中年女性のイライラには要注意!40歳を過ぎると「ストレス太り」しやすくなるって本当?【医師解説】
「ストレス太り」という言葉をよく耳にします。たしかにストレスがたまると、暴飲暴食をしやすくなって、結果太ってしまうということも……。実は、ストレス太りし …
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「ストレス太り」という言葉をよく耳にします。たしかにストレスがたまると、暴飲暴食をしやすくなって、結果太ってしまうということも……。実は、ストレス太りしやすくなるホルモンの働きがあることをご存じでしょうか? しかも40歳前後には、分泌量の変化の影響で太りやすさに拍車がかかるとか。その予兆や原因にはどんなものがあるのか、ホルモンと体型の変化について美容専門医の黒田あいみ先生に聞きました。
教えてくれたのは…
監修/黒田あいみ先生(Zetith Beauty Clinic 医師/東京美容外科沖縄院院長)
美容外科、美容皮膚科、予防医学(栄養療法)、アンチエイジング専門医。Zetith Beauty Clinic 、東京美容外科沖縄院にて勤務。トライアスロン日本代表の経歴を持ち、⾃分がアスリートであることも⽣かしつつ、美と健康のスペシャリストとして「中からと外からの美と健康」を信念に、外から(美容医療)だけでなく、中から(分子栄養学、予防医学)の美と健康の権威として多くの文化人、芸能人、アスリートからの信頼も厚い。著書に、「中田敦彦のYouTube大学」でも紹介された「アスリート医師が教える最強のアンチエイジング」(文藝春秋社)がある。
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現代は高ストレス社会と言われています。毎日の通勤に関しても、もうそれだけでストレスを感じている方もいるでしょう。定着してきたといわれる在宅勤務についても、家庭環境が仕事に向いていないこともあります。それ以外でも、ストレスの種はそこかしこにあると言っていいでしょう。
人はストレスがかかると、副腎皮質から「コルチゾール」が急激に分泌されます。 コルチゾールは、生命維持に欠かせないホルモンの1つで、血糖値を上げる働きがあります。分泌にストレスが関わっていることから、「ストレスホルモン」とも呼ばれています。慢性的なストレスにより分泌されるコルチゾールは、内臓脂肪の蓄積に深く関わっています。 また腹部に脂肪が増えるとコルチゾールの分泌量が増えるといわれ、脂肪蓄積の悪循環となってしまうこともあるのです。
血糖値を上げる働きのあるコルチゾールですが、身体的なストレスの場合は、その部位のために血液中の糖が使われますが、精神的なストレスで分泌された場合は、血液中の糖の使い道はありません。増えた血糖は、肥満ホルモンとも呼ばれる「インスリン」の働きによって、糖や脂肪として体内にためこまれてしまうのです。
さらに、コルチゾールは食欲を抑制する神経伝達物質「セロトニン」の分泌を抑制します。セロトニンは精神の安定に寄与しているため、食欲の歯止めがきかずに食べてしまうわけです。このようにコルチゾールというホルモンは体型変化に大きく関わっているのです。
コルチゾールの分泌がうまくいかないとき、体型変化などと同時に、やる気の喪失、肌荒れなどが現れてきます。特にやる気の喪失に関しては注意が必要です。副腎疲労症候群と呼ばれ、ストレスで副腎が疲弊してくるとセロトニンの分泌が悪くなり、ストレスに対処できなくってしまうのです。結果、慢性疲労やうつ症状などの症状が出ます。
コルチゾールと男性ホルモンのテストステロン、女性ホルモンの1つであるエストロゲンは、コレステロールから作られています。慢性的にストレスが強くかかり続けると、3つのホルモンの材料であるコレステロールがコルチゾールを作ることだけに偏ってしまう現象が起こります。これが「コルチゾールスティール症候群」です。
