「もう時短はいいかな」50歳目前に起こった驚きの変化。時短から丁寧志向に目覚めるまで
今まで何をするのも手早さが自慢だった私。例えば料理はいかに早くおいしく仕上げるか、掃除はいかに早く終わらせるか、常に時短を意識することがとても楽しみでし …
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買い物中に突然ぐるぐる目が回って真っすぐ歩けなくなる、帰宅してホッとひと息ついたら目を開けていられないほどの激しいめまいと頭痛が起き、座り込んでしまうそんな経験はありませんか。外出中や、ひとりきりのときは特に不安になりますし、脳の病気ではないかと疑って怖くなった方もいらっしゃるでしょう。
突然のめまいは更年期にもよくある症状。女性ホルモンの変化は体の内部、脳や内耳の働きにも影響を及ぼし、めまいの感覚を引き起こすことがあります。めまいが起きる原因や症状、対処法を耳鼻咽喉科医の高島雅之先生に教えてもらいました。
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監修/高島雅之先生(たかしま耳鼻咽喉科院長)
日本耳鼻咽喉科学会専門医、日本睡眠学会専門医。金沢医科大学医学部卒業。金沢医科大学耳鼻咽喉科で講師を務めたのち、2007年に開院。「病気の状態や経過について可能な範囲でわかりやすく説明する」ことをモットーに地域医療に従事。「宇都宮スリープセンター」を併設し睡眠医療にも携わる。テレビやラジオなどメディアでも、いろいろなジャンルにおいて医療情報を発信。著書に『専門医が教える鼻と睡眠の深い関係 鼻スッキリで夜ぐっすり』(クロスメディア・パブリッシング)があり、Amazonのカテゴリー7つで1位を獲得。
【高島先生から】更年期からのめまいが疑われる場合は、婦人科でのホルモンチェックや対処をされているかを伺っています。されていない場合はまず婦人科を受診し、ホルモンバランスの乱れがあるか確認されることを勧めています。
その上で、頻繁に、またはいつもめまいが起きるなどの訴えがある場合は、自律神経の乱れを整えるためにEAT(もしくはBスポット療法)という鼻の奥をぐりぐりとこする治療をすることがあります。※EAT(Epipharyngeal Abresive Therapyの略 日本語訳は上咽頭擦過療法)
日常の活動がおっくうになりがちな方には、散歩でもいいので体を動かすよう日中のメリハリをつけることをアドバイスしています。また、仕事や家事に謀殺されてへとへとになっている方には、体を休めたり、リラックスしたりする時間が取れるよう、やりくりを検討することをお伝えしています。
めまいは原因によって、「前庭性めまい」と「非前庭性めまい」の大きく2つに分けられます。さらに、前庭性めまいは「中枢性めまい」と「末梢性めまい」に分けられます。
末梢性めまいは、内耳の前庭器官に問題がある場合に生じるめまいです。前庭器官は、体の姿勢やバランスを感知し、脳に情報を伝える重要な役割を担っています。
前庭器官は、以下の2つの部分で構成されています。
前庭器官や前庭神経に異常が生じると、脳に伝えられる情報にずれが生じます。その結果、脳は体のバランスを正しく認識できなくなり、めまいが発生すると考えられています。
原因はさまざまですが、以下のようなものがあります。
末梢性めまいでは、回転性のめまいを感じることが多いです。また、以下のような症状を伴うこともあります。
以下に、末梢性めまいの代表的な4つの病気について詳しく説明します。
【良性発作性頭位めまい症(りょうせいほっさせいとういめまいしょう:(BPPV))】
良性発作性頭位めまい症(BPPV)は、めまいの中で最も多く見られる病気です。三半規管内に迷入した耳石が原因で、寝返りや起き上がりなどの頭位変化によって数十秒前後の回転性めまいが生じます。吐き気や眼振(眼球の異常な動き)を伴うこともあり、症状が強い場合は嘔吐を伴うこともあります。
【メニエール病】
メニエール病は、耳の詰まり感、耳鳴り、低音域の難聴などの症状が繰り返し起こり、めまいを伴う病気です。内耳には、体のバランスを維持する三半規管や耳石器、音を感知する蝸牛などがあり、これらはリンパ液で満たされています。
メニエール病では、この内リンパ液が増えすぎることでめまいが発生し、蝸牛への影響により難聴や耳鳴りも生じます。更年期女性では、内耳の血流不足が原因となることもあります。
