
スマホを見ているとき、テレビを見ているとき、気が付くと「猫背」になっている……。「猫背でいることがラク」というこの悪習に長年悩まされている方は多いのではないでしょうか。もう治らないと諦めがちですが、猫背をそのままにしておくと見た目だけでなく、健康面にも影響があるようです。産婦人科医の駒形先生にお話を聞きました。
教えてくれたのは…
監修/駒形依子先生(こまがた医院院長)
2007年東京女子医科大学卒業後、米沢市立病院、東京女子医科大学病院産婦人科、同院東洋医学研究所を経て、2018年1月こまがた医院開業。2021年9月より介護付有料老人ホームの嘱託医兼代表取締役専務に就任し現在に至る。著書に『子宮内膜症は自分で治せる(マキノ出版)』『子宮筋腫は自分で治せる(マキノ出版)』『膣の女子力(KADOKAWA)』『自律神経を逆手にとって子宮を元気にする本(PHP研究所)』がある。
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そもそも猫背ってどんな姿勢?原因は?

背中がCカーブになっている姿勢のこと。原因は筋力のアンバランス
どんな姿勢のことを「猫背」と呼ぶのでしょうか。
「本来背中は、頚椎から胸椎にかけて自然なSカーブであるはずなんです。しかし、猫背になると頚椎から胸椎にかけての湾曲が、Cカーブに変わってしまうのです」(駒形先生)。
何が原因でSカーブからCカーブに変わってしまうのでしょうか?
「もともとの姿勢の悪さが蓄積された結果です。
時代を経て着物から洋服に変わり、姿勢に対するしつけがあまりなされてこなかったことも一因です。ほかにも、普段のちょっとした癖や習慣が原因になります。例えば、
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デスクワークやスマホ使用時に前かがみになっている
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脚を組んで座る
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利き手ばかりでバッグを持つ
- 片側に重心をおいて立つ
といった習慣から筋力がアンバランスになり、「猫背でいることがラク」という結果を招いているのです。
また、加齢に加え、トレーニング不足による筋力低下が、筋力のアンバランスを加速させてしまうのです」(駒形先生)。
猫背でいると何が良くない?

老けて見えるのはもちろん健康面にも悪影響が
もともと姿勢が悪かった人は、年を重ねれば重ねるほど、さらに姿勢が悪くなる可能性があるのですね。
「放置すれば、姿勢が良くなることはないです。年齢より老けて見えるのはもちろんですが、健康面でも影響があるので見直してほしいですね。猫背による体への影響としては、
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筋力バランスが悪いため肩や腰に負担がかかり、肩凝りや腰痛になりやすい
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血流が悪くなると頭の筋肉も硬くなって血流が悪くなり、神経が刺激されて頭痛を引き起こす
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体がゆがんでいるため血管を圧迫し、血行が悪くなることで冷えやむくみの原因になる
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前かがみになるため首の周辺にたえず負担がかかるため、首が前に出る「ストレートネック」になり、首や肩の凝り、頭痛などを引き起こしやすい
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胸郭や肺が圧迫されているため呼吸が浅くなってしまい、血液中の酸素が不足して肩凝りや頭痛、疲れが取れにくいといった影響を及ぼす
といったことが挙げられます」(駒形先生)。