コルチゾールスティール症候群になると男性ホルモンがじょうずに作れなくなってバランスが崩れてしまい、40代前後から更年期障害のような不定愁訴が生じてきます。あるいは不妊にもつながることもあります。体型変化ややる気の喪失などでつらくなってきても、「これは更年期障害の症状」と自己診断せずに、しっかり診断を受ける必要もある、ということを覚えておきましょう。
甲状腺は首の喉仏の下方の皮膚のすぐ下にあり、体内の化学反応が進行する速度(代謝率)を制御する働きを持つ「甲状腺ホルモン」を分泌します。甲状腺ホルモンは、以下の2つの方法で代謝速度に影響を及ぼします。
甲状腺ホルモンは、心拍数、カロリーの燃焼速度、皮膚の修復、成長、消化など生活に多く関与しています。甲状腺は、加齢によって縮んでしまう特徴があります。甲状腺の機能が低下すると、体重増加、筋肉のけいれん、手のピリピリ感などが症状として現れてきます。
加齢によって、代謝を活発にする働きのある「トリヨードサイロニン」と呼ばれる甲状腺ホルモンの量はわずかに減少し、基礎代謝の低下や体の冷えなどといった影響があることも。さらに加齢で甲状腺疾患は増加する傾向が見られます。
甲状腺ホルモンが亢進(こうしん:高い度合いまで進むこと)すると代謝が上がり、結果的に体重は減り、心拍数は上昇し、体温が上がって発汗も上がります。この状態が甲状腺機能亢進症(バセドウ病)という病気です 。甲状腺機能低下症は、その反対の症状などが現れてきます。
甲状腺機能の増加、甲状腺機能亢進症は病気なので加齢ではあまり起こりませんが、甲状腺機能は若干低下します。40歳前後では、甲状腺を含めさまざまホルモンの分泌が低下します。何か1つだけというわけではなく、複合的な要因が影響し体型変化となって現れてくるのです。
ただし、この時期は更年期障害とも重なってきます。更年期なのか、甲状腺機能の低下なのかは自己診断せず、1年に1度程度の健康診断などでチェックをしていことが重要です。その際、何か気になる症状があればしっかり伝えましょう。
また、健康診断項目に甲状腺ホルモンの検査があるかどうか確認しておきましょう。検査項目にないならオプションで加えるのがおすすめ。日ごろから測っておくことで、甲状腺機能亢進症(バセドウ病)などの病気の早期発見につながります。
40歳前後は、ストレスに影響するホルモンだけでなく、さまざまなホルモンの減少によって体型変化をもたらします。特に更年期では、ホルモン減少による自律神経の乱れからさまざまな症状が引き起こされるのです。
更年期特有の症状に用いられる治療の1つに、「ホルモン補充療法」があります。ホルモン補充療法(HRT)とは、女性ホルモンのエストロゲンとプロゲステロンを補うことで、更年期障害を改善する治療法です。ほてり、のぼせ、発汗などといった代表的な症状に大変高い効果を示します。なお、高血圧の方や肥満の方はホルモン補充療法中の血栓症の危険性が高まること、ホルモン補充療法をおこなってはいけない乳がんや乳腺腫瘍の有無を確認しながら投与をおこなう必要があります。
この療法を始めてしばらくは、太ってしまう方もいます。ホルモン剤により体のリズムが変わり、一時的に食欲が増えることや、体に水分がたまりやすくなってむくみなどが影響していると考えられます。慣れれば元に戻る可能性も高いでしょう。
ホルモン補充療法には、「合成ホルモン補充療法」と「天然型ホルモン補充療法」という2種類があります。日本では保険適用されている合成ホルモン補充療法が中心です。
合成ホルモンとは、科学的に作り出したホルモンのことです。天然型ホルモンは、人の体の中にあるのと同じホルモンを利用しています。副作用がゼロというのが、合成ホルモンとの大きな違いです。合成ホルモンは、血栓や脳梗塞、乳がんといった副作用のリスクがあるとされています。天然型ホルモンのほうが心配はないとはいえ、保険が適用されるので天然型よりもずっと安価です。どちらも特性や副作用なども理解してから利用することをおすすめします。
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