【前庭神経炎(ぜんていしんけいえん)】
前庭神経炎は、突然の強い回転性めまいと吐き気・嘔吐で発症する病気です。無理に動くとさらに症状が悪化するため、できるだけ頭を動かさず安静にしていることが大切です。多くの場合、数日で激しいめまいは治まります。内耳から脳へ情報を伝える前庭神経になんらかの異常が生じることが、めまいの原因と考えられています。
【突発性難聴】
突発性難聴は、突然片耳の聴力が低下し、耳鳴りやめまいを伴う病気です。音が二重に聞こえる、響く、エコーがかかるなどの症状が現れることもあります。
メニエール病では10分から数時間続くめまいが特徴的ですが、突発性難聴でめまいを伴う場合は数時間かけてゆっくり軽快し、通常は繰り返しません。また、めまいの症状がまったくない場合もあります。
末梢性めまいの診断には、問診や身体所見、聴力検査、平衡機能検査などがおこなわれます。また、必要に応じてMRIやCTなどの画像検査が実施されることもあります。
治療方法は、原因となる疾患によって異なります。薬物療法、理学療法、手術療法など、さまざまな方法があります。早期に適切な診断と治療を受けることが、症状の改善や予後の向上につながります。
末梢性めまいは、日常生活に大きな影響を与える症状です。めまいを感じた際は、無理をせず、早めに医療機関を受診しましょう。
中枢性めまいは、脳の障害によって引き起こされるめまいです。特に、脳腫瘍や脳卒中(脳梗塞や脳出血、くも膜下出血)がその主な原因となります。
中枢性めまいでは、さまざまな種類のめまいが起こり得ます。例えば、以下のようなものがあります。
また、中枢性めまいでは、めまい以外にも多彩な症状が現れることがあります。具体的には、以下のような症状が挙げられます。
中枢性めまいの主な原因は、以下の2つです。
その他、脳炎、多発性硬化症、小脳変性症などの神経疾患も、中枢性めまいの原因となり得ます。
中枢性めまいが疑われる場合、脳のMRI検査やCT検査がおこなわれます。これらの画像検査により、脳腫瘍や脳卒中の有無を確認することができます。
治療方法は、原因となる疾患によって異なります。脳腫瘍の場合は、手術療法や放射線療法、化学療法などが選択されます。脳卒中の場合は、血栓溶解療法やリハビリテーションが主な治療となります。
いずれの場合も、早期発見と適切な治療が重要です。中枢性めまいに伴う症状に気付いたら、すぐに医療機関を受診しましょう。
非前庭性めまいは、内耳や脳の前庭系以外の原因によって引き起こされるめまいです。さまざまな疾患や状態がこのタイプのめまいを引き起こす可能性があります。更年期の女性におこりやすい女性ホルモンの変動によるめまいは、非前庭性めまいに分類されます。
非前庭性めまいでは、以下のような症状が現れることが多いです。
加齢に伴う感覚器官の変化は、非前庭性めまいの一因となり得ます。また、更年期女性では、ホルモンバランスの変動によるめまいが非前庭性めまいに分類されます。
エストロゲンなどの女性ホルモンは、自律神経系や循環器系に影響を与えるため、そのバランスが崩れるとめまいを引き起こす可能性があります。
非前庭性めまいの診断では、詳細な問診と身体所見、血液検査、心電図、画像検査などがおこなわれます。原因となる疾患や状態を特定することが、適切な治療方針を決定するために重要です。
治療は、原因に応じて異なります。例えば、貧血であれば鉄剤の投与、甲状腺機能低下症であればホルモン補充療法がおこなわれれます。また、生活習慣の改善や薬剤の調整なども必要に応じておこなわれます。
非前庭性めまいは、多様な原因によって引き起こされるめまいです。めまいの症状が現れた際は、原因を特定し、適切な治療を受けることが大切です。
一般的にめまい症状が3カ月以上続く状態を慢性めまいといいます。慢性めまいには、前庭神経炎やメニエール病などの症状が遷延した状態が含まれますが、近年、前庭性めまいや非前庭性めまいと異なる、慢性的なめまいが長く続く状態の疾患が誕生しました。
日々の業務や家庭生活の中で、1日中ふらつき感や不安定感が続く場合、それは「持続性知覚性姿勢誘発めまい」という病気かもしれません。
