫が「プレゼント買ってもらったよ」と話しても「そうなんだ!よかったね」とだけで自分が話したことを忘れている義母。義妹も悪気のない義母の言葉に涙していたこともありました。それでも退院まで、皆で協力して、義母は少しずつなぜ入院したのかも理解したようでした。
まとめ
術後の義母は痛かったことすら忘れ、どうやって病院に行ったかも忘れていました。気付いたらベッドの上だったと。入院中の義母はそれまでとはまるで別人で、無事回復してくれてよかったとほっとしました。この出来事でこれから先、義母が認知症や介護が必要になったときにどうするかを家族で話し合うきっかけができてよかったです。
※記事の内容は公開当時の情報であり、現在と異なる場合があります。記事の内容は個人の感想です。
※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。
監修/新田正光先生(千葉西総合病院 副院長・循環器内科部長)
1997年秋田大学医学部卒業 循環器内科医、不整脈専門医、心血管インターベンション治療学会専門医としてアブレーション、PCI、両室ペーシング療法や植込型除細動器の手術をおこなっている。その他、総合内科専門医/指導医、救急科専門医、透析専門医、ICLSなどの資格を有し多岐に渡り活躍している。
イラスト/マキノ