この症状は、立っている姿勢や歩行中、または視覚的な刺激がある際に悪化することがあります。中年以上の女性に多いと言われていて、特有な検査所見などはまだ確立されていません。治療には薬物療法や、前庭機能を改善するリハビリテーション、認知行動療法などが有効と言われていて、症状の軽減や、めまいのない穏やかな日々を取り戻すことを目指します。
回転性めまいは、自分自身や周囲が回転しているように感じるめまいです。時には、上下方向や左右方向への移動感覚を伴うこともあります。この種のめまいは、特に前庭性めまいでよく見られます。
前庭性めまいは、内耳の前庭器官や前庭神経に問題がある場合に生じます。また、更年期女性では、ホルモンバランスの変化が回転性めまいの原因となることもあります。
動揺性めまい、または浮動性めまいは、体が不安定でふわふわと浮いているような感覚を伴うめまいです。特に直立姿勢で顕著に現れ、姿勢を保つことが難しくなります。
更年期女性では、血圧の変動や自律神経の乱れが動揺性めまいの原因となる場合があります。ホルモン変動による血管運動神経の調節機能の低下が、このタイプのめまいに関与していると考えられています。
失神型めまいは、「立ちくらみ」とも呼ばれるめまいです。目の前が真っ暗になり、気が遠くなるような感覚を伴います。立ち上がった直後や長時間立っていた後に起こることが多いです。
更年期女性では、急激な血圧低下によって失神型めまいが発生することがあります。女性ホルモンのバランス変化が、血圧調節機能に影響を及ぼすためです。
めまいの正しい診断のためには、詳細な問診と身体所見が重要です。また、血液検査、心電図、画像検査などがおこなわれることもあります。
治療方針は、めまいの原因によって異なります。例えば、前庭性めまいでは、薬物療法や前庭リハビリテーション(平衡訓練)がおこなわれます。更年期女性のめまいでは、ホルモン補充療法が有効な場合もあります。
めまいは、日常生活に大きな影響を与える症状です。めまいを感じた際は、早めに医療機関を受診し、適切な診断と治療を受けることが大切です。
では実際に、更年期の女性が経験しためまいの症状、対処法、回復までのプロセスを紹介します。
突然の激しいめまいに見舞われた私は、その日の午前中に耳鼻咽喉科を受診しました。聴力検査の結果、低音域の聴力がほとんど失われていることが判明し、「低音障害型感音難聴(ていおんしょうがいがたかんおんなんちょう)」」と診断されました。
低音障害型感音難聴とメニエール病の治療方法は共通しているとのこと。医師から処方された薬は、内耳のリンパ液排出を促す薬、血流改善薬、神経修復薬、そして酔い止め薬でした。これらの薬を服用し続けた結果、約2週間で耳の症状は軽快し、頭痛やめまいも起こらなくなりました。
しかし、一度、再発を経験しました。その際は、メニエール病の可能性が高いと診断され、回復までに5週間ほどかかりました。幸いにも、その後は6年以上たっても再発はしていません。
医師からは、再発予防のためにストレス管理と運動の重要性を教えられました。三半規管を鍛えることが予防につながるとのアドバイスを受け、エアロビクスとヨガを始めました。
運動は、内耳の血流を改善し、前庭機能を維持するのに役立ち、ストレス解消にも効果的だそうです。ストレスをためないことは簡単ではありませんが、疲れを感じたら休息を取り、何事もほどほどにするようにしています。
40歳の夏、息子との1泊旅行中に突然のめまい発作に見舞われました。ランチ後、立ち上がった瞬間、足が前に出ない状態になりました。一時的にパニックに陥りましたが、症状はすぐに改善したため、前日の徹夜とアルコール摂取、そして数日前の風邪が原因かもしれないと軽く考えていました。
母の付き添いのもと、救急車で病院へ向かいました。眼振(眼球がけいれんしたように動いたり揺れたりすること)、指の動き、ろれつなどの検査を受けた結果、脳に異常はないと判断されました。
風邪の回復後にめまいが始まったという経緯から、「前庭神経炎(ぜんていしんけいえん:内耳と脳をつなぐ前庭神経に炎症が起こり、誘因なく、突然強い回転性のめまいが生じる病気)」と診断されました。吐き気止めの点滴を受け、その日は入院することになりました。
前庭神経炎は、内耳と脳をつなぐ前庭神経の炎症によって引き起こされる病気です。誘因なく、突然の強い回転性めまいが特徴的で、再発の可能性は低いとされているそうです。
入院翌日には退院が許可され、吐き気は消失していました。帰宅後も薬を服用し、仕事は昼間におこなうように心がけ、夜間の仕事は一時的に控えました。また、アルコール摂取も休止。約2週間で完全に回復しました。
めまいは突然の強い症状が特徴であるため、不安によるストレスが新たなめまいを引き起こす可能性があるそうです。めまいとうまく付き合いながらも、大きな病気のサインを見逃さないよう定期的な検診を受けていこうと思います。
40代に入ってから、毎月数回のペースでめまいと耳鳴りに悩まされるようになりました。世界がゆがんで回転し、耳の奥でキーンと音が鳴る不快感は、なかなか慣れることができません。症状の悪化が心配だったので、私は耳鼻科を受診することにしました。
耳鼻科では、医師がめまいを再現する検査をおこないました。頭をさまざまな方向に動かしてめまいを誘発しようとしましたが、そのときはめまいが出ませんでした。医師は、「現時点でめまいが治まっているため、緊急の精密検査が必要な病気ではないと思われます。めまいや耳鳴りは自律神経の状態も影響するので、あまり焦らずに気持ちをラクに保ちましょう」とアドバイスしてくれました。
振り返ってみると、めまいや耳鳴りが起こるのは仕事や家事で無理をしたときでした。暑さ、イライラ、心配事などでストレスがたまっているときに、グラッとくる傾向があります。
医師は「めまいが起こったときは、服も気持ちも緩めること」を提案してくれました。それ以来、暑い中での作業やテレワークの際は、ゆったりとした締め付けない服を選ぶようになりました。それでもめまいが起きたときは、すぐに横になって休むことにしました。
これらの対策でめまいや耳鳴りの頻度が劇的に減ったわけではありませんが、重大な病気ではないとわかったこと、必要時に使える頓服薬「メリスロン」を処方してもらったこと、そして「心と体をすぐに緩める」コツを教えてもらったことで、めまいへの恐怖心は軽減されました。その結果、気持ちがラクになり、じょうずに緊張をほぐせるようになってきたと感じています。
めまいやふらつきは、女性が多く発症するといわれています。女性特有のPMS(月経前症候群)や月経困難症、更年期症状としても表れるなど、多くの女性が経験するものです。ここからは非前庭性めまいに含まれる女性特有の更年期障害との関係についてお伝えします。
更年期の女性は、閉経期を前後する約10年間に、女性ホルモンの1つであるエストロゲンの分泌が急激に減少します。エストロゲンは自律神経系の調整に重要な役割を果たしているため、その分泌低下によって自律神経のバランスが乱れます。自律神経が内耳の血流や前庭機能に影響を与えるため、自律神経の乱れによってめまいや耳鳴りの症状を引き起こすことがあります。
それに加えて感覚器官の加齢変化やストレスの影響を受けやすくなります。加齢に伴い、内耳の前庭器官や蝸牛の機能が低下するなどの変化によって、めまいや耳鳴りなどの症状が出やすくなります。
更年期に起こる内耳の血流変化は、めまいの原因の1つとして挙げられます。内耳の前庭器官は、体のバランスを制御する上で欠かせない役割を果たしています。前庭器官が正常に機能するためには、十分な血流が必要です。
エストロゲンは血管の健康維持に重要な役割を果たしているため、更年期にエストロゲンが低下すると血管の弾力性や機能の低下につながることがあります。それにより内耳の血流が低下することで前庭器官への酸素や栄養素の供給が不足し、その機能が損なわれる可能性があります。その結果、めまいや平衡感覚の異常が引き起こされることがあります。
更年期に入ると、女性ホルモンのバランスの変化によって心理面にも影響を及ぼし、ストレスや不安の増大を引き起こすことがあります。
これらの心理的要因は、めまいや頭痛などの身体的な症状と密接に関連していると考えられています。女性ホルモンの変動は脳内の神経伝達物質のバランスに影響を与えます。特に、セロトニンやドーパミンなどの伝達物質の調節に関与するエストロゲンの低下は、ストレスや不安の増加につながる可能性があります。
更年期は女性ホルモンのバランスの変動により血圧の調節機能が損なわれ、血圧が変動することがよくあります。特に血圧が急激に上昇または低下すると、めまいの原因となることがあります。
血圧の急激な変動は、脳への血流に影響を及ぼします。血圧が急に上昇すると、脳血流が一時的に増加し、頭痛やめまいを引き起こすことがあります。一方、血圧が急激に低下すると、脳への血流が減少し、めまいや失神などの症状が現れることがあります。
また、血圧の変動は、内耳の機能にも影響します。内耳は、体のバランスを制御する上で重要な役割があります。血圧の変動によって内耳への血流が不安定になると、めまいや平衡感覚の異常が生じることがあります。
これらの要因は更年期におけるめまいの発生に関連していますが、生活環境や既往歴によっても異なります。自分の生活に合った適切な治療や対処法を見つけることが重要となります。
女性ホルモンの1つであるエストロゲンは、心血管系の健康維持に重要な役割を果たしています。エストロゲンには、血管拡張作用、抗酸化作用、コレステロール代謝の改善など、心臓と血管を保護するさまざまな機能があります。閉経前の女性で心臓病の発症率が男性よりも低いのは、エストロゲンによる心血管系の保護作用が関与していると考えられています。
閉経に伴うエストロゲンの減少は、心血管系への保護作用を低下させ、心臓病のリスクを高めます。心筋梗塞(しんきんこうそく)、狭心症(きょうしんしょう)、大動脈解離(だいどうみゃくかいり)、心臓弁膜症(しんぞうべんまくしょう)、心筋症(しんきんしょう)などの心臓疾患では、血液の拍出量が減少することがあり、その結果、動悸、吐き気、めまいなどの症状が現れることがあります。
特に、更年期女性に多く発症する微小血管狭心症(びしょうけっかんきょうしんしょう)は、めまいに加えて、胸部の痛みやみぞおち周辺の鈍痛を伴うことがあります。これらの症状が見られる場合は、循環器内科での診察を受けることをおすすめします。
エストロゲンは、脂質代謝の調節にも重要な役割を果たしています。エストロゲンの減少は、悪玉コレステロール(LDLコレステロール)の増加を引き起こし、動脈硬化の進行を促進します。これは、心血管系疾患のリスクをさらに高める要因となります。
更年期のめまいは、心血管系疾患の兆候である可能性があります。めまいの症状が持続する場合や、他の心血管系の症状を伴う場合は、耳鼻咽喉科や婦人科、循環器内科などの専門医に相談することが大切です。
女性ホルモンのエストロゲンの低下によって引き起こされるさまざまな更年期症状。つらいときは無理せず休みたいところですが、更年期のころはちょうど仕事の責任が増えてきたり、子育てとの両立で自分の時間が取りにくくなったりと、とにかくストレスの種が増える時期です。疲れて何もやる気がなく運動不足になったり、過度な飲酒やダイエットでますます体調不良になったりと、生活習慣も乱れてしまいがちです。
そこで改めて、更年期に実践したいライフスタイルの改善について、「食事」「運動」「睡眠(休養)」の健康三原則に沿ってまとめてみました。
出典:厚生労働省「食事バランスガイド」について
厚生労働省「食事バランスガイド」では、自分の食生活を見直し栄養バランスのとれた食事を心がけることや、食塩・脂肪は控えめにすること、1日の食事のリズムから健やかな生活リズムをとることといった、基本的なことですが大切な10項目の食生活指針を発表しています。
これを基本にしつつ、更年期女性は、ホルモンの変化に伴い、骨密度や代謝が低下しやすくなりますので、毎日の食生活で特に注意が必要です。
ここでは、更年期に意識してとることでめまいを予防する効果も期待できる、代表的な4種類の栄養素を紹介します。
ビタミンB12は、自律神経の働きを正常に保ち、神経系の機能を維持するために重要な栄養素です。また、赤血球の形成やDNAの生成にも関与しています。更年期に起こりやすい疲労感やめまい、視力低下などの症状を予防する効果が期待できます。
ビタミンB12は主に動物性食品に含まれており、特に鮭、いわし、しじみ、あさりなどの魚介類が優れた供給源となっています。乳製品や強化穀物からも摂取することができます。
ビタミンDは、カルシウムの吸収を促進し、骨密度の維持に不可欠な栄養素です。更年期におけるエストロゲンの減少は、骨密度の低下を引き起こす可能性があります。ビタミンDは、この影響を抑制し、骨の健康を維持するのに役立ちます。また、良性発作性頭位めまい症(BPPV)の予防効果も期待できます。
ビタミンDは、魚類(特に鮭、さんま、いわし)や卵黄に含まれています。さらに、日光に当たることで体内でも合成されます。適度な日光浴も、ビタミンDの供給源として重要です。
マグネシウムは、神経系の機能を改善し、筋肉の緊張をほぐすのに役立つミネラルです。更年期に起こりやすいイライラ感や不安感は、マグネシウム不足によって増強される可能性があります。また、めまいの予防にも効果が期待できます。
マグネシウムは、緑色の葉野菜、ナッツ類、全粒穀物などに含まれています。特に、あおさ、ひじき、わかめなどの海藻類に多く含まれています。
鉄は、赤血球の形成と酸素運搬に不可欠な栄養素です。更年期は、鉄欠乏性貧血のリスクが高まる時期でもあります。貧血は、疲労感やめまいなどの症状を引き起こす可能性があります。十分な鉄分を摂取することで、これらの症状を予防することができます。
鉄は、赤身肉(特にレバー類や牛もも肉)、豆類、ほうれん草などに多く含まれています。また、かつおやまぐろなどの赤身魚も優れた鉄分の供給源です。
健康的な生活を送るために、バランスの取れた食事と並んで重要なのが定期的な運動です。特に更年期女性にとって、運動は三半規管を鍛えることでめまいの予防や改善に役立ちます。ここでは、気軽に始められ、リフレッシュ効果も期待できるアウトドア運動として、ウォーキングとハイキングを紹介します。
ウォーキングは、専用のシューズさえあれば、いつでもどこでも始められる手軽な運動です。1日20~30分の歩行は、循環器系の活性化、筋力やバランス感覚の向上に効果的です。
ただし、同じコースを繰り返し歩くだけでは、飽きてしまい、継続が難しくなることがあります。そこで、ウォーキングにテーマ性を持たせることをおすすめします。例えば、週に一度、友人や家族と新しいルートを開拓したり、地域の観光スポットを巡ったりするのも一案です。新しい発見や景色を楽しみながら歩くことで、ウォーキングがより魅力的なアクティビティになるでしょう。
ウォーキングに慣れてきたら、次のステップとして低山ハイキングにチャレンジしてみましょう。月に1~2回の頻度で十分です。
低山ハイキングは、平地のウォーキングよりも運動強度が高くなりますが、自然の中で体を動かしながら心身をリフレッシュできる点が大きな魅力です。四季折々の景色や自然の移り変わりを感じながら歩くことで、ストレス解消にも役立ちます。
ハイキングコースの選択には、SNSで共有されている情報が参考になります。初心者向けのコースから始めて、徐々に難易度を上げていくのがおすすめです。適切な装備を整え、安全に配慮しながら、自然の中で汗を流してみてください。
睡眠の質の低下は多くの女性が経験する問題の1つです。十分な休養と質の高い睡眠は、更年期症状の緩和に不可欠です。ここでは、よりよい睡眠を確保するための具体的な方法を4つ紹介します。
毎日決まった時間に就寝し、起床することが大切です。一定の睡眠リズムを維持することで、体内時計が調整され、自然な睡眠-覚醒サイクルが促進されます。不規則な睡眠習慣は、睡眠の質を低下させ、更年期症状を悪化させる可能性があります。
睡眠の質を高めるために、就寝の数時間前からリラックスするための習慣を取り入れましょう。例えば、温かいお風呂に入ることで体の緊張をほぐしたり、ストレッチやヨガで心身をリラックスさせたりすることができます。また、静かな音楽を聴くことも、安らかな睡眠への準備に役立ちます。
寝室の環境は、睡眠の質に大きな影響を与えます。暗く静かな部屋、快適なベッドやまくら、適切な室温(16~19℃)などが理想的です。また、スマートフォンやパソコンなどの電子機器は、就寝前の使用を避けるのが◎。これらのデバイスから発せられるブルーライトは、睡眠を妨げる可能性があります。
アルコールやカフェインは、睡眠の質を低下させる可能性があるため、就寝前の摂取は控えましょう。また、寝る直前の過度な食事や激しい運動も、睡眠を妨げる要因となり得ます。就寝の3時間前までには食事を済ませ、激しい運動は避けることが大切です。
これらの方法を日常生活に取り入れることで、質の高い睡眠を得やすくなります。良質な睡眠は、更年期症状の緩和だけでなく、全体的な健康維持にも不可欠です。自分に合った睡眠習慣を見つけ、実践することが、更年期を健やかに乗り越えるための鍵となるでしょう。
現代社会では、ストレスを完全に排除することは難しいですが、適切なストレス管理は更年期症状の軽減に役立ちます。ここでは、日常生活に取り入れやすい4つのストレスマネジメント方法を紹介します。
深呼吸は、緊張を和らげ、リラックス状態を促進する効果的な方法です。鼻から深く息を吸い込み、口からゆっくりと息を吐き出します。腹式呼吸を意識し、吸気時におなかを膨らませ、呼気時におなかを凹ませるように呼吸します。この呼吸法を数分間続けることで、心身の緊張が緩和されます。
瞑想は、心身のリラックスを促進し、ストレスを軽減するのに効果的です。静かな場所に座り、目を閉じて呼吸に意識を向けます。呼吸に集中し、雑念が浮かんでも判断せずに呼吸に意識を戻します。この瞑想を数分間続けることで、心の平静を取り戻すことができます。
ストレッチやヨガのポーズは、筋肉の緊張を和らげ、リラックス効果をもたらします。特に、首、肩、背中などの部位を重点的にストレッチすることで、ストレスによる身体の不調を軽減できます。ゆっくりとした動作で、呼吸に合わせてストレッチをおこなうことが大切です。
過度なストレスや不安は、忙しすぎるスケジュールや過剰な作業量から生じることがあります。自分の限界を知り、無理のない範囲で活動量を調整することが重要です。優先順位を付け、休息を取ることを忘れないようにしましょう。
これらのストレス管理技術を日々の生活に取り入れることで、更年期女性は睡眠の質を高め、更年期症状を和らげることができます。自分に合ったストレス対処法を見つけ、継続的に実践することが大切です。自分に合った方法を見つけて取り組んでみましょう。
めまいは、更年期女性にとって日常生活に大きな影響を与える症状の1つです。適切な予防策を講じていても、時にはめまいの発作が起こることがあります。そのような状況に備え、めまいの発作が起きた際の対処法を理解しておくことが重要です。
めまいが起きたら、まず安全な場所に移動し、安静にすることが大切です。椅子やベッドに座るか横になり、頭を低くして目を閉じます。この姿勢は、めまいを軽減し、安心感を与えてくれます。無理に動こうとせず、めまいが治まるのを待ちましょう。
めまいに伴う吐き気や嘔吐は、非常に不快な症状です。このような場合、冷たいタオルをみぞおちに当てて冷やすことで、不快感を和らげることができます。横になる際は、吐いたものが気管に入らないよう、首を横に向けましょう。
めまいの発作中は、急に立ち上がったり、頭を素早く動かしたりすることを避けてください。これらの動作は、めまいを悪化させる可能性があります。ゆっくりと体を動かし、徐々に通常の活動に戻るようにしましょう。
めまいが発生した時には、これらの体勢を取ることで、めまいが発生した際に落ち着きを取り戻し、安心感を得ることができます。ただし、めまいが長時間続く場合や、他の症状がある場合には、医師や専門家に相談することをおすすめします。
強いめまいに襲われた際、めまいに伴う他の症状に気付かなかったり、一時的な現象だと考えてしまったりすることがあります。しかし、適切な診断と治療のためには、症状の詳細を正確に伝えることが重要です。専門医に相談する際は、以下の3点に注意しましょう。
<めまいの発生時期と頻度>
いつからめまいが始まり、どのくらいの頻度で起こるのかを伝えます。
<めまいの症状の詳細>
めまいの感じ方や症状の具体的な内容を説明します。例えば、めまいが回転するような感覚か、ふらつくような感覚か、立ちくらみのような感覚かなどを伝えます。
<めまいの他の症状>
めまいと同時に起こる吐き気、耳鳴り、視覚異常などの症状があれば、それらも報告します。
<めまいの誘因>
特定の姿勢や動作、ストレスなど、めまいを引き起こす要因があれば伝えます。
以下のような場合は、速やかに専門医の診察を受けることが大切です。
早期の受診は、適切な診断と治療につながり、症状の改善や合併症の予防に役立ちます。
診察を受ける前に、以下の情報を事前に準備しておくと役立ちます。
<既往歴>
過去の手術、治療、持病、アレルギーなどの情報を準備します。特に、高血圧、動脈硬化、心疾患、糖尿病などは、重篤なめまいの原因となる可能性があるため、注意が必要です。
<服薬歴>
現在や過去に服用した薬剤やサプリメントの情報を伝えます。
<家族歴>
家族にめまいやその他の関連疾患(内耳疾患など)の既往があるかどうかを確認します。
これらの情報を事前に整理し、診察時に医師に伝えることで、より的確な診断と治療方針の決定に役立ちます。
めまいは、さまざまな原因で起こる症状であり、時に重大な疾患の兆候である可能性があります。めまいの症状が現れた際は、自己判断せずに専門医の診察を受けることが重要です。症状の詳細を正確に伝え、必要な情報を提供することで、適切な医療を受けることができるでしょう。
めまいについて、原因別に解説してきました。一般的に多いとされる良性発作性頭位めまい症やメニエール病などの末梢性めまい、脳が原因の中枢性めまい、そして更年期には女性ホルモンの変動などによる、非前庭性めまいがあります。
健康的な生活習慣の確立は、めまい予防に欠かせません。バランスの取れた食事、適度な運動、良質な睡眠、そしてストレス管理が重要です。これらの要素を日常生活に取り入れることで、めまいの発生リスクを減らすことができるでしょう。
また、めまいの発作が起きた際の適切な対処法を知っておくことも大切です。安全な場所での安静、吐き気や嘔吐への対応、急激な動作の回避などの対処法を実践することで、めまいによる不安や不快感を軽減することができます。
しかし、めまいの症状が多様であり、個人差が大きいことを考慮すると、自己判断は避けるべきです。気になる症状が継続する場合や、日常生活に支障を来す場合は、ちゅうちょせずに医療機関を受診しましょう。
※記事の内容は公開当時の情報であり、現在と異なる場合があります。
※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。
文/鈴木亜希子(55歳)
複業広報兼ライター。独身生活を謳歌しすぎたら婚期を逃したが、趣味のランニングと猫好きが出会いのきっかけとなり50歳で結婚。美肌食マイスター初級/アスリートフードマイスター3級。
イラスト/マメ美
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気が付けば3カ月生理がないというとき、考えられるのが生理不順、閉経、妊娠です。その中で妊娠の可能性は、避妊ナシの行為があったかどうかが鍵になります。もし身に覚えがある場合はどうすれ...
続きを読む閉経を間近に迎える40代後半、50代前半の女性にとって気になるのは自分の体の変化ではないでしょうか。中でも気になるのが、腟・子宮・卵巣といった女性特有の機能。生理がなくなることで生...
続きを読む若いころは気にならなかったコレステロールも、健康診断を受けるたび上がってくると心配になってしまうもの。動脈硬化の原因ともなるコレステロール値が上がってきたら、どんなことに気を付けれ...
続きを読む40代になったら生理が軽くなるかな……と期待する人もいるでしょう。しかし、産婦人科医・漢方内科医の駒形依子先生によれば、更年期世代でも大量出血を訴えて受診する人がいるそうです。大量...
続きを読む40歳のとき、生理の経血がびっくりするほど大量になり始めました。その治療のために病院を受診。医師からは、経血量が日常の生活に支障を来すような状態なので更年期症状の一つだと言われまし...
続きを読む今まで何をするのも手早さが自慢だった私。例えば料理はいかに早くおいしく仕上げるか、掃除はいかに早く終わらせるか、常に時短を意識することがとても楽しみでし …
気が付けば3カ月生理がないというとき、考えられるのが生理不順、閉経、妊娠です。その中で妊娠の可能性は、避妊ナシの行為があったかどうかが鍵になります。もし …
40代に入り、小さな体調不良がいくつも重なり、何となく体も心もうまく回らない日々でした。したいことはたくさんあるのに動けない、焦りや不安、ストレスがたま …
55歳から漫画を描き始めたナランフジコさんによる、熟年夫婦の生活を描いたマンガ。 フジコさんの更年期症状は、50歳から51歳の時期が一番つらかったそう。 …
40歳直前に第2子を出産後、幼稚園に行くころになって疲れやすさを実感するようになった私。49歳になり、この9年間に「外出したら、その後3時間昼寝しないと …
目まぐるしく体が変化する更年期。気になることはあるけれど受診するほどではない?という悩みや迷いはたくさんあります。そこで、産婦人科医の駒形依子先生に、更 …
もともと冷え性とは無縁だと思っていた私ですが、40代半ばごろから寒い季節になると夜、布団に入っても寒くて眠れなかったり、夏でも膝から下が冷たく感じるよう …
仕事に日常の家事、子育てなどで、30代はあっという間に過ぎ去ってしまう時期です。その間、「そんなに意識しなくても大きな体型変化などしなかった」「少し運